正式に結婚をする場合

憲法二四条の「婚姻は両性の合意のみに基いて成立する」という規定は、誰でも一度や二度は読むか、聞くかされたことがあるでしょう。この規定は、結婚(法律上は婚姻)はあくまでも結婚しようとする二人が決めることですから、二人の「結婚しよう」という合意が、最少限の基本的な要件であることを示したものです。だからといって、男女双方に結婚の合意さえあれば、誰でも、いつでも結婚できるということを、この規定は、きめているわけではないのです。そこには一定の制限があります。
 法律では結婚した当事者すなわち夫婦を、後に述べるように法律上、いろいろな規定を設けて保護しています。そして、この保護を受けるためには、法律の定める結婚という形を踏んだものでなければならないとしているわけです。
 そこで法律上、有効な結婚をするためには、大きくわけて三つの必要な条件をそなえていなければなりません。
 その一つは、ここに述べた「結婚の意思」のあることです。つぎに、法律の禁止している結婚の事項に該当しないこと、です。最後 に、「結婚届」を提出することです。このそれぞれについて、つぎにくわしくみていきましょう。

スポンサーリンク

つぎにあげる場合には、いくら当事者が結婚したいと思っても許されませんし、結婚届を出しても役所で受け付けてくれません。もし、間違って受け付けても、未成年者の場合を除いては、裁判によって、その結婚は取り消されます。
 (1) 結婚可能な年令に違していること
 わが国では、早婚を防止する意味から、男は満一八歳、女は満一六歳にならなければ、法律上の結婚はできません。ただし、この年令に達していなくとも同棲することは民法で禁止していません。しかし、結婚の届出はできないのです。したがって法律上の夫婦とはいえません。
 (2) 重婚でないこと
 わが国は一夫一婦制をとっており、重婚は禁止されています。しかし、同棲していた愛人があっても、他の人との結婚届を出すことは重婚にはなりません。結婚している者が、さらに結婚届を出そうとしても、市区役所や町村役場の窓ロで確認れますので、実際は重婚は起こりません。ただし、失踪中の夫が失踪宣告を受けた後、妻が再婚し、その後に夫が帰ってきたという場合などに事実上の重婚関係が発生します。これについて判例は、再婚のほうが有効で、前の結婚は復活しないものとして扱い、重婚にならないようにしています。
 (3) 再婚の場合、女性は再婚禁止期間を過ぎていること
 女性の場合は、離婚や夫の死亡による結婚解消、あるいは結婚の取消しの日から六か月たたないと再婚できません。これは、前の結婚と後の結婚とが接近しすぎると、生まれてくる子どもが誰の子かわからなくなるのを避けるためです。もし、これに違反して、子どもが生まれた場合は、裁判所が誰の子かをきめてくれることになっており、それによって戸籍に記載されます。
 (4) 一定の近親婚でないこと
 これには理由が二つあり、一つには優生学上の配慮から、結婚の当事者は直系血族とか三親等内の傍系血族の関係にある場合には許されません。他の一つは、尊属、卑属の倫理を維持しようとする考え方から、息子が死亡した場合の舅と嫁、あるいは娘か死亡した場合の姑と息子とは、たとえ血はつながっていなくとも結婚はできません。同様に、養父(母)と養子は、養子縁組を解消した場合も結婚できません。
 (5) 未成年者の場合は父母の同意が必要
 先に述べた男一八歳、女一六歳に達していても、未成年である間、すなわち満二〇歳にならない間は、結婚するためには、その未成年者の父母の同意が必要です。この場合、父母の一方が結婚に反対しているとき、行方不明のとき、死んでしまっているとき、あるいは賛否をいえるような状況にないときには、残る一方の父あるいは母の同意があればよいとされています。父母が共に死亡、あるいは行方不明のときは、この同意は不要と考えられています。
ここでいう父母とは、文字通り戸籍上の父母であればよく、親権者である必要はありません。
 上述の法律的要件を満たしていても、盛大な結婚式をあげても、この結婚届という手続きをしなければ、法律上、結婚したものとは認められず、内縁という関係になるだけです。
 (1) 口頭の届と書面による届
 口頭による届というのはあまりないようですが、届の方式としては、本人たち二人、成人の証人二人が役所の窓ロヘ出頭してロ頭で行なってよいことになっています。
 書面の場合も、この四人の署名と押印があれば、よいことになっています。
 また、役所の取扱いとしては、届出は休日でも執務時間外でも受け付けられますし、また郵送してもよく、他人に頼んで役所の窓口へ提出してもらってもよいことになっています。
 郵送の場合の宛先は、市区役所、町村役場の戸籍係です。注意しなければならないことは、郵送の場合には、届出書類に不備がある場合など、後で連絡がきますので、連絡先を記入しておくことが必要です。
 (2) 結婚届の記載事項
 市区役所あるいは町村役場へ行くと前頁に掲げたような印刷された用紙、すなわち結婚届の用紙をもらえますから、普通はこの書類に記入して提出します。
 (3) 届出と受理
 結婚屈を提出する場合、この届書の他に戸籍抄本を同時に提出することが必要です。ただし、この届書が本籍他の市区役所、町村役場へ出される場合には必要ありません。ですから、届出先が夫になる者の本籍他でもあり、妻になる者の本籍地でもある場合は戸籍抄本は不要ですが、一方のみの本籍地という場合は、他方の戸籍抄本は要り、またいずれの本籍地でもないという場合は、両方の戸籍抄本が必要となるわけです。また結婚届も、本籍他の場合には二通、その他のところへ出す場合は三通出すことになっています。
 結婚届の提出先は、夫になる者または妻になる者の本籍地あるいは所在地の市区町村長です。外国で日本人同士が結婚する場合には、その国に駐在する日本の大使、公使または領事へ届け出ることができることになっています。
 届書が出されると、結婚が前述した法的禁止事項に該当していないかどうか、その他、法令に違反してないかどうかを確認し、違反がないと認めた場合には受理されます。
 結婚はこの受理によって成立し、一連の手続きは終わります。

冠婚葬祭
婚約を結んだ場合/ 婚約者に結納を渡す場合/ 婚約の解消をする場合/ 結婚を口実に騙された場合/ 正式に結婚をする場合/ 結婚した場合の権利と義務/ 未成年者が結婚する場合/ 結婚が成立しない場合/ 移転する場合の手続き/ 夫婦の財産を決める場合/ 生活費の分担を決める場合/ 夫婦間の契約を取消す場合/ 内縁の夫婦の生ずる場合/ 内縁の関係を解消する場合/ 離婚する場合の方法/ 裁判離婚の手続き/ 裁判で離婚ができる場合/ 離婚する時に財産関係を清算する場合/ 子の扶養者を決める場合/ 子供の養育費を決める場合/ 偽装離婚をした場合/ 改氏や改名をする場合/ 子が親を扶養する場合/ 扶養順位を決める場合/ 扶養の程度を決める場合/ 扶養の紛争が起きた場合/ 遺言をした方がよい場合/ 遺言をする場合の手続き/ 遺言する場合の注意事項/ 遺言書を発見した場合/ 親に死亡された場合/ 夫に死亡された場合/ 蒸発して帰ってこない場合/ 葬儀を行う場合の問題/ 相続する場合の手続き/ 相続人になる者の範囲/ 各種の財産を相続する場合/ 実際に遺産を分割する場合/

        copyrght(c).冠婚葬祭専科.all rights reserved

スポンサーリンク