他人の赤ちゃんを実子として届け出ると

産婦人科医の菊田医師は、子供を堕胎する婦人が多い一方、子宝に恵まれず養子を欲しがっている夫婦がいることを考え、生まれてくる子供のためにもこのような夫婦の実子として出産証明を出し、戸籍上も夫婦の実子として届け出る手助けをしました。
 そして昭和四八年四月、地元新聞に赤ちゃん斡旋広告を出し、現行制度では、望まれない子供を救う手だてがないから、実子特例法制定が必要だと主張し、全国的にセンセーションをまき起こしました。

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これに対し愛知県産婦人科医師会が、菊田医師の行為は違法だとして仙台地検に告発をし、仙台地検は昭和五二年三月医師法違反、公正証書原本不実記載同行使罪で略式起訴をし、仙台簡裁は菊田医師を罰金二〇万円に処しました。また実子の届出をした夫婦は起訴猶予となりました。
 夫婦の子供でもないのに、その夫婦間で生まれた子として出産証明を出し(虚偽の事実の記載)、あたかもその夫婦の実子として、官庁に備えつけの戸籍簿に、届け出て記載することが、公正証書原本等不実記載となるのです。本条に該当すると五年以下の懲役または二〇万円以下の罰金に処せられることになります。
 このケースのような虚偽の内容をもつ戸籍簿ができ上がってしまうと、第三者に閲覧される状態となるわけであるから、虚偽文書を行使したことになります。したがって、公正証書原本等不実記載同行使罪として同一の刑罰が併科されることになります。その他菊田医師は医師としての立場から、医師法違反の罰則も適用されることになります。
 有罪となったときは、検察官は戸籍簿の記載が虚偽であることを理由として、夫婦が実子として届け出ることは許されない旨の通知を各市町村宛に出し、戸籍簿は職権で訂正きれることになります。公正証書原本不実記載罪は、法定刑のわりに処分は重いとされていますが、菊田医師は今後はこのような行為はしないと公言していること、営利性がないし、関係当事者の心情などの情状を考慮し、今回は略式命令による罰金でケリをつけたのです。
 菊田医師の処分をめぐっていろいろな議論が出されました。本来養子であるべき子供を夫婦の子供として戸籍上の届出をする制度を完全養子制度といい、古くからこのような制度を制定すべきであるという議論があり、また実際にわらの上からの子として、地方などではこのような取扱いをしていたこともあるようです。
 養子制度は、法律上の擬制として親子関係を認めているのですが、心情的にも親子らしい感情を育成するためには、このような養子制度を制定すべきではないかという意見がある反面、戸籍簿は真実を表現するものであり、将来相続関係のトラブルがあって相続権を失うことにもなりかねないし、近親婚などの血液型のトラブルなどもあり、子供の将来にとってかならずしも幸福であるとは思われないという議論もあります。

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