改氏や改名をする場合

姓名判断の結果、字画が悪いとか、あるいは縁起がよくないので気に入らないとかの理由で、氏(姓)を変更したいと思っても、許されません。ただし、通称として、氏を変更して、使用することはできますが、ここでいう氏の変更は、戸籍に正当に記載された氏を変える場合です。
 この氏は、個人および家族集団の同一性を特定するもので、社会生活上、勝手に変更するのは許されません。ただし、戸籍法一〇七条では、「やむを得ない事由」がある場合には氏の変更を認めるとしています。では、どんな場合が、ここでいうやむを得ない事由に当たるか、です。
 裁判にあらわれた中から、実例をあげてみます。
 (1) 永年使用してきた場合二〇年以上は、これに該当するが、二年足らずでは該当しないとされている。
 (2) 珍奇、難読の場合、発音がこっけい珍奇な氏として変更を認める。
 (3) 家名・祭祀を承継する場合、亡母の後えい者であることをあらわす者がいないことを理由に認めた例、亡祖母の後継者がなく自分も同家祖先の祭祀を行ないたい理由からの申立てが却下された例がある。
 (4) 当用漢学外、当用漢学にないというだけでは改氏許可の理由とならない。
 (5) 内縁の夫の氏への変更、二〇年余内縁の関係にあった亡夫の氏への変更が認められた例。

スポンサーリンク

まず氏の変更をする場合には、家庭裁判所の許可を得なければなりません。家庭裁判所における氏の変更許可手続きは、審判によって行なわれ、申し立てる家庭裁判所は、申立人の住所地を管轄する家庭裁判所です。
 この申立てができるのは、戸籍の筆頭に記載された者およびその配偶者で、両方健在の場合は両方で、いずれか一方が死亡または離婚により除籍されている場合は、他の一方のみで申立てができます。
 また、意思能力のない者が戸籍の筆頭者または配偶者のときは、法定代理人が代わって申立てをすることができます。
 家庭裁判所は、氏の変更を許可するに当たっては、同一戸籍内の満一五歳以上の者の意見を聞かなければならないとされています。この氏の変更を却下する審判に対しては申立人が、許可する審判に対しては利害関係人が、それぞれ高等裁判所へ即時抗告をすることができます。
 この手続きによって家庭裁判所の許可があっても、これによって直ちに氏の変更の効力が生ずるわけではなく、これを放流しておくと、氏の変更の効果は生じません。
 氏の変更の許可を受けた申立人は、申立人の本籍地または住所地の市町村長に対して、氏の変更の届出をすることが必要です。この届出書には、氏の変更の許可審判書の謄本および確定証明書をもらって、添付書類として一緒に提出します。この届出がなされて初めて、氏の変更の効果が生じます。
 この届出が受理されますと、戸籍の筆頭に記載された者の氏名相の氏の記載が、変更後の氏に改められ、その者と同一戸籍内にある者もまた同時に、すべて氏を改められます。
 なお、同一の氏であっても、分籍していたり、別の戸籍の者については、氏の変更の効力は及びません。しかし、婚姻などにより、籍を変わっていた者が、離婚によって復氏する場合には、氏の変更がなされているときは変更後の氏を称することになります。
 名前は、氏と共に権利義務の主体である人の名称として社会的に重大な意義を持つものであり、できるだけ変更することなく、終生一貫性を保たせるべきであり、変更させないとするのが原則です。
 しかし、ある人が特別の理由があって名前の変更を希望し、それまでの名を使用することが、社会生活上、著しく支障があり、社会通念上不当と認められる場合には、その変更を認めることにしています。
 戸籍法一〇七条二項によって、名前の変更が認められるのは、「正当の事由」のある場合に限っています。ここでいう「正当の事由」は、氏の変更の要件である「やむを得ない事由」に比べて、やや厳格性が緩和されていま す。この「正当事由」の有無を判定するに当たっては、(1)営業上の目的から襲名する必要のあること、(2)同姓同名の者がいて社会生活上甚しく支障のあること、(3)神官もしくは憎侶となり、またはやめるため改名の必要のあること、(4)珍奇、外国人にまぎらわしい名または甚しく難解、難読の文字を用いた名などで社会生活上甚しく支障のあること。(5)帰化した者で日本風の名に改める必要のあること、などを、最高裁民事部長の通達によって、一般的な指針としています。
 したがって、個人の趣旨、主観的感情、姓名判断、信仰上の希望、社全活動の一部に支障があるだけの理由では足りず、改名が本人にとっても、社会にとっても利益になるという積極的事由の存在が必要とされています。
 具体例をあげると、現在の名前が当用漢字表にないというだけでは改名の正当事由にならないし、また永年通名を使用している場合には、呼称秩序の安定性から許可する例が多く、その他、同姓同名のため日常生活で困る場合、宗教に専念するため活動上本名では支障となる場合、珍奇な名、甚しく難解・難読で、他人から誤記・誤称・誤読される場合などは、正当事由ありとされています。
 名前の変更も、氏の変更の場合と同じように、申立人の住所地の家庭裁判所の審判によって許可を得なければなりません。また、名の変更の許可があっても、当然に変更の効力を生ずるわけではなく、届出によって効力は生じます。
 届出人は、名が変更される一五歳以上の本人ですが、本人が一五歳未満のとき、または本人が意思能力を欠くような場合には、親などの法定代理人が、届出をすることができます。
 届出先は、届出人の本籍地または所在地の市町村長宛です。ただし、本籍地に届けるときは一通、所在地に届け出るときは二通となります。
 届出書に記載する事項は、別に掲げた書式の通りですが、一般記載事項のほか、変更前および変更後の名を記載します。
 添付書類は、名の変更許可の審判書の謄本のみです。名の許可変更審判に対しては、氏の変更のような即時抗告は許されていませんので、確定証明書を添付する必要がないからです。

冠婚葬祭
婚約を結んだ場合/ 婚約者に結納を渡す場合/ 婚約の解消をする場合/ 結婚を口実に騙された場合/ 正式に結婚をする場合/ 結婚した場合の権利と義務/ 未成年者が結婚する場合/ 結婚が成立しない場合/ 移転する場合の手続き/ 夫婦の財産を決める場合/ 生活費の分担を決める場合/ 夫婦間の契約を取消す場合/ 内縁の夫婦の生ずる場合/ 内縁の関係を解消する場合/ 離婚する場合の方法/ 裁判離婚の手続き/ 裁判で離婚ができる場合/ 離婚する時に財産関係を清算する場合/ 子の扶養者を決める場合/ 子供の養育費を決める場合/ 偽装離婚をした場合/ 改氏や改名をする場合/ 子が親を扶養する場合/ 扶養順位を決める場合/ 扶養の程度を決める場合/ 扶養の紛争が起きた場合/ 遺言をした方がよい場合/ 遺言をする場合の手続き/ 遺言する場合の注意事項/ 遺言書を発見した場合/ 親に死亡された場合/ 夫に死亡された場合/ 蒸発して帰ってこない場合/ 葬儀を行う場合の問題/ 相続する場合の手続き/ 相続人になる者の範囲/ 各種の財産を相続する場合/ 実際に遺産を分割する場合/

        copyrght(c).冠婚葬祭専科.all rights reserved

スポンサーリンク