父の死亡後に認知した父は親権者になるか

A子さんは高校三年生ですがある事情があって母は父の籍にはいらず二年前に世を去りました。父は今まで認知してくれなかったため、A子さんは、いわゆる「嫡出でない子」として亡くなった母の戸籍に父親の欄は空白のまま記載されていました。
 ところが最近、父はA子さんを認知した上、今後は生活の面倒をみたいといっています。この場合、A子さんに対する親権者は、当然父がなるのでしょうか。

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民法の規定によると「父が認知した子に対する親権は、父母の協議で父を親権者と定めたときに限り、父がこれを行う」とされています。また「未成年者に対して親権を行う者がないとき」は後見が開始するから、A子さんの場合をみると、お父さんが当然に「親権者』になるものではありません。
 もし、お母さんの遺言で後見人が指定されていたときは、その人が後見人として、またとくに指定されていなかったときは、A子さんの親族その他の利害関係人の請求によって、家庭裁判所が選任した人が後見人として、親権の内容として定められた事柄を行ないます。
 そうしてA子さんの実のお父さんがA子さんを認知した場合は、A子さんがお父さんと亡くなったお母さんの間の嫡出でない子であるという身分がハッキリするだけで、それだけでお父さんに親権が生じるというわけではありません。またA子さんの氏も当然にお父さんのそれに変わるわけではありません。
 しかしお父さんの戸籍には認知によってA子さんの名前も書き加えられます。これによって将来相続が生じた場合、A子さんも相続人の一人であること(ただし相続分は他の嫡出子の二分の一)がハッキリします。
 一方、A子さんのお父さんが、認知した上で親権者となるためには、家庭裁判所にその理由を明らかにして「父を親権者とする審判」を申し立てることが必要です。もしこの申立てが許されると、さきに家庭裁判所から選任してもらった後見人は必要でなくなります。そうして「後 見人は、正当な事由があるときは、家庭裁判所の許可を得て、その任務を辞することができます」ものと定められているから、この手続きを同時に申立てることが必要であり、このようにしてはじめてお父さんがA子さんの親権者となるのです。
 このように、父だから母だからといって、必ずしも親権者とはならないということや親権者となるにはめんどうな手続きを要することもあるということは、一般の親子関係の常識とはちょっとピッタリいかないようですが、親だからといっても親の権利をかってに振り廻したりしては子供のためにならない場合もあるので、法律は親権者というものを決めているのです。もちろん、親権者でないからといっても、親子関係には変わりがあるわけでなく、生活費を出してやるのは親の権利であり義務です。

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