婚約の解消をする場合

恋愛の段階から婚約へ進む場合もあるし、見合いから婚約へ進む場合もありますが、この婚約とそれ以前の段階とで一番異なる点は、恋愛時代は別れたいと思えばいつ別れても法律的にどうこうというような問題は起こりません。これに対して、婚約か成立したとなると、これは将束夫婦になろうという約束ですから、何ら特別な理由もなく結婚するという約束を破ってよいというわけにはいかないという点です。
 それでは逆に、婚約が成立したからといって、何か何でも結婚しなければならないか、というと、必ずしもそうではなく、また、婚約をたてにとって嫌がる相手に、裁判所に頼んでも結婚を強制するということも許されません。
 ただ、婚約は結婚と違いますので、離婚のように法律ではそれほど拘束せず、お互いに話し合って婚約を解消できますし、また「正当な理由」があれば一方的に婚約を解消する こともできます。
 したがって、婚約を解消できる「正当な理由」とは何かを知っておくことは大事なことです。しかし婚約は法律の条文には記載されていませんので、これまでに出された判例によって結論を出す以外に方法はありませんので、つぎに判例の中からこれをさぐってみましょう。

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結婚を解消する理由、すなわち離婚原因については、民法に明文の規定がおかれていますが、それをそっくり婚約の場合にも適用できるかは、婚約が結婚と異なり夫婦生活の実態をそなえていない関係であるところから、許されないものと考えられます。
 ただし、民法が離婚の正当の事由としてあげた、相手方が行方不明であるとか、精神病者であるとか、あるいは判例により「結婚を継続しがたい重大な事由」に当たるとして認められた遺伝性疾患や性病の持主、性交不能などといったように将来、円満な夫婦生活を送る上で妨げとなるような事由は、当然、婚約解消の正当事由になると考えられます。
 裁判所の考え方としては、昭和三〇年以前は、婚約の破棄による損害賠償請求事件について、婚約の成立そのものを厳格に解し、たとえ当事者が将来の結婚を誓い合ったとしても、近親者の明確な承認を受けていないとか、慣習上の形式を踏んでいない場合には、婚前の不成立を理由に損害賠償を認めないという傾向がありました。しかし、昭和三〇年前後から婚約の成立を広く認める下級審の裁判例が出され始め、昭和三八年四一月二〇日の最高裁は、結婚の約束をし、結納の授受、その他慣習上の形式を踏むことなく関係を続けていた男女の間で婚約の成立を認め、必ずしも婚約の公然性は必要ではないとの判断を下しています。
 判例では、婚約の成立が認められたものについては、婚約の破棄に対して損害賠償を認めている例かほとんどで、判例の中から婚約破棄の正当事由は見出し得ません。
 婚約者の一方が、別に恋人を作り、その恋人と結婚するために婚約を破棄してきたというように、何ら正当事由なく、婚約を履行しない場合には、その者に対して婚約者の他方は損害賠償を請求することができます。
 では、この場合、どのようなものか損害賠償の対象になるのでしょうか。
 一つには、精神的な苦痛に対する損害賠償すなわち慰謝料があります。これは、何ら正当な事由なく婚約を解消されたために味わった精神的な苦痛を、金銭によって慰謝するという性質のものです。
 具体的に、いくらぐらい請求できるかは、個々のケースによって異なり一概にいえません。婚約期間の長短、関係の有無など、あらゆる事情を考慮して算出すべきものです。
 つぎに、損害賠償できるものに財産的な損害があります。これは、婚約破棄によって受けた財産的損失で、たとえば婚約披露の宴会費用、仲人への謝礼などのように、婚約が解消したために役立たなくなったものについての損害です。
 問題になるのは、結婚の準備として購入した家具、衣類についてです。現物が存在する以上損害とならないとする判決もありますし、反対に衣類について損害賠償を認めた裁判例もあります。
 衣類など相手方の家紋などを入れた場合は損害の対象になりますし、結局は個々の具体的な事情により判断するしかないでしょう。
 具体的には、婚約の実行、それが不可能な場合の慰謝料やそれ以外の損害賠償について二人で話合いをし決めることになりますが、それができなければ家庭裁判所に調停を申し立てればよいでしょう。

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