扶養の程度を決める場合

扶養というと扶養料ということをすぐに思い浮かべますが、扶養には扶養料を渡して親の生活を助ける金銭扶養のほかに、家庭に親を引き取って身の回りの世話や食事の世話などをする引取り扶養があります。
 親かかなりの老齢の場合には、どうしても身の回りを世話する引取り扶養が必要になってきます。
 また、扶養を望む側でも、老後は子ども夫婦と一緒に生活し、孫の面倒をみたいという希望を持つのは、大多数の日本人か抱く感情であり、人情ともいえます。
 しかし現実には、住まいといえば団地とかマンションに住み、かつ、夫婦と子どもからなる、いわゆる核家族化している生活の中に、その親が入っていって共同生活をするということは、お互いに精神約な面でのトラブルが生じやすく、その負担に耐えられないために、親との共同生活を断わるという現象が起きています。
 法律では、扶養の方法についても、最初は当事者間の話合いに任せ、その話合いがまとまらないか、話合いができない場合に、家庭裁判所の調停、審判にゆだねるという方法をとっています。
 実際に親が自分一人で生活していくのが困難になり、子どもに引き取ってもらいたいという場合には、まずその子どもたちに連絡してその旨を伝え、子どもたちの話合いで誰か引き取るか、引き取る者に対して誰がどれだけの経済的負担をするかなどを決めてもらうことになります。
 誰も引き取らないとか、あるいはその話合いかまとまらないときは、家庭裁判所に対して調停を申し立てます。調停でも結論が出なければ、最終的には家庭裁判所の審判によって確定してもらうことになります。
 家庭裁判所にあらわれた例は、金銭扶養を命ずる例がほとんどですが、引取り扶養を命じた審判例もあります。これは、引取り扶養を嫌がる二人の子に対し、一人には引取り扶養を、他の一人には金銭扶養を命じた例です。
 国や地方公共団体による老人に対する社会福祉施設が十分とはいえない現在、親子間の引取り扶養の問題はなくならないでしょう。

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では、実際に扶養するという場合、どの程度の扶養をしたらよいでしょうか。
 これについても、民法は画一的に、いくらの金を出せといったように決めておらず、あくまでも第一には、当事借間で話合いをして決めること、それかできない場合は、家庭裁判所の審判によって扶養の程度を決めることとし、その際の判断の基準としては、親がどの程度、困っているのか、あるいは扶養をする側にどの程度の資力かあるか、およびその他一切の事情が考慮されて決められることになっています。
 この「その他一切の事情」とは、たとえば親が病気であるとか、過去の親密の度合い、交際関係の深浅、あるいは生活が困窮するに至った動機といったことが、主としてこれに当たります。
 憲法二五条でいう「健康で文化的な最低限度の生活」というのも、扶養の最低レベルを示す基準として参考にされてはいますが、これ自身が非常に抽象的であいまいであり、またこれを具体化するために設けられた生活保 護基準が、これまた非常に低いものであり、審判の場合でも、必ずしもこの線に束縛されるということはありません。
 生活保護基準というのは、最低生活を維持するに必要な需要額として厚生労働大臣が、生活保護法八条に基づいて定めたもので、年齢、性別、世帯構成、地域に応じて詳細に定められており、一般国民の生活水準の動きや物価の変動にともなって年一回四月に改定されています。
 扶養の内容については、衣食住といったいわゆる生活上欠かせないものはもちろん病気の療養費などはこれに含まれます。しかし、事業上の債務などは、これに含まれません。
 葬式の費用については、明文上の規定はありませんが、一般には扶養義務者か負担すべきものとされており、香典や遺産によってこれを支払えないときは、その不足分を扶養義務者が負担するものとされています。
 扶養料としてどの程度の金額が妥当かについては、法律の考え方は、それぞれの家庭にいろいろな事情があるので、具体的には「話合いで決めなさい。それができない場合は、家庭裁判所がいろいろな事情をくみ取った上で一番妥当な金額を決めます。」というものです。
 しかし、扶養がいったん法律上の問題として出された場合、一定の事情に対しては一定の結論が出されるという状態にあるべきで、個々の調停委員や審判官によって、大きな差が出ることは望ましいことではありません。
 そこで、最近の審判例では、扶養料を算出するに至った基礎資料を明らかにするといった例がふえています。
 そのうちでも、扶養料を決める際の生活費算定の根拠として、比較的多く用いられている算定方式が、(1)生活保護基準、(2)標準家計費、(3)労研生活費の三つです。
 (1)については、前述した如く、絶対額が低過ぎるので、これをストレートには採用できませんが、算定方式自体は、扶養を必要とする者の年齢、性、世帯構成、所在地域その他の事情を考慮した、かなり合理的なものとなっており、一定の操作を加えれば利用価値はあるといえます。
 (2)については、総理府統計局か実施している全国主要都市の勤労者世帯についての家計調査報告に基づいて、標準世帯の平均消費支出を基準として必要生活費を算出するものです。しかし、ここで問題にしている扶養義務は、扶養義務者に「生活の余裕」がある場合の義務であり、扶養を要する者の最低生活費の算出ですから、この場合に(2)を使って算出するのは適当とはいえません。

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