娘の嫁ぎ先に居座った母の扶養料の負担は

A子さんとB夫君とは実の兄姉です。兄姉には老父母がいますが、父母の夫婦仲は悪く、もう五年も前から母はA子さんの嫁ぎ先に身を寄せ、A子さんが肩身のせまい思いをして夫に頼み、母の面倒を見てもらっています。
 この間、父は母に一銭の仕送りをすることなく、兄のB夫君もまた全然手を貸してくれず、毎月六万円ぐらいかかる母の生活費は、今まですべてA子さんの夫の収入から割いてもらっていた。母がきてからすでに合計三六〇万円ぐらい扶養料としてA子さんのところで支出したことになりますが、せめて半額でもB夫君の方から返してもらうことができないものかと思っています。
 B夫君は「お前が勝手に母をつれ去ったのだから、自分は母の面倒をみる必要がない」などとうそぶくだけで、金を支払ってくれそうな様子は全然ありません。A子さんからB君に対して訴えを起こした場合、裁判所は何といってこの話に答えを出してくれるのでしょうか。

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あらかじめ兄姉の間に、どういう条件で実母の生活の面倒をみようというような特約があるならば、それによればよいのです。
 というのは、民法は扶養義務者(ここでは少なくともA子さんとB夫君)が何人もいる場合、まず当事者間で十分協議 を尽くさせ、どうしても話しがまとまらない場合、家庭裁判所がこれを定める、と規定しています。
 ここでは、法律が望んでいるところの、この当事者間の協定がなかったため生じた紛争と思われる。実際の解決方法としては、まず家庭裁判所の調停をこころみ、これで解決できなければ審判を受けることになります。しかしその場合に、当事者間に特約がない場合、A子さんの要求はどのようにいれられるかどうかは、依然として問題です。
 この点につき最高裁判所が示したひとつの見解はつぎの通りです。こういう場合に兄に費用の負担の義務がないというためには、兄も母親に対し相当の扶養をしたであろうに、何等相当の理由もなく妹(A子)が無理に母親を連れ去ったとか、あるいは妹が自分だけで費用を負担することを約束したとか、ともかく兄として全面的に義務を免れさせる相当な理由がなければなりまん。ただ妹が、兄の意思に反して母親を連れ去ったという事実だけで、兄に費用負担の義務がないとはいえません。A子さんの例を考える場合に非常に参考になるひとつの見解です。この線で事実を克明に整理して、準備するようにおすすめします。
 極端な例ですが、捨て子した親は、他人に拾われて立派に成長した子に対し生活扶助の請求ができるのでしょうか。
 法律で扶養義務はありますが、その扶養の程度に争いがあるときは、裁判所は一切の事情を考慮して決めてくれます。捨て子する、のは大てい貧困のためでしょうが、その事情やその後の生活程度も考慮されます。算術のようにきちんとはでてこないが最低限度の扶養は免れません。逆に親が未成熟の子を扶養するには最低限度の程度ではなく、自分と同等程度の生活をさせねばなりません。

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