離婚する場合の方法

江戸時代にも離婚はあり、三下り半という離縁状を夫が妻に渡せば、夫はいつでも妻と離婚できる、いわゆる追出し離婚で、妻からの離婚請求権は一般に認められていませんでした。ただ、例外として、どうしても離婚したい妻は、縁切り寺へ駆け込む道が公に認められていました。この縁切り寺は二つあり、一つは鎌倉にある東慶寺で、他の一つは群馬県ある徳川満徳寺です。
 法律によって、妻からの離婚請求が認められるようになったのは、明治六年の太政官布告により妻からも裁判離婚の請求が認められ、その後明治三一年六月二九日に法律第九号として、旧民法(戦前の民法)の親族・相続編が制定され夫婦の話合いによる協議離婚を認めていました。現在の、すなわち戦後に家の制度が廃止され、全面的に改正された民法でも、「夫婦はその協議で、離婚をすることができる」というように協議離婚を認めています。
 ただし、同じ協議離婚でも、旧民法時代の離婚は、父権的家族制度がしかれており、また男尊女卑が支配的であった時代のもので、これは夫からの棄妻離婚または追出し離婚の合法化の手段として利用されていたのに対して、少なくとも現在では、夫婦が平等の立場に立って話し合い、離婚の決定をする違いがあります。
 つぎに、離婚を考える前に、結婚の解消を考えてみましょう。
 いったん有効に成立した結婚が解消するのは、離婚の場合と夫婦の一方が死亡した場合 があります。いわゆる「生き別れ」と「死に別れ」です。
 その他、離婚することで話が成立して、別居し、両者の間に夫婦共同生活の実態が全然ないか、離婚届は出していないという関係、すなわち事実上の離婚というのがあります。これは内縁と反対の関係で、外縁ともいわれています。
 外縁については夫婦の間では離婚の効果を認められますが、対外的な関係においては離婚の効果は一概には認められていません。

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民法では離婚の方法として、夫婦の話合いによる協議離婚と、裁判による離婚という二つの方法を定めています。このほかに、家事審判法では、調停による離婚、審判による離婚を規定していますので、結局、四つの方法があることになります。
 協議離婚の手続きの進め方としては、当事者の間で、離婚についての協議がまとまれば、市区役所、町村役場にある離婚届用紙に所定の事項を記載して提出すれば、それで離婚は成立します。実際上も、この協議離婚が圧倒的多数を占めています。
 もし離婚の協議がまとまらなかった場合には、家庭裁判所へ離婚の調停を申し立てることになります。家庭裁判所の調停をせずに、いきなり一般の裁判所による離婚訴訟という手続きはすることはできないのです。これを「調停前置主義」とよんでいます。
 これは、始めから他人の見ている公開の法廷で、夫婦を原告、被告として対立させた形で争わせると、かえって紛争が激化したり、悪化する場合があるので、最初は非公開である家庭裁判所の調停室で調停委員が当事者とテーブルを囲んで話し合い、解決を図るべき であるという理由に基づくものです。
 調停の結果、離婚の合意が成立し、それが調書に記載されますと調停が成立したものとされ、この調書は裁判所の判決と同一の効力をもちます。
 家庭裁判所の調停の結果、双方の申立ての趣旨はほぼ合意に達しているのに、いやがらせで合意しないというような場合には、家庭裁判所は当事者の申立ての趣旨に反しない限度で、強制的に離婚の審判をすることができます。これを審判離婚といいます。
 ですから、調停が成立しなかった場合、あ るいは審判離婚の裁判に対して不服の場合、今度は一般の裁判による離婚を請求することになります。
 では、つぎにそれぞれの離婚の手続きをみていきましょう。
 夫婦は話合いによって離婚することができ、それには何ら特別の理由は必要ありません。夫婦の双方に離婚しようという意思がなければなりません。また、いったんは離婚しようという合意があり、署名捺印までしたけれども、その届が役所へ出される時点で気が変わって離婚する気持ちがなくなった場合、そのことが明らかであれば、離婚はやはり無効とされます。このように後で考えた結果、どうしても別れたくないと思ったときは離婚届が窓口へ出される前に翻意届(離婚届不受 理申出書)を役所へ出しておけば、離婚届が受け付けられずにすみます。
 これは届書のあて先の市区役所、町村役場に対して、二人の氏名、本籍、住所を書き、 自分は離婚する気持ちかなくなったので、自分も押印した届が出されても受け付けないでほしい、と頼むもので、六ヵ月間はその効力が認められます。
 つぎに、離婚届を出さなければ法律的に離婚が成立したとは認められません。結婚の場合に、結婚の合意と結婚届が必要なのと同じく、離婚にも、合意と届が必要なわけで、離 婚届にも成人の証人か二人以上必要なことも結婚届の場合と同様です。
 ただ、その夫婦に未成年の子どもがいますと、親権者を夫婦のうちどちらにするかを決めて届け出なければなりません。誤解されやすいことは、親権者とは子供を引き取って育てる者をいうと考えられがちですが、そうではなく、親権者と子供を引き取って育てる者とは、必ずしも同一とは限りません。
 離婚届が出されても、実は夫か妻をだましたり、おどして出されていたのであれば妻は一般の裁判所へ訴えて離婚したことを取り消してもらえます。
 裁判(訴訟)の場合には、離婚しようという当事者(夫婦)が、法廷で対立し、家庭内の出来事を公衆の面前にさらさなければならないという欠点があります。
 そこで家庭内の事件については、一般の裁判と違って、できるだけその家庭の幸せと当事者の将来の生活の調整を図ることを主な目的として、家庭裁判所が紛争の解決に当たることにしています。
 その一つが調停であり、他の一つか審判です。調停の利点は、誰でも直接に申立てのできるように、書面と口頭による申立ての両方が認められ、費用も低額なこと、事件の秘密が保たれることがあげられます。また、調停には、当事者、家事審判官のほかに、弁護士、学者、社会福祉事業家などから選ばれた者が調停委員に参加して、あくまでも話合いにより、紛争の原因を除去したり、解決法を示すなどして、家庭内の事件解決として望ましい方法がとられています。
 協議がまとまり、合意が調書に記載されますと、離婚が成立し、調停成立後一〇日以内に離婚申立ての当事者が、本籍地の市区役所、町村役場に届出をすることになります。
 家庭裁判所において離婚を審判によりするには、二つの場合が認められています。
 一つは、調停において離婚する合意は成立したが子どもの処置、慰謝料、財産分与について合意が成立しない場合に、家庭裁判所にこれらの処置だけを審判してもらうという場合です。
 他の一つは、二四条審判といわれるもので、この審判は調停委員会の努力にもかかわらず当事者が譲歩を示さないときに、家庭裁判所が独自の判断で、離婚その他の処分について審判をする手続きです。家庭裁判所は、相当と認めた場合、調停委員の意見を聞き、当事者双方の衡平を考慮し、一切の事情をみて、当事者双方の申立ての趣旨に反しない限度で、離婚その他の必要な審判を職権ですることができます。
 ただこの審判は、審判のあった時から二週間以内に、当事者や利害関係人からの異議申立てがあれば効力を失い、後は裁判により離婚するしかありません。
 審判の場合も、非公開主義をとり、家庭内の秘密を保ったり、また民間人を参与員として立ち会わせ、その人の意見を聞いて審判を行なうなど、一般の裁判と異なる家事事件独特の解決法をとっています。実際に審判により離婚するというケースはまれです。

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