大学生の子に対する扶養義務の限界は

A君は高校卒業後上京して大学に通っています。友人と六畳を間借りし自炊しているが生活費だけでも月八万円はかかり、月謝、本代など一一万円はないとやっていけません。A君の実家は農家ですが、父は現在後妻を迎えその間に二人の子供もあるのでA君に対しては毎月六万円の送金しかなく、足りない分はアルバイトでまかなってゆけというのです。
 A君は、その五万円を稼ぐためアルバイトしなければならない自分が情なくなり、法学部の友人に聞いたところ親は子供を扶養する義務があるのだからアルバイトをしなくてもよい程度に送金する義務がある、家庭裁判所に審判の申立てをしたらと教えてくれました。どうなのでしょうか。

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親には扶養能力があり子に扶養の必要がある限り親に扶養義務のあることは、友人が教えてくれた通りです。問題はその「親の扶養能力」と「子の扶養の必要」の程度です。
 借金しなければ送金できないようならば、すでに親の扶養能力自体に疑問があります。また大学に行かなければ結構一人でやってゆける年齢になりながら、不相応に大学に行ったためにいつまでも一人立ちできないとしても、はたしてそれが扶養を必要とする状態といえるかどうか極めて疑問です。扶養の程度について民法は「扶養権利者の需要、扶養義務者の資力その他一切の事情を考慮して家庭裁判所がこれを定める」ことにしています。
 A君の場合、父親や兄姉その他親せきも、みんな小学校または高校で終っており、父親はA君を高校卒業と同時に就職させようと思っていたくらいで、家庭の環境からいっても、アルバイトをしないで大学に行ける程の生活水準になかったものといえます。
 したがってA君の要求は、この水準以上のものを基準にした要求ということになるので、A君がアルバイトで稼がなければならない五万円は扶養さるべき必要部分に入りません。
 だからかりに、父親が月一一万円送金できる資力があっても、父親にそれだけ送金する義務があるということにはならないわけです。
 また、いま一つ考えておかなければならないのは、憲法二六条に規定されている「教育を受けさせる義務」のなかに、義務教育以上の義務、すなわち、高校・大学といった高等教育を受けさせることまで親が負っているかということです。
 たしかに、高校・大学への進学率は非常に高くなっていますが、だからといって一律に、親が大学までの教育を受けさせる義務があるとはいえません。なんといっても、さきに述べた家庭の事情が一番のポイントになるのです。
 その意味で、A君の法学部に通っている友人の家庭裁判所に申し立てたらという話は、あまりにも杓子定規といわざるをえません。よく両親と話合い、あとはアルバイトをしてでも卒業するぞという若者らしい意気が必要です。

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