墓地と墓石の購入

葬儀を終えたら、四十九日までに法要を営んで埋葬します。もうすでにお墓があればそこに埋葬しますが、お墓がない場合には、霊園やお寺の納骨堂に仮納骨として預かってもらいます。仮納骨でも永代納骨と同じように供養してから納骨します。墓地には、寺院や教会が管理しているものと、地方自治体や民間業者、宗教団体などが管理しているものとかあります。前者は、壇家や信者でなければ購入できませんが、後者は、宗教団体のもの以外は、永代使用料、管理料などをおさめて契約すれば誰でも購入できます。また、形式によって分類すると、ふつうよく見られるように、区切られた墓地に墓石を建てるものと、棚やロッカー式になっている納骨堂形式とにわけられます。
 新しく墓地を購入して墓石を建てる場合、別に決まった期日はありませんが、昔からのならわしとして、四十九日、百か日、一周忌を迎えるまで の毎月の命日やお盆とお彼岸、そして一周忌など法要のときがよいとされています。また、墓地だけは購入してあっても墓石がない場合は、かりに白木の墓標を立てておきます。正式の墓石は一周忌に建てるのが一般的です。
 昔は、墓は長男が建てるものと決まっていましたが、遺産相続の制度が大きくかわった現在、墓は兄弟で資金を分担し合って建てることが多いようです。いったん墓地を購入したら、その使用権は永久的なものとなります。したがってこの権利は墓石の所有権とともに子や孫に相続されることになりますが、相続の際、名義変更の手続きに墓地の使用許可証が必要なので大切に保管しておきます。ほとんどの墓地では、正当な相続人以外の第三者に使用権を譲渡することを禁じているので、その点も注意が必要です。
 土地、建物などと違って、墓は墓地、墓石ともに非課税扱いとなっていますから、不動産所得税や固定資産税はかかりません。また、相続税の申告も必要ありません。
 新しく墓を建てるためには、永代使用権を得るための永代使用料、それに伴う管理料、墓石の費用、納骨棺、外柵などの工事費が必要になります。永代使用料は、墓地によってかなり差があり、同じ墓地内でも、場所、面積によって違ってきます。その他、都市と地方でも交通の便などの関係から、価格に差が生じます。管理料についても墓地によって差があります。墓を建てるためには、かなりの費用を準備しなくてはなりません。墓地によっては、墓地ローン、分割払いなどのシステムを設けている所もありますから、無理のないように計画してから準備すればよいでしょう。
 墓は、亡くなってから建てるものとは限りません。生前に、みずからの戒名を刻んだ墓を建てておくことは、古くから行なわれ、その墓は「寿陵」と呼ばれています。寿陵を建てておくと長生きできる、などといい伝えがありますが、現在ではむしろ、死後残された人たちに負担をかけたくないとか、墓地価格の上昇を見こして先に造っておくことが多いようです。よく墓地で見かけるように、生前に建てた墓の文字には朱墨を入れて、死後の墓と区別できるようにします。

