扶養順位を決める場合

実際に扶養の権利、義務といった関係か出てくるのは、扶養を受ける側が、何らかの事情により、たとえば夫に死なれたためとか病気のためといった、経済的に自分の財産では生活できないとか働いて生活できるほど収入を得ることができない場合、すなわち扶養の必要な状態にあり、同時に法律上扶養義務ありとされた者の側が自分の社会的地位ないし身分に適した生活程度を切り下げないで、なおかつ扶養する生活の余裕があるといった、扶養可能状態にある場合に限られます。
 一人の扶養権利者に対して、扶養義務者が何人かいる場合、たとえば老母の子か、四人いるといった場合、自分の家庭は生活の余裕がないからといって、扶養を逃げるロ実に生活の余裕が悪用されるのではないか、と思われる方があるかもしれません。
 そこで法律では、扶養してほしいという要求があった場合、まず当事者同士で話し合っ て、誰がどの程度ずつ扶養するとか、いろいろなことを決めるよう定めています。
 もし、当事者間で話がまとまらない場合、あるいは何らかの事情で話合いすらできない場合、家庭裁判所で調停を行ないます。
 調停も成立しない場合には、家庭裁判所が審判によって、両当事者聞に扶養の権利、義務の発生する要件がそなわっているかどうかを審理し、確定することになっています。その場合、扶養を受ける権利者、あるいは扶養の可能な義務者が数人いる場合には、これも審判によって決められることになります。

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数人の子がそれぞれ経済的に独立して生計を立て、それぞれ扶養能力のある場合、扶養が必要になった親の面倒を誰がみるのか、については、原則として話合いで、話合いで決まらなければ最終的には家庭裁判所で決めてもらうことになっています。
 しかし、実際には家庭裁判所までいって審判を待たなくとも、これまで出された審判例をみていけば、扶養の順位についての一般的な原則あるいは一般的な基準といったものがあることがわかります。
 (1) 扶養を要する者が何人かいる場合
 たとえば妻子のほかに、実の父母、兄弟、妻の父母といった扶養を要する者かいた場合、他の事情か全く同じであれば、直系血族、兄弟姉妹などの傍系血族(自分と同じ先祖から分かれた者)、その中でもより親等の近い者(おじ・おばよりは兄弟というように)が優先。特別な事情のある場合は、その他の三親等内の親族という順になります。
 この例でいえば、実父母、兄弟、妻の父母といった順で扶養の義務を負うことになるわけです。
 この順位は、あくまで扶養を要する側の事情がほぼ同じという前提があるわけで、実際には当事者の資力とか生活状態、過去の交際関係によって、この順位が変わることは十分にあるわけです。
 扶養義務者が養子の場合、養親と実親とが、扶養を要する状態にある場合は養親が先順位になります。
 (2) 扶養義務者が数人いる場合
 たとえば、母の扶養義務者か、子、母の兄弟、亡父の父母といったような場合の順位は前に述べたのと全く同じです。
 一番問題になるのは、親に対して扶養義務を負う子が何人かいる場合です。原則としては、それぞれの子が同順位で、しかもそれぞれの資力に応じて扶養することになります。
 ところが、資力とか、生活の余裕の判断というのは、算術的にすぐに出せるものではありません。したがって、長男だから余計に面倒をみるとか、自分は嫁に行っているのだから面倒をみれない、などといった主張がなされるわけですか、それは戦前の旧民法時代の考え方で、現在は、全ての子の共同責任としています。
 ただ、自分の生活を維持するのに本当に困っている者に対してまで、扶養の義務を押しつけるわけではありませんが、またその場合でも、その人の扶養義務はなくなるわけではありません。潜在的に扶養義務はあるわけです。扶養の話合い当時は収入が少なく、面倒をみれなかったか、その後、裕福な生活を送るようになったという場合は、当然に扶養義務を負わなければならなくなるのです。
 大事なことは各自が責任をもって扶養の義務を尽くすということです。
 (3) 特別事情による扶養義務
 直系血族や兄弟姉妹がいない場合に、家庭裁判所が「特別事情」ありとして三親等内の親族間係者に扶養を命じるわけですが、その事情によっては、直系血族や兄弟、姉妹などの扶養義務者がいてもこの者に、扶養義務を認められる場合があります。
 たとえば、子どもの頃から継母によって実子同様にして育てられたという場合、その子が成人し継母が扶養を必要とする状態にあれば、継母に兄弟姉妹がいても、その子に扶養義務を負わせることがあります。
 法律で定めた扶養義務者がいない場合、あるいはいても生活に困っており扶養能力を持たない場合には、生活保護とか養老施設とかの公的な扶養によることになります。

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