婚約者に結納を渡す場合

婚約が成立すると、婚約成立のしるしとして、あるいは将来の結婚生活の資とする意味で、金銭や品物を交付されることがあり、これを結納といっています。
 この結納は、一般に男性の側から女性の側に交付されますか、ところによっては、さらに女性の側から男性の側へ贈られる場合もあるようです。
 結納は婚約が成立し、これが誠実に履行され、結婚が成立するということを期待して贈られるものですから、法律的にいうと、結納は結婚の成立を目的とする贈与ということができます。
 よく争われるのは、深く交際していた男女間で別れ話がでたとき、それが果たして婚約の解消となるのかどうか、です。そのためには、まず婚約か成立していたのかどうかということを決めなければなりません。
 婚約というのは当事者間の意思、つまり考え一つで成立するものですから、後になって、そんな約束はしなかったと主張されると、困ったことになります。
 その意味で結納というのは古人の考え出した生活の知恵ともいうべきもので、現在でも結納を交わしていれば、後で婚約の成立について否定してきても婚約成立の有力な証拠として扱われているのです。

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ここで問題となるのは、婚約した当事者が、うまく結婚の成立までいければよいのですが、何らかの事情により婚約が解消されるに至り、結婚の成立までいかなかった場合、その結納はどうなるのか、ということです。すなわち結納を貰った側は必ず返還しなければならないかどうか、です。
 話合いによって婚約を解消する場合には、結納の処理についても話合いできめられるでしょうか、もし結納についての話合いがなければ、どうでしょうか。
 結納を受けた者は、原則として、それを贈った人に返すべきです。もちろんエンゲージリングなども返さなければなりません。これは、結納が、結婚を目的とする贈与ですので、結婚が成立しない場合には、もとの所有者に返すのが基本だからです。
 この考え方により、逆に結婚が成立した以上、たとえ結婚の期間が、わずか数日という短期間で、その後、別れることになっても結納は返還する必要はありません。事実上の結婚関係、いわゆる内縁関係にある場合でも結婚したとみなされますので結納は返さなくともかまいません。
 ただし、内縁の場合には、事実上の結婚期間が二、三か月程度で、短かく、結婚の実をあげていないようなときは、結納を返還せよというのが判例です。
 結納を受けた側の責任により、その婚約が解消された場合は、もちろん受領した結納は返還しなければなりません。
 逆に、結納を贈った側の責任で、婚約が解消された場合には、この返還請求を認めないというのが今日の一般的な考え方であり、裁判所もこの線に沿った判決を下しています。
 これは、正当な理由なしにみずから婚約をこわし、結婚という目的を達成できないようにしておきながら、結納の返還を求めるのは、信義に反し許されないからです。
 つぎに、婚約の両当事者が、互いに他に好きな人かできて婚約を解消するというように、婚約解消の責任が、両当事者にある場合には、その責任の度合いによって、結納の全部ないしは一部を返還しなければならないでしょう。
 また、婚約者の一方が自動車事故により死亡したために婚約を解消するに至ったという場合のように、婚約解消の責任が、当事者のどちらにもない場合には、やはり原則に立ち返って結納が結婚を目的とする贈与であることから、結婚成立が不可能になった場合には、結納を受けた人は返還しなければならないものと考えます。
 このように結納の返還は、具体的ケースごとに考えなければなりません。

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