弔問

死に対する残された者の悲しみは大きく、その悲しみを昇華させたともいえるのが葬儀で、古い昔から、さまざまな儀式がしきたりとして今日まで受け継がれています。知人の死の知らせを受けたときには、正しいマナーでのぞみ、厳粛な葬儀をけがすことなく、故人の冥福を祈りたいものです。
 葬儀に限らず、古いしきたりは時を経ていくうちに、その時代の流れに少しずつ同化し、変化していきます。そして変化したものがまたしきたりとして定着していくのです。時代の変化の速い現在では、戦前までのしきたりが、かなり速い速度で簡略化されつつあります。しかし、戦前のしきたりもあいかわらず生き続けていますから、葬儀の規模、喪主の希望、地方などでは、あいかわらず古いしきたりのまま行なわれていることもあります。弔問の場合は、臨機応変に礼を失することのないようにしたいものです。
 日本の場合、約八〇パーセントが仏式葬儀だといわれていますが、そのほかに神式葬儀、キリスト教式葬儀があります。それぞれの形式で弔問のしかたが異なりますから、あらかじめ形式を確かめ、しきたりを知ってから出向くようにしたいものです。
 故人との別れは、肉親、近親者、親しくしていた友人などが中心でなければなりません。それほど親しい付き合いでもないのに、通夜におそくまで残っていたり、乞われないままに出棺時に棺をもつのを助けたりするのは、行きすぎというほかはありません。慎むべきでしょう。

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喪家では人手はいくらあっても足りないくらいでしょうから、通知があった場合は、とりあえずかけつけて、故人をとむらい、遺族にお悔やみをいってから、手伝う必要があるかどうかを尋ねます。一般的には近親者で動ける人は世話役になりますが、肉体的に無理であったりした場合は、かえって足手まといになりますし、すでに決まった適任者がいるかもしれません。
 故人と親しい間柄であれば、死亡後すぐに遺族から連絡があるでしょう。そんなときは、とりあえず平服のまま出向き、通夜のための祭壇作りや家内外の整理を手伝います。急な知らせなのに礼装で弔問したのでは、遺族にかえって不自然な感じを与えかねません。
 遺族が故人の交友関係を詳しく知らない場合は、それほど親しい付き合いをしていない場合でも知らせてくることかあります。このような場合はとりあえずかけつけ、通夜の準備が整っていなければ、玄関先で、取り次ぎの人にお悔やみを述べる程度にとどめます。取り込み中のことでもあり、遺族まで伝わらない場合もありますから、名刺などを渡しておくとよいでしょう。
 納棺前の弔問では、お悔やみを述べただけで改めて出直すのがふつうですが、特に親しい間柄で、遺族から対面を乞われたときは、次のような順序で対面します。
 ふとんの少し手前で両手をつき頭をさげます。遺族が顔をおおっている白布をめくってくれますから、両手をついたままのぞき込むように対面します。故人に深く頭をさげ、冥福を析ります。遺族に頭をさげてから退席します。
 対面は、自分からは希望しないのが礼儀です。生前の元気な顔を思い出として、遺体とは対面したくない場合は、その旨を、遺族の気持ちを害さないように申し述べて、丁重に辞退します。
 とりあえずの弔問の場合は、遺族側では受付などの準備ができていないでしょうから、香典は持参しなくてもよいでしょう。通夜や葬儀のとき、改めて用意します。
 通夜は遺族、近親者、親しい友人が故人と最後の一夜をすごすためのものです。あまり親しい付き合いではないのなら、遺盧すべきでしょう。ただし、都合で葬儀、告別式にも出られないのであれば、通夜に出席し、読経がすんだら退席します。
 遺族への挨拶は「このたびはご愁傷さまでござ います」といって、ていねいに頭をさげるだけで十分に意は通じます。儀礼的にお悔やみの言葉を並べたてるのは感心しません。また通夜は人の動きがはげしく、都屋がせまい場合などは、どうしても人の前を通らなければなりません。そんなときは一言「前を失礼します」と断わり、腰をかがめ、中腰で通るようにしましょう。
 葬儀や告別式では抹香を用いることが多いのに対して、通夜の場合は線香がよく用いられます。ここで線香による座礼の焼香のしかたを説明します。
 遺族に向かってお悔やみの言葉を述べます。座ぶとんの手前で祭壇に向かい、遺影を見つめてから頭をさげます。座ぶとんを左横にずらして、いざるように前に進み出ます。祭壇に向かって合掌します。線香を手に取り、ろうそくで火をつけます。炎がでたら、手であおぐようにして消します。口で吹き消すようなことは禁物です。線香を香炉に一本ずつ立てます。二、三本火をつけた場合も必ず一本ずつ立てます。もう一度合掌をします。座ぶとんを元に戻し、遺族に挨拶をして退席します。座ぶとんをはずすのはていねいなやりかたです。
 通夜の弔問のときの服装は、一般に略式喪服でよいとされています。黒の正式喪服では、大げさになりすぎるからでしょう。
 通夜見舞いは、通夜の取り込み中に、弔問客や遺族に手間がかからずすぐ食べられる物を差し入れすることをいいます。果物、寿司、菓子、酒類などが喜ばれるようです。
 通夜ぶるまいは、弔問に対するお礼と清めの意味で、弔問客をもてなすものです。招かれたときは、故人をしのびながら、しめやかにもてなしを受けます。ただ、遺族は精神的にも肉体的にもたいへん疲れていますから、長居はしないほうがいいでしょう。九時ごろには辞するのが礼儀といえましょう。

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