結婚前に妊娠していた子の出生届は有効か

A子さんは昨年八月から現在の夫、B郎さんと同棲をはじめ、今年の六月三〇日に結婚式をあげ入籍の手続きをすませました。長男はB郎とA子さんの間の子供であることに間違いないが、生まれたのは今年の九月一五日で入籍手続きをすませてからわずか三か月足らずしかたっていません。こんな場合でも長男を夫婦の実子として出生届をすることができるのでしょうか。

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結論から先に申しあげると。子供は夫婦の実子(法律上嫡出子という)として出生届をすることができます。
 そして「嫡出子出生の届出は、父または母がこれをし、子の出生前に父母が離婚した場合には、母がこれをしなければならない」と定められています。
 また出生届は一四日以内にしなければならず、正当な理由がないのにこれを怠ると「三万円以下の過料」に処せられることになります。
 結論はいちおう以上の通りですが、この問題には民法上つぎに述べるような重要な問題が合まれていることを指摘しておきましょう。民法の七七二条はつぎのように規定しています。
 「妻が婚姻中に懐胎した子は、夫の子と推定する」(一項)。
 「婚姻成立の日から二百日後又は婚姻の解消若しくは取消の日から三百日以内に生まれた子は、婚姻中に懐胎したものと推定する」(二項)。
 ここで「婚姻中」というのは「婚姻届」をした後ということです。
 したがって、この規定をあてはめると、実例の場合は入籍手続きをすませてから二〇〇日以内に長男が生まれたのであるから「婚姻中に懐胎したもの」すなわち「夫の子(嫡出子)」と推定されないことになります。
 もし夫であるB郎さんが「長男は自分(父)の子供でない」といって争うような場合は、A子さんが二人の間の子供であることを立証しなくてはならないことになります。
 どうしても話しがつかないときには、夫は長男を被告として「親子関係不存在確認の訴え」を起こすという面倒なことになります。しかしふつうは争われさえしなければ、実例のような場合には嫡出子でとおるのです。

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