知らぬ間に結婚届が出されていたときは

A子はB男と六年間の交際した仲です。お互いに結婚してもよいと思っていました。ところがA子は両親にすすめられて、C郎と見合結婚することになりました。A子がC郎との挙式が決まったとき、B男に対する良心的な責任も感じて、B男と最後のデートをしました。B男は、A子の見合結婚に反対していましたが、そうかといって、自分とすぐに結婚してくれというようなことまではいいませんでした。
 A子はB男に心をひかれながらC郎と挙式をし、新婚旅行から帰って役場へ結婚届を出しに行って驚きました。A子はB男と結婚したことになって届出がなされていたのです。B男がA子とC郎の結婚を邪魔するために、勝手にA子との届出をしてしまったことが判明しました。法律的にはどうなるのでしょうか。

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結婚は、当事者に結婚をする意思がなければ無効です。結婚は配偶者のあるものは重ねて結婚することはできません。A子がC郎との結婚届を出そうとしたときに、役場では、重婚禁止の規定に触れることを理由に、その届出を拒否しなければなりません。
 では、A子とB男の結婚届は、法律上有効であるかというとそうではない。結婚というのは、両性が終生夫婦となることを約束して、これを役場に届け出ることによって有効となるのであるから、届出の前提となる結婚の約束がA子とB男の間になされている必要があります。すなわち、B男とA子の二人が、たがいに相手と結婚するという意思がなくては、その結婚届は効力をもたないのです。A子には、正男と結婚する意思がなかったのであるから、単に届出がなされていたからといって、B男との結婚を有効とすることができません。
 それでは、A子とC郎は、永久に法律的な夫婦となれないかというと、そうではありません。つぎのような手続きを経てからA子とC郎の結婚届をなすべきです。まず、良子から正男を相手方として婚姻届無効の調停を家庭裁判所に申し立て、調停で届出無効の調停をしてもらうことです。B男は、おそらくやきもちをやいて妨害行為のつもりで嘘の届出をしたのであろうから、調停手続きで決着がつくものと思われる。正男が無断届出をしたことが明らかになったところで、合意に相当する審判で、婚姻無効を認めてもらうことになります。
 つぎに、もしも家庭裁判所の調停で片づかなかったようなときには、通常の裁判所に対して、婚姻無効の人事訴訟を提起しなくてはなりません。そこで正式な判決をもらって、初めて、A子は独身だったことになります。このように調停や審判や判決がきまってから戸籍を訂正し、その後にC郎との結婚届出が許されることになります。
 このように、いったん間違った届出でも、正式に記載がなされると、かなりめんどうな手続きが、しかも長時間を要してとられることになります。こんなことになったのも、A子のだらしのない男関係から生じたことであって、A子は自業自得としても、相手になるC郎には耐えられないことです。C郎がそれでも納得するならばそれもよいでしょうが、いずれにしろ、A子の自重を望まずにはいられません。
 もちろんB男は刑法上は公正証書等原本不実記載罪という犯罪を犯した責は負わなければなりません。

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