婚約を破った相手方の責任

A子は一〇年前学生だったころにある大学の先生と恋仲となり婚約しました。婚約のときは、彼の母が昔に夫からもらった記念の指輪というのをA子に贈ってくれました。その後、彼はA子と交際してから七年目に他の女性と結婚し、現在幸せ家庭生活を送っています。A子は彼と結ばれるものと信じていたので、婚期を逸してしまいました。大学の恩師でもある彼ですが、婚約違反の責任を問うことはできないものでしょうか。

 A子さんが婚約をしたときに、彼の母の記念の指輪を贈られてあるということは、婚約を立証する場合の有力な証拠になります。婚約というのは、将来において適法な結婚をしようという約束であるから、別段物の授受がなければならないものではありませんが、婚約指輪や結納の交換があったということになると、二人の間の約束を証明する動かざる証拠となるわけです。したがって、A子さんは、彼の責任追及に関し、物的証拠があるのだから、安心して婚約違反の効果を相手に問うことができます。

スポンサーリンク

婚約も約束の一種であるから、証拠の有無に関係なしに、その途中で破られることもあるわけです。約束通りに結果が出なかったという意味では一般の約束違反と同じです。とくに婚約は、婚姻予約といって、予約の一種です。予約というのは、将来結婚という約束をすることを予備的に約束することです。だから、お互いに予定が変わって、後になってその予約を実行できなくなることもあり得ることです。
 しかし、いくら予定が変更されることがあるからといって、そう無闇に予約を破棄されたのでは、それこそ予定を立てていた他の一方の当事者に迷惑のかかることは明らかです。
 そこで、このような婚約の違反も、契約(予約は契約の一種)違反として、損害賠償の請求ができることになっています。ただ一つだけ、注意しなければならないことがあります。相手方にこの主張をするには、彼が故意または過失によって婚約を破棄したことが必要です。だから、A子さんの方から先に婚約を破棄してあったりした場合は、彼に責任を追及できません。この場合は、むしろ婚約自体が存在しなくなっているわけだから問題になりません。さらに時効のことがあります。A子さんとの婚約が破棄されたのは、彼が現在の奥さんと結婚したときに確定的になったものと思われるから、そのとき、または、その事実をあなたが知ったときから三年経過すると、損害賠償を請求できなくなります。
 その日付けを確かめて、早めに請求しておかないと逃げられるおそれもあるわけです。相手が恩師のようですが、法律的には、関係のないことです。相手の誠意の示し方いかんにより、A子さんは責任追及の程度を考慮してみるべきです。まず、家庭裁判所で、調停により穏便な解決をはかり、それでも応じないときは、地方裁判所で普通の損害賠償請求の訴えを提起することになります。

冠婚葬祭
婚姻の成立と効果/ 婚約を破った相手方の責任/ 結納金を返さなければならないのはどのような場合か/ 関係を持った後での婚約破棄はどうなるか/ 婚姻予約不履行での慰謝料/ 婚約の一方的破棄の場合でも結納は返すのか/ 二〇年余の内縁破棄はどうなるか/ 内縁の妻が勝手に結婚届けを出したときは/ 結婚が無効や取消されるのはどのような場合か/ 未成年者の結婚が認められる条件は/ 知らぬ間に結婚届が出されていたときは/ 蒸発した夫と離婚できないか/ 姑との不和解消に夫が非協力だと離婚事由となるか/ 離婚すると子供の姓はどうなるか/ 離婚のとき亭主名義の財産はもらえないか/ 離婚せずに生活費を出させるには/ 慰謝料を必ず払わせるのに有利な方法/ 信仰の違いは離婚の理由になるか/ 離婚後の子供の世話は誰がするのか/ 夫の浮気相手に妻や子は慰謝料を請求できるか/ 別居先にいる子供を引き取りたい/ 他人の赤ちゃんを実子として届け出ると/ 実子として届けた養子と縁を切りたいが/ 勝手に離婚届を出した夫と結婚した女性の責任は/ 隠し子を妻子に内緒で認知できるか/ 父の死亡後に認知した父は親権者になるか/ 親権の行使が制限されるのはどのようなときか/ 未成年の親子の親権者には誰がなるか/ 親権者の資格を失う場合とその手続き/ 結婚前に妊娠していた子の出生届は有効か/ 子供が生まれたから出した親の婚姻届は/ 離婚後すぐに再婚して生まれた子供は/ 妻の連れ子を夫の子として届け出たときは/ 婚姻中に生まれた子の嫡出を否認するには/ 男関係が多いことで認知を拒絶できるか/ 実母でないと知ったときの戸籍の訂正/ 縁組の届出がない養子の取扱は/ 離婚した養母の籍に入りたいが/ 娘の嫁ぎ先に居座った母の扶養料の負担は/ 大学生の子に対する扶養義務の限界は/ 父の内妻を扶養する義務は子供にあるか/ 亡夫の母親を一生養わねばならないか/ 社会保険や公共施設はあてにできるか/

        copyrght(c).冠婚葬祭専科.all rights reserved

スポンサーリンク