信仰の違いは離婚の理由になるか

Aさんは結婚して八年目になりますが、妻のBさんが最近になって新興宗教にこりだして、家庭のことを顧みなくなりました。折伏活動のために子供の世話もろくにしてくれない。再三注意しても一向に反省してくれない。そのうえBさんは熱心さの余りか、小学生の子供にまで信仰を押しつける。Aさんが反省してくれなければ離婚するといってもきかないので、ほとほと困っています。こんな信仰上のことで離婚できるものでしょうか。

スポンサーリンク

信仰というものは、理屈ではなく、嗜好の問題と同様に、信念として、または生理的に好悪の感情を伴うものです。
 だから、家庭内においてお互いに信仰の異なる男女が生活することは、決して好ましいものではありません。人間生活の中で最も深刻な悲劇の生ずるのが信仰問題でもあります。できることならば、二人が共に同じ信仰のみちにはいることが望ましいのですが、それも無理な話です。
 それでは、このような信仰上の理由で離婚できるかというと、場合を分けて考えなければなりません。
 まず第一に、彼女が結婚前からその新興宗教の信者であった場合はどうかというと、Aさんも、奥さんのBさんが宗教団体の会員であったことを知っていて、それを認めた上で結婚したのだから勝手にすぐさま離婚はできません。
 当然そのような事態になることをある程度予想していたわけだから、すべての責任を奥さんにだけ押しつけるわけにはいきません。
 つぎに、奥さんのBさんが、結婚の後になって入信し、最近になってこり出したのであれば、問題は別です。Aさんが、耐えられる程度の信仰活動であるならば、すぐには離婚できないでしょう。しかし、奥さんのBさんの信念は相当堅そうであるので、Aさんには離婚を求める権利があります。悲しいことであるがやはりやむを得ません。
 法律で認める離婚原因には、配偶者の一方が、不貞行為をしたとき、悪意で遺棄したとき、生死が三年以上不明のとき、回復の見込みのない強度の精神病であるとき、その他結婚をつづけることがむずかしいと思われる重大な事由のあるとき、のいずれか一つに該当するときに、離婚できることになっています。
 したがって佐野さんの場合は、その他結婚をつづけることがむずかしいと思われる重大な事由に該当することになります。
 誤解してはならないことは、信仰上の理由を取りあげて裁判所が離婚をさせるように見えますが、これは、ある宗教団体の会員であるために、Aさんの離婚申立てを認めるのではなくて、特定の信仰活動をすることにより家庭をかえりみず子供の教育方針についてまで夫婦の意見が一致しないような男女は、もはや夫婦としておくには気のどくだから離婚させるのです。
 何も裁判所が特定の信者を差別待遇するわけではありません。これと同様のことは、キリスト教信者と仏教信者の夫婦の間にも起こり得ることです。

冠婚葬祭
婚姻の成立と効果/ 婚約を破った相手方の責任/ 結納金を返さなければならないのはどのような場合か/ 関係を持った後での婚約破棄はどうなるか/ 婚姻予約不履行での慰謝料/ 婚約の一方的破棄の場合でも結納は返すのか/ 二〇年余の内縁破棄はどうなるか/ 内縁の妻が勝手に結婚届けを出したときは/ 結婚が無効や取消されるのはどのような場合か/ 未成年者の結婚が認められる条件は/ 知らぬ間に結婚届が出されていたときは/ 蒸発した夫と離婚できないか/ 姑との不和解消に夫が非協力だと離婚事由となるか/ 離婚すると子供の姓はどうなるか/ 離婚のとき亭主名義の財産はもらえないか/ 離婚せずに生活費を出させるには/ 慰謝料を必ず払わせるのに有利な方法/ 信仰の違いは離婚の理由になるか/ 離婚後の子供の世話は誰がするのか/ 夫の浮気相手に妻や子は慰謝料を請求できるか/ 別居先にいる子供を引き取りたい/ 他人の赤ちゃんを実子として届け出ると/ 実子として届けた養子と縁を切りたいが/ 勝手に離婚届を出した夫と結婚した女性の責任は/ 隠し子を妻子に内緒で認知できるか/ 父の死亡後に認知した父は親権者になるか/ 親権の行使が制限されるのはどのようなときか/ 未成年の親子の親権者には誰がなるか/ 親権者の資格を失う場合とその手続き/ 結婚前に妊娠していた子の出生届は有効か/ 子供が生まれたから出した親の婚姻届は/ 離婚後すぐに再婚して生まれた子供は/ 妻の連れ子を夫の子として届け出たときは/ 婚姻中に生まれた子の嫡出を否認するには/ 男関係が多いことで認知を拒絶できるか/ 実母でないと知ったときの戸籍の訂正/ 縁組の届出がない養子の取扱は/ 離婚した養母の籍に入りたいが/ 娘の嫁ぎ先に居座った母の扶養料の負担は/ 大学生の子に対する扶養義務の限界は/ 父の内妻を扶養する義務は子供にあるか/ 亡夫の母親を一生養わねばならないか/ 社会保険や公共施設はあてにできるか/

        copyrght(c).冠婚葬祭専科.all rights reserved

スポンサーリンク