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寺院墓地を使用できるのは壇家だけですから、寺の墓地を購入するには、壇家にならなくてはなりません。宗派や入山料など、わからないことは、直接寺に聞くか葬儀社などに相談するとよいでしょう。手続きなども教えてくれるはずです。
 寺の墓地を購入したいといっても、その寺の墓 地用地が空いていなければ購入できませんから、まずそのことを確かめます。価格は寺によってまちまちですが、同じ墓地内でも価格に多少の差があります。山門や本堂などから遠くなるにつれて、安くなる傾向があるようです。
 宗教や宗派に関係なく購入できる共同墓地が霊園です。各地方自治体が管理する公営霊園と、民間業者や宗教団体が管理する私営霊園とがありますが、いずれも地方自治体の管轄下にあります。霊園は郊外などに多く造られ、自然の景観を生かした明るい雰囲気で、従来の墓地のイメージはかわりつつあります。家族づれで行楽も兼ねて墓参りができるような公園風の霊園も多いようです。
 宗教団体が管理する物以外は誰でも購入できますが、公営と私営とでは条件などいろいろ違いがありますから、よく考盧したうえで決めたほうがよいでしょう。公営なら地方自治体の公園緑地課や霊園課、または公営霊園の仲介をしている民間業者に、私営なら仲介業者や直接霊園に問い合わせて、予算などの条件に合う所をさがすようにするとよいでしょう。
 公営霊園は歴史が古く、都営霊園の場合、明治七年に造られた谷中霊園を始め、青山、雑司が谷霊園などが有名です。ただし、都営霊園で募集している所は一か所だけで、東京周辺の地域でも募集区画数はそれほど多くありません。公営霊園は、私営に比べて価格(使用料)が三分の一から四分の一と安く、募集には申し込みが殺到します。応募者が定数の三、四倍となるため、抽選や先着順などによって決定している所が多いようです。公営霊園の窓口となっているのは、各地方自治体の公園課、公園緑地課、霊園課などで、申し込み用紙を置いています。ただし、募集はいつでもあるわけではなく、毎年一回とか、新しく拡張したときなど、霊園によって異なります。直接問い合わせてみればよいでしょう。
 申し込み資格は霊園によって違います。たとえば東京都の場合、遺骨のもち主で東京都に一年以上居住し、現に、自宅、納骨堂、故郷の墓地に遺骨を安置している人が申し込み資格のある人です。また、東京周辺の市営墓地で、遺骨の有無にかかわらず申し込める所もあります。
 これもまた、霊園によって異なりますが、主な物をあげると、使用許可申請書、火葬許可証、埋葬許可証、納骨堂に納骨したときの使用許可証、収蔵証明書、住民票などです。遺骨の有無、安置の状況によって必要書類は異なりますから、募集要項をよく読んで揃えるようにします。
 必要書類を揃えたら、締め切り日に間に合うように役所の窓口に提出します。霊園によっては先着順で決める所もあります。また、石材店などの民間業者が間に入って、手続きを無料で代行していますから、利用するのもよいでしょう。
 公営霊園では、一区画当たりの面積もほぼ決められています。一般的な大きさは四平方メートルで、間口よりも奥行きが長い矩形です。一面の芝生に墓石を並べた芝生墓地と、土盛して外柵をつけた普通墓地がありますが、費用の点から見ると、芝生墓地のほうが工事費が安くすむようです。霊園は広い土地に多数の墓石を建てるので、美観を保つためにいろいろな規則があります。各霊園には墓石の形や大きさ、植木の高さなどを定めた規則集がありますから、あらかじめ確かめておきましょう。使用許可を得ても、規則違反などで取り消されることもあります。
 私営霊園は、事業団体、不動産会社などが管理運営している所が多いようです。公営霊園に比べて手続きなどは簡単ですが、価格(使用料)は三倍から四倍というように高いのがふつうです。広さ、形態などは公営に比べてずっと融通がききますが、やはり霊園ごとに規則があります。私営の場合、需要を見こして拡張を続けている所もあり、区画数には余裕がありますから申し込み次第墓地を使用することができます。
 宗教団体が管理している物を別にすれば私営霊園には、申込み資格といったものは、特にありません。遺骨の有無に関係なく、誰でも契約できます。遺骨がある場合は、火葬許可証、埋葬許可証、改葬許可証などを用意して申し込みます。手続きは、石材業者などが間に入って代行しているようですから、わからないことは相談するとよいでしょう。また、墓地や墓石の工事も請負っていますから、まとめて依頼すれば便利です。
 寺院や霊園では納骨堂をそなえている所があります。納骨堂とは、棚式、ロッカー式などの集合納骨施設で、仮納骨する場合と、永代納骨する場合とがあります。仮納骨する場合というのは、いずれお墓を建てる予定だが、それまで安置しておくという場合で、永代納骨する場合というのは、お墓と同じように代々お骨をおさめていく場合のことです。
 納骨堂を永代納骨のために購入するケースは、あまり多くないようです。価格は、やはり墓地と同じように永代使用料といわれますが、だいたい墓地を購入した場合の半額程度となっています。また私営より公営のほうが安いようです。仮納骨の場合は、何年単位でいくらというように使用料をおさめます。ロッカーのように、お骨だけをおさめるものと、上部に仏壇を置き、下部にお骨を納める形などがありますが、各納骨堂によって形式は異なります。
 故郷には先祖代々の墓があるのですが、遠くてなかなか供養することができない、というような場合には、近くの墓地に移すことができます。手続きは、まず新しく移す墓地で受入証明書や墓地使用許可証を受け取り、お骨所在地の役所へ提示します。そこで改葬許可申請書を取り、お骨のある墓地の住職か管理者の認印を押してもらいます。そして役所に戻って改葬許可書の交付を受け、それをもって新しく移す墓地に提出します。このとき印鑑が必要になります。改葬するときには、前の墓地の土を新しい墓におさめるのがならわしになっているようです。
 遺骨の一部を別の墓におさめることを分骨といいますが、現在では、恩を受けた人などの遺骨を身近にまつりたいとか、婚家と実家の両方におさめたいという場合に分骨されるようです。手続きは、お骨のある墓地管理者から証明書を受け取り、分骨しておさめる墓地に提出します。
昔は亡くなるたびに墓石(または地蔵)を建てたものですが、現在ではそれだけの広い墓地を求めるのはむずかしく、先祖代々の墓とすることが多いようです。正面に、「○○家之墓」、「○○家先祖代々之墓」、「○○家」というように刻み、お骨をおさめるたびに、側面に戒名と没年月日を彫り加えていくのが一般的なやりかたです。墓石とは別に、横に墓誌を建てて戒名などを刻むことも多いようですが、原則として墓石の向きと直角になるように建てます。墓石をいくつも建てるときには、正面を先祖代々の墓にして、手前横に直角に建てるやりかたや、右を上位として横一列に並べるやりかたなどがあります。
 墓石に一番多く使われるのはみかげ石(花圈岩)で、産出場所によって白い物から黒い物までいろいろあります。他にも小松石や八光石などが使われます。スウェーデンやブラジル、アフリカなどからの輸入石材も多く、使用されている割合は国産の三割程度です。形や寸法によって値段はさまざまですが、一般に黒みかげは値段が高く、白みかげの二倍程度です。
 墓石の形は、ごく一般的な和型から、個性的な彫刻風の物までさまざまですが、好みや予算に応じて選べばよいでしょう。墓地によっては、都営1号、2号というように墓石が決められている所もあります。また、芝生墓地だけ決めているという所もありますから、墓地ごとの規則にしたがうようにします。
 外棚をつけない芝生墓地なら、工事も簡単ですが、盛土をした墓地などでは外柵などの工事が必要です。外柵はみかげ石やコンクリートが多く使われ、予算に応じて形式を選ぶとよいでしょう。墓石だけでなく、つくばいや拝石、物置台、雪見燈龍、塔婆立てなどをそなえた墓も見られますが、せまい墓地なら墓石だけでも十分でしょう。

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