内縁の妻が勝手に結婚届けを出したときは

A夫は二年間ある女性と同棲生活をして、彼女と将来子供を生むこと、夫婦生活を営むことを約束していました。ところが最近、A夫の実家の母から適当な見合いの相手がいるからという写真入りの手紙がきて、それを彼女に見られてしまいました。この手紙を見た彼女は、ハンコ屋から三文判を買ってきて、A夫との結婚届けを出してしまいました。この届出は効力があるものでしょうか。

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法律的に結婚というのは、結婚生活の約束とその実態があること並びにこれについて所定の届出があることをいいます。
 A夫の場合、この意味の後の部分、すなわち結婚届けがA夫の意思と関係なく行なわれたことが問題となります。届出というものは、単に届ければよいというものではなく、その届け人の意思によってなされることが必要である。とくに結婚という大事な事柄については、本人の意思があるということは、絶対に必要なことはいうまでもありません。
 民法も、本人に結婚の意思が全然存在しないのに、たまたま届出のみされているような場合には、その結婚は最初から無効ということにしています。したがって、その届けをなしたときに、彼女と結婚をする意思がなければ、彼女の届出は、法律上無効で す。彼女の行為は、結婚届けを本人であるA夫に無断で勝手に印鑑を作って届出たのであるから、文書偽造という刑法上の責任も問われることになります。
 ただ、彼女として見れば、女性の立場として、こうした行為に出たことも同情すべき点もあるので、刑事上の責任は、情状軽しとして、裁判にまでかけられることはないと思われます。しかし、民法上の効果は、これとは別に決めるべきです。そして、彼女の届出は、法律上無効であることは、先に述べた通りです。
 しかし、A夫にも、彼女と結婚する決心もあり、子供を生むことについてまで話し合い、かつ、二年もの間同棲生活をしてきた仲であるならば、A夫に心境の変化がない限り、これを機会に彼女との結婚届出に踏み切るべきです。
 二年もの間、届出をしていないということ自体おかしな話だといえます。形式的にはその当時は無効な届出だが、彼女の立場も考え、あなたの責任ある態度を示す意味でその届出を有効なものとして認めてやったらどうでしょうか。これは、法律上追認といって、無効な行為を有効にする措置として認められています。彼女の届出をA夫の依頼によって納得ずくで届出たことに扱ってもらえれば、問題はないはずです。
 実家の母親に対する関係もありますが、真実を打明けて説得できるだけの気構えが欲しいものです。もしA夫が、彼女の届出を無効として、争うことになると、A夫は証拠をあげて届出が無効だという訴訟には勝つことはできるでしょうが、遂に彼女から、婚約の不履行および二年間にわたる内縁関係の不当破棄を理由に、多額な損害賠償の請求をされることを覚悟せねばなりません。

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