内縁の夫婦の生ずる場合

憲法二四条では「婚姻は両性の合意のみに基づいて成立する」と定めており、また民法七三九条では、婚姻届をすることによって結婚は有効に成立すると規定しております。さらに有効な結婚といえるためには、民法で禁止する条項に該当しないことが要求されています。
 この三つの要件を満たした場合に、初めて法律上正式の結婚が成立するわけです。
 法律上正式の結婚である場合には、法律によって、その結婚は種々の保護を受けることができます。いくら盛大な結婚式をあげ、披露宴をし、新居をかまえ、夫婦関係の形をとっても、これは社会的には結婚したものとみなされるかもしれませんが、法律上は結婚届を出し、これが受理されないかぎりは結婚したとは扱われないのです。
 しかし現実には、結婚届を出さないままに男女が共同生活を送っているという例は結構あります。
 現在は何らかの理由があるために結婚届を出してないか、将来は必ず出すという場合、そんなものは夫婦共同生活をしているのだから出す必要はない、あるいは全く結婚する意思はないなど、いろいろなケースが考えられます。
 ここでは法律上正式の結婚と認められない男女の共同生活を法律を通してみてみましょう。

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一言に同棲といっても、経済的な利益を考えて一緒に生活をしている場合とか、単なる遊びのために一緒にいる場合とか、種々のパターンが考えられますが、そんな中で、結婚する意思があるかどうかで、法的には意味が全く違ってきます。
 結婚の意思のない場合を、判例では「単なる私通関係」とよんでおります。この場合には、女が男に捨てられたからといって法律上は何の保護も与えていませんし、同時に法律は恋愛の自由を認めていますので、こういう「単なる私通関係」の間柄にあるからといって何の干渉もしません。
 結婚の意思がある場合と、ない場合とに分けましたが、結婚の意思がある場合の男女関 係も、その生活事実の違いによって、婚約の場合と内縁の場合とに分けられます。
 婚約は、法律上は婚姻の予約であるとされ将来、結婚するという約束のある男女間をいい、現実には未だ社会的に夫婦共同生活を営んでいない場合をいいます。
 これに対し内縁は、法律上は準婚(結婚に準ずるもの)と理解され、結婚の意思(あるいは一緒に生活する意思)があり、同時に実際に共同生活をしているという事実関係があり、結婚の成立要件である婚姻届を出していない場合をいいます。
 一方内縁については、以前は法律の期待する結婚届を提出しないものであるから、法律により保護する必要はないという意見もありましたが、現在では、できるだけ結婚している夫婦と同じように保護しようというようになり、各種の面での保護が立法や判例により図られています。
 まず、内縁が成立していると認められるためには、事実上の夫婦共同生活にあることが必要です。
 結婚式をあげ結婚届を出さないまま生活していれば、もちろん内縁ですが、内縁が成立するためには、結婚式をあげたこととか、結婚の届出のような証人や証書といったような手続きは必要ではありません。結婚のための儀式をしていない場合でも夫婦共同生活が相当期間継続していれば内縁であると認めた判例があります。
 つぎに、内縁であるためには、結婚の意思あるいは共同生活をいつまでも送っていくという意思があることが必要です。共同生活を送っていても、そのうちに別れるとか、何か月で別れるなどという場合は内縁は成立しません。
 最後に、結婚が成立するためには、法律の禁止条項に該当しないことが必要ですが、もし内縁の男女がこれに該当している場合、内縁関係は成立しないのか、という問題です。
 これについて、学者間ではいろいろな説がありますが、判例では、婚姻不適参者の内縁、親の承諾を得ていない未成作者の内縁、再婚禁止期間を無視した内縁については法律上の保護が受けられることを認めていますが、内縁夫婦の一方(あるいは双方)が正式な離婚をせずに内縁関係にあるいわゆる重婚的内縁や近親者間の内縁については、原則として法律の保護を認めていません。
 明治時代の末頃までは、裁判所でも「届出なければ婚姻なし」と考え、結婚届をしない内縁関係については、冷淡な扱いをしていました。現在では、前述したごとく、正式に結婚した夫婦に準じて、内縁についても、立法上、判例上、保護がされるようになりました。しかし、それでもなお、不利益に取り扱われる面が完全になくなったというわけではありません。
 (1) 夫婦の姓(氏)が異なる
 通称は同姓を名のっていても、市区役所、町村役場などへ届け出る場合(たとえば住民登録とか税金の申告など)のように、公文書については同姓を使うわけにはいきません。
 (2) 妻の地位が不安定
 正式に結婚していれば妻の地位は法律により保護されますが、届出のない場合には、事実上の別居により内縁か解消されたり、逆に裁判離婚が認められないことから相手に離婚事由があり、嫌になって別れたいと思っても相手が拒否すれば離婚できないといったことがあります。
 (3) 夫の死後、相続人になれない
 長年連れ添い、夫婦で財産を築いたとしても、夫に親族(法定相続人)があれば、法律上は一銭の遺産も相続する権利はありません。
 (4) 子どもが嫡出子になれない
 内縁の場合には、夫婦の戸籍が新しく作られるわけではありませんので、子どもか生まれても嫡出子になれず、父の戸籍ではなく母の戸籍に入り、また父の認知がなければ父と子の間に法律上の親子関係が発生しません。
 (5) 姻族関係が発生しません
 内縁の妻と夫の親、兄弟との間、または夫と妻の親兄弟との間に姻族関係が発生しませんので、扶養をしたり受けたりする関係は法律上は発生しません。

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