二〇年余の内縁破棄はどうなるか

B子は、妻に死別した寺の住職の後妻となり、先妻の三児を養育し、自分も三児をもうけて二〇年余を過ごしてきました。ところが、住職が他の女性と同棲し、先妻の子の嫁とも折り合いが悪くなり、先妻の子や住職がB子に乱暴を加えたり、つらく当り、B子に寺を出て行けといわんばかりの仕打ちをするようになりました。そのためにB子は寺を出て別居生活をするようになりました。B子は住職に対して慰謝料を請求することができるでしょうか。

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内縁とは、夫婦として共同生活をすることで、婚姻と異なる点は婚姻届出がないという点です。B子の場合もこの内縁に当たるわけです。
 内縁を不当に破棄された場合には、相手方に対して損害賠償を請求することができます。
 B子の場合には、住職が他の女性と同棲したり、乱暴を加えたりしてB子に寺を出て行けといわんばかりの仕打ちをしたことが原因となっており、それに加えて、一人息子が高校を卒業し一人前となり母としての役目も終わったことから、これ以上、住職らにいじめられるのを嫌ってみずから寺を出て内縁関係を解消するに至ったものです。
 したがって、住職は、貞操義務に反し、かつなんら正当の理由なく内縁関係の破棄を生じさせたのであるから、内縁の不当破棄として、当然B子は住職に対して損害賠償(慰謝料)を請求することができます。
 内縁は婚姻届がなされていないという点で婚姻とは異なるのであるから、内縁はできるかぎり婚姻に準じた法的効果が与えられるべきであり、離婚のときの財産分与の規定も内縁解消の場合に準用されます。
 財産分与と慰謝料請求権との関係は問題のある点ですが、財産分与は夫婦で築き上げた共通の財産を清算するという性質のものであり、内縁の解消が不当破 棄といえない場合には慰謝料請求はできないから、内縁解消の場合に慰謝料請求権の他に財産分与請求権を認めることの必要性はあります。
 財産分与ないし慰謝料の額、支払方法につき相手方と話合いがまとまらないときには、家庭裁判所に調停を申し立てる。調停がまとまらないときは審判が行なわれる。
 財産分与の額、方法は、家庭裁判所が当事者双方がその協力によって得た財産の額その他一切の事情を考慮して決定されます。慰謝料の額についても同様です。考慮されるものとして、内縁の存続期間、双方の資産、内縁の破綻などの事情が、主要なものです。
 B子のようなケースにつき、内縁の妻が無資産、無収入のうえ、歩行および言語障害をともなう老人であり、他方、相手方もわずかな田畑を所有する外に、個人として特別の収入、財産もないという事情を考慮して内縁の妻に五〇万円の支払いを命じた判決があります。

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