離婚せずに生活費を出させるには

C子さんの一二年の結婚生活は不幸でした。夫が現在の若い二号をかこい、ほとんど家をかえりみなくなってから、もう一年近い。
 C子さんの人生への希望は、すべて七歳になる一人息子のD男君の上にだけかかっています。
 ところがここ数か月、夫は月々の生活費もろくにC子さんに渡さなくなりました。D男君とC子さんの経済生活は破綻にひんしています。
 D男君とC子さんの生活は、法律上また実際的にどのように保障されるものでしょうか。

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民法七五二条は「夫婦は同居し、互いに協力し扶助しなければならない」と定めています。民法ではこのほか直系血族、兄弟姉株間にも扶養義務を定めていますが、夫婦間並びに夫婦間の未成熟子に対する扶養義務をその他の扶養義務と区別し、前者を生活保持の扶養義務、後者を生活扶助の扶養義務とする考え方が一般です。
 前者にあっては夫婦は他の一方並びに子供に対し自己の有する一切をわかちあう義務があるとされ、自己の生活と同程度の生活を被扶養者に保障しなければなりません。
 後者の扶養義務はこれとは異なり、生活に余裕のある者がない者を援助するというのであって、余裕がなければ扶養義務もまた生じないのです。
 C子さん一家の場合、C子さんもD男君もそれぞれC子さんの夫に対し生活保持義務を内容とする扶養請求権をもっています。
 夫がこの扶養義務を履行しない場合、C子さんは夫を相手どり家庭裁判所に離婚の調停を求めることもできるし、離婚を求めずに単に扶養義務の履行を求める。婚姻費用分担の調停を申し立てることもできます。調停がととのわなければ、裁判所は審判によって夫に対し、扶養義務の履行を命ずることになります。
 この場合扶養の程度は夫の収入、C子さん一家の従来の生活程度、その他一切の事情が考慮されることは、もちろんです。
 C子さんが扶養義務の調停を申し立てても、この調停がととのうまでには、相当の時間がかかることが予想されます。
 この期間C子さんとD君の生活はどのようにして保障されるかというと、調停委員会または家庭裁判所は調停または審判成立前の臨時の処分として、職権でC子さんの夫に対し、月々の扶養料の支払いを命ずることができます。
 また、C子さんが離婚を決意した場合、離婚調停に際し、夫から財産の分与を受けるとともに、慰謝料の支払いを求めることができることはをちろん、D男君の将来の生活に必要な養育料、教育費用等の支払いについての取りきめをすることができることも、当然です。
 離婚による財産分与の本質は夫婦の財産関係を清算することにあります。結婚後夫の財産が増えたり収入力が大きくなっていたりすれば、その半ばは妻にも権利があるといわねばなりません。しかし、妻が夫に請求できるものは、そのほかにも(もし夫に責任がある場合なら)損害賠償や慰謝料、子供をひきとる場合にはその扶養料があります。
 実際にはこれらを含めて夫から妻に渡される一切の財産を、分与慰謝料という名に含めてとり扱うことも多く、とくに慰謝料と財産分与との関係は密接でかならずしもはっきり分けられてない場合があります。したがって、話し合いや調停等がどのような趣旨で行なわれたかにより、財産分与を受けた上でさらに慰謝料を求めるということも可能です。
 自分が悲くて離婚された者でも分与の請求ができることはいうまでもありません。不貞をしたからといって、長年の生活協力が零になってしまうということはないからです。ただしこの場合、彼女に支払うべき慰謝料が考慮され、さしひかれるといったことも起こり、分与の必要なしという審判判決もあり得るわけです。
 慰謝料や財産分与を求める者は、だから相手および自分の財産、収入、年齢、性格、経歴、健康状態、婚姻期間、協力のほどあい、子のあるなし、離婚の理由などを、よく説明できなければなりません。

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