養子縁組届に印鑑を押すときの注意

 Aさん夫婦は、永年の間、遠縁にあたる老人Bさんの世話をしてきました。Bさんには嫁いだ妹Cがいるほか、近親の身寄りはないので、BさんはAさん夫婦を養子にして、家産を引き継がせたいと思っています。養子縁組届に印鑑を押すにあたって、Aさんらが注意すべき点はあるでしょうか。

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 養子縁組をするには、縁組届を書いて戸籍係窓口へ提出し、受理してもらえばよく、手続的には婚姻の場合と変わりません。ただ当事者に配偶者がいる場合、その者は自分だけで養子縁組することはできません。必ず夫婦共同で縁組の当事者にならなければなりません。Aさんの場合も、Aさん夫婦がともにBさんの養子になる必要があります。養子縁組をすれば、Aさん夫婦はBさんの氏を名乗ることになります。
 さて本問の縁組は、家産引継ぎを目的としています。しかも、この縁組がなければ、Bさ んの財産いっさいは妹Cが相続できるところ、縁組がなされれば第一順位の相続人ができ、Cにはまったく相続権がないことになってしまいます。そのため将来、Cの方から、家産相続を目的とし、かつ、本来相続権のあるCの相続分を奪うことを意図した養子縁組だから、本来の縁組意思がなく無効な縁組であると主張されることも予想されます。
 しかし家産引継ぎを目的としていても、その一方、従来の生活関係からみて、確かにAさん夫婦とBさんの間には、親子としての精神的つながりをつくる意思が認められますから、縁組意思はあるといえます。そうであれば、たとえ縁組当事者にCの相続権をなくする意図があったとしても、それは縁組をする動機のひとつにすぎず、縁組意思自体にはなんの影響もありません。
 ところで、家産引継ぎの点だけに限っていえば、養子になって相続権を取得しなくとも、Bさんに遺言を書いてもらって、財産全部の遺贈を受ける方法をとっても結果は同じです。けだし妹Cには遺留分というものがなく、遺言によって自分の相続分をゼロにされても文句はいえないのです。AさんがBさんの氏、家名まで引き継ぎたくないのなら、遺贈の方法をとることも考えてよいでしょう。
 ただ、遺贈を受けても、Bさんより先にAさんが死亡してしまえば、遺贈の効力は生じないことになってしまいますから、この点には注意が必要です。
 さて養子縁組をするとして、将来Cから、Aさんが財産目当てにむりやりBさんに縁組届の印鑑を押させたとか、かってに届けを出してしまったのだという攻撃を受ける可能性があります。確かに世の中にはそういう例もまま見受けられます。Aさんとしては、これに対して十分反論できるようにしておかねばなりません。
 もっともかんじんなことは、届出書のBさんの署名は必ず自筆で書いてもらうことです。印鑑も、できれば実印で押してもらうのがよいでしょう。仮にBさんが自署できない事情があって、やむを得ず届出書を代書する場合には、縁組意思が真実Bさんにもあったことを明らかにしておくために、縁組契約書を別個に公正証書で作っておけば万全でしょう。Bさんが公証役場まで行けないのであれば、公証人の方からBさんの所に出張してもらうこともできます。

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