結婚した場合の権利と義務

国によっては、結婚しても氏(姓)が変わらないところもありますが、わか国では、結婚すると夫か妻のどちらかの姓を名のることを法律で義務づけています。
 戦前の民法では、「妻は夫の家に入る」と規定され、結婚先の家の氏を称することになっていました(むこ養子の場合は妻の家の氏を称する)。現在では「家」の制度も、家の称号としての「氏」もなくなり「氏」はたんに他の人と区別するための個人の名称となりました。そして、夫婦か一体であることを示すために、夫婦は同じ氏を称するように定め、どちらの氏を名のるかは全く自由にしました。わか国では夫の氏をなのる場合が多いようです。
 したがって、まだ現在でも、妻の姓を名の ると「養子に行った」と考えられやすいのですが、これは必ずしも養子の場合とはかぎらず、結婚後の姓が妻の姓であるという場合もあるのです。妻の実家の養子になるには、妻の両親と夫とか別に養子縁組みをしなければなりません。
 誤解されやすいことは、結婚して姓が変わったために、妻が自分の両親とは縁が切れ、夫の両親が真の両親となる、と考えている人がいるようですが、結婚しても、自分の両親との親子関係は死ぬまで切れないのです。
 なお、どちらの姓を名のるにしても、結婚によって、双方の両親の戸籍から除かれ、新しく夫婦を単位とした戸籍が作られます。そして夫の姓を名のる場合は夫か、妻の姓の場合は妻が、新しく作られた戸籍の筆頭者になります。戸籍の筆頭者といっても、法律上の権利義務には別段何の効果もなく、単に戸籍を引くための便宜的なものです。
 また、どうして夫婦は戸籍面の上で同じ姓を名のらなければならないかについては、合理的ないし十分な理由がなく、将来の立法では夫婦同氏の選択をみとめてもよいのではないか、という批判があります。もちろん、実生活の上で夫婦別氏を名のることは法律的にも差し支えありません。

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法律は夫婦は同居すべきことをを規定しています。円満な夫婦間では同居するのは当り前すぎるくらいのことですが、だいたい法律は、最悪の場合を予想して規定が設けられる場合が少なくありません。この規定もその一つといえるでしょう。
 しかし、住宅事情や職業の都合上、あるいは病気などのために、一時別居するという場合には、この規定に違反するわけではありません。
 では、夫が妻のもとへ帰ってこない、というように、正当の理由なく、この同居義務の規定に違反する場合は、どうすればよいでしょうか。
 まず家庭裁判所に同居の請求を求める調停や審判の申立てをすることができます。しかし夫がこれに従わない場合、強制はできません。やむを得ず慰謝料をとるか、あるいは悪意の遺棄として離婚の申立をするよりほか方法がありません。
 また、同居義務は夫婦間でも排除できない強行法規性を有するものとされていますので永久に同居しない別居の合意が話合いで決まっても無効になります。
 協力扶助とは、互いに協力し助け合って夫婦共同生活を維持すること、すなわち夫婦対等の立場から、夫婦相互の協力によって自主的に家庭を営んでいくべきものをいい、夫婦の一方(主として夫)が他の一方を扶養するということを指しているのではありません。
 夫婦の扶助の義務とは困っている親族を余力ある場合に扶養する扶養義務と異なり、たとえどんなに生活が貧しくとも夫婦一体となって生活を維持していくというものです。したがって、この意味から夫が生活費を出すとか、あるいは夫婦共稼ぎは法律的にも当然といえます。
 もし夫婦の一方が協力扶助の義務を果たさない場合には、他の一方は家庭裁判所にその義務を果たすよう請求することができます。この場合には、相手方の収入や財産を差し押えるなどして、強制的に義務を行なわせることかできるとされています。
 旧民法では妻には貞操を守ることをきびしく要求し、妻が貞操を破った場合には、夫はそれを理由に離婚することができましたが、夫が貞操を破ってもそれを理由に妻から離婚することはできませんでした。しかし、戦後は憲法二四条により、婚姻は夫婦が同等の権利を有することか基本と定められたため現在の民法では、この夫上位の規定は削除されています。
 したがって、現行法には夫も妻も不貞を働いてはならないという規定はありません。これはむしろ当り前だから設けなかったので、夫婦の一方が不貞を働けば、これは法律上、裁判離婚の原因となりますし、また、慰謝料その他の損害賠償も払わなければならなくなります。
 また、不貞を働いた者の相手方が、結婚していることを知っていて関係した場合には、その相手も損害賠償の責任を負うことになっています。
 これは、夫または妻は、それぞれ相手に対し貞操を要求する権利があり、この権利を第三者が侵害した場合には損害賠償(慰謝料)を請求できることは判例上も認められているからです。
 満二〇歳にならない者が親の同意を得て結婚すると民法上は、その時から成年に達したものとして取り扱われることになっています。
 その結果、父母の親権はなくなり、独立して財産上の取引もできることになります。また、いったん結婚によって成年に達したものとして取り扱われた以上、満二〇歳にならないうちに離婚しても、元に戻って未成年者として取り扱われることはありません。
 なお、成年に達したものとして取り扱われるのは私法上(主として民法上)の関係だけで、選挙権の取得や飲酒することや喫煙が許されるようになるのは、やはり満二〇歳に達してからです。

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