離婚のとき亭主名義の財産はもらえないか

A雄は美容師のB子と結婚しました。結婚後、A雄は美容院を経営するために父の遺産の一部で、美容院を新築しA雄の名義で登記しました。そして新しい設備一切も調えました。
 B子はA雄と結婚するとき、タンスや鏡台と若干の衣類を持って来ただけでした。
 結婚生活も一〇年ぐらい続き、美容院は順調に発展し大変繁昌しました。
 A雄ははじめのうちは美容院の支配人として何かと世話もして来ましたが、生活が安定して来るに従って本来の怠けくせがでてきて、家をあけて遊び歩くことが多かった。
 結婚して二〇年もした頃には、美容院の経営を顧みないばかりか、ほとんど家に帰ることもなく、情婦の家に入りびたりでした。
 このようなA雄に、B子は幾度となく意見するのですが、そんなことに耳を傾ける彼ではありませんでした。やむなくB子は、離婚の決意をしなければなりませんでした。
 これに対しA雄は離婚をすることについて何の文句もいいませんでしたが、財産のことになると一円たりともB子に与えようとはしませんでした。
 そこで彼女は、家庭裁判所へ申立てて、財産の分け方を決めてもらうことにしました。

スポンサーリンク

このようなとき、夫婦各自が結婚前から持っていた財産や、結婚後に各自の名義で得た財産は、それぞれ自分のものとなし得ることは当然ですが、夫婦が共同でつくりあげた財産は平等に分けることになります。
 したがって、洋子が結婚前から持っていたタンスや衣装、鏡台等かB子に返される他、美容院からの利益が、たとえA雄の名義で銀行預金されていたとしても、家庭裁判所は美容院を繁昌させたB子の働きぶりや、夫婦の生活状況その他一切の事情を考慮して財産の分け方を決めるのです。
 だからA雄のB子に対する協力の度合いは、きわめて大きく評価されることは間違いありません。
 財産分与の請求権は、たとえばとくに働いて収入を得なくても、家事をし、子供を育てるというだけをしていた妻にも、当然に、みとめられているものです。
 なぜなら、結婚生活というのは、誠実に、愛情をささげて、扶けあって同居してゆく義務があるので、この義務は、平等であり、同権です。妻は家政をとって協力し、夫は外で働いて収入を得る。
 どっちが上で、どっちが下というようなことはないわけです。
 この協力によって、財産ができ、またすでにあった財産でも、それを維持してきたのです。
 だから、もし離婚するとなれば、夫だけのものになったり、妻だけのものになったりしてしまうのは、たいへん不都合です。
 ことにB子の場合は、B子の働きが、財産をつくるのにとくにプラスしているのであるため、それが夫の名義になっているからといって、夫だけのものになり、B子は何もなしで出てゆくのは、大へんまちがっているといえます。
 夫が名義人だといって、店も住宅も妻にあたえないとがんばれば、財産分与の請求を家庭裁判所に申しでるのがよい。
 離婚といっしょに、この申立てをすればよいのです。しかも、これは妻の権利だといえます。
 しかも、このようにして夫婦の財産を分けても夫婦の一方がただちに生活に困るとき、他の一方は相当の額を与えなければなりません。
 ただ、ここで注意しなければならないのは、この財産分与の請求は離婚に際して行なうものであって、婚姻継続中はすることができないし、また離婚後三年経つと請求することができなくなってしまうことです。
 そしてB子はこの財産分与の請求とは別に、A雄に対して離婚の原因となった彼の不貞を理由に、慰謝料の請求をすることもできるのです。

冠婚葬祭
婚姻の成立と効果/ 婚約を破った相手方の責任/ 結納金を返さなければならないのはどのような場合か/ 関係を持った後での婚約破棄はどうなるか/ 婚姻予約不履行での慰謝料/ 婚約の一方的破棄の場合でも結納は返すのか/ 二〇年余の内縁破棄はどうなるか/ 内縁の妻が勝手に結婚届けを出したときは/ 結婚が無効や取消されるのはどのような場合か/ 未成年者の結婚が認められる条件は/ 知らぬ間に結婚届が出されていたときは/ 蒸発した夫と離婚できないか/ 姑との不和解消に夫が非協力だと離婚事由となるか/ 離婚すると子供の姓はどうなるか/ 離婚のとき亭主名義の財産はもらえないか/ 離婚せずに生活費を出させるには/ 慰謝料を必ず払わせるのに有利な方法/ 信仰の違いは離婚の理由になるか/ 離婚後の子供の世話は誰がするのか/ 夫の浮気相手に妻や子は慰謝料を請求できるか/ 別居先にいる子供を引き取りたい/ 他人の赤ちゃんを実子として届け出ると/ 実子として届けた養子と縁を切りたいが/ 勝手に離婚届を出した夫と結婚した女性の責任は/ 隠し子を妻子に内緒で認知できるか/ 父の死亡後に認知した父は親権者になるか/ 親権の行使が制限されるのはどのようなときか/ 未成年の親子の親権者には誰がなるか/ 親権者の資格を失う場合とその手続き/ 結婚前に妊娠していた子の出生届は有効か/ 子供が生まれたから出した親の婚姻届は/ 離婚後すぐに再婚して生まれた子供は/ 妻の連れ子を夫の子として届け出たときは/ 婚姻中に生まれた子の嫡出を否認するには/ 男関係が多いことで認知を拒絶できるか/ 実母でないと知ったときの戸籍の訂正/ 縁組の届出がない養子の取扱は/ 離婚した養母の籍に入りたいが/ 娘の嫁ぎ先に居座った母の扶養料の負担は/ 大学生の子に対する扶養義務の限界は/ 父の内妻を扶養する義務は子供にあるか/ 亡夫の母親を一生養わねばならないか/ 社会保険や公共施設はあてにできるか/

        copyrght(c).冠婚葬祭専科.all rights reserved

スポンサーリンク