通夜

昔は、納棺をすませたあとでも、祭壇は簡単な物を作り、遺族、親戚、親しい友人が集まり、僧侶の読経のあと、文字どおり寝ずの通夜をしたものですが、現在では、通夜のときにすでに、葬儀用の祭壇飾りをしてしまう場合がほとんどです。
 祭壇は、三段、四段、五段と飾る段数によって値段が違います。また、飾りは宗派によっては違う物もありますが、あらかじめ葬儀社と打ち合わせてあれば、万事うまくとりはからってくれます。
 祭壇の飾りかたは、納棺をすませ、金欄のおおいをかぶせた棺を安置し、黒リボンを飾った遺影、位牌を置き、花、ろうそく、線香、香、供物を供えます。これもすべて葬儀社の人が整えてくれます。
 納棺前に枕経をあげてある場合は、通夜の読経ははぶくことがありますが、現在では、枕経を省略して、通夜に読経をしてもらうことが多くなりました。
 あらかじめ、読経の始まる時間、所要時間、読経のあとの法話の有無などを、僧侶に確かめておき、親戚、通夜にきてもらいたい人に知らせます。

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葬儀の準備で述べた各事項が、整えられているかを点検するのが、通夜前の世話役の大切な役目です。通夜が始まってから、準備ができていないではすまされません。
 葬儀社の人と相談して祭壇室や控室を整えるのはもちろんのこと、夜行なわれる儀式なので玄関、玄関先などを明るくします。暗ければ臨時に外燈をつけておくとよいでしょう。
 玄関は開け放しておきます。受付は喪家の敷地や建物を考慮して、玄関先、庭先などに設置します。机やテントは葬儀社などで用意してくれます。
 受付のそばには、携帯品預り所を用意したり、ほとんどの人が黒の靴やぞうりのために、間違いをふせぐ下足札の準備もぜひ必要です。
 このころから次第に供物や供花が届きます。香典は香典帳に氏名や金額を記入したあと、祭壇に重ねて飾ります。たくさんのときは、きれいに揃えて、いくつかの山にわけます。
 供物や供花は、故人に縁故の深い人の物ほど棺の近くにして、祭壇の左右に並べます。
 近くに駐車場が借りられなかった場合には、管轄の警察に、近くの空地や路上に駐車できるよう、使用許可をとっておくとよいでしょう。
 また、最寄の駅から遠かったり、わかりにくかったりした場合には、駅と喪家との間に送迎車を走らせる心づかいも欲しいものです。その場合ももちろん世話役が管理します。
 通夜に参列した弔問客にそのまま残ってもらい、故人と最後の食事をともにするのが通夜ふるまいで、地方や格式を重んじる家では盛大に行ないますが、一般的には簡略化されつつあります。
 本来は精進料理でもてなしたものですが、最近では手間のかからない寿司やサンドイッチ、仕出し屋に頼んだ料理がほとんどです。人の出入りが激しくなにかと忙しいときだけに、接待に手がかからないようにするためには、このような工夫も時世の成り行きといえましょう。
 酒はけがれを清めるといって、通夜ぶるまいにはつきものでしたが、すすめても一わたりするくらいの量にとどめたり、酒はまったく出さずに茶菓だけでもてなす場合もあります。
 地方によっては、喪家の台所では煮たきしない風習があり、このような場合は隣家の台所を借ります。
 遺族の通夜の服装は、その通夜が遺族や近親者だけの仮通夜であれば、略式喪服でかまいません。本通夜であれば正式喪服ですが、男性は黒い背広で、モーニングは昼間の時間にしか着るべきではありません。そして喪主であれば、そのことを示した喪章をつ けます。
 世話役の中でも葬儀委員長や世話役代表、各係の責任者は、近親者と同じ正式喪服ですが、現場で実際に働く人は、略式喪服に係を表わす喪章をつける程度でよいでしょう。
 高校生、中学生、小学生とも校服があれば、校服がいちばんよく、立派にフォーマルウェアとして通用します。
 校服がない場合は、黒やグレーなどの地味な洋服にします。
 通夜の準備が整い、僧侶が到着したら、まず控室に案内して、茶菓でもてなし、着替えをしてもらいます。
 僧侶が控室にいる間、喪主、近親者ほか、通夜に加わる人は席に着きます。
 席次は喪主が棺にいちばん近い所に座り、肉親、近親者、故人と関係の深かった人と続きます。故人の先輩、恩人などは近親者の次に座ってもらいます。
 故人の妻が喪主であれば、子供がその家族と共に長男、次男、長女、次女と並び、故人の両親、妻の両親、故人の兄弟姉妹と並ぶのが一般的です。
 通夜が始まってから到着した場合は、到着順でかまいません。
 席次にしたがって、遺族、近親者など参列者一同が席に着いたのを確認して、進行係は控室の僧侶に連絡して読経を頼みます。僧侶は読経のあと法話をすることがありますが、それが終わると焼香に入ります。
 読経に続いて焼香に入ります。遺族は僧侶に一礼してから焼香し、同席者に一礼して席に戻ります。
 一般的には通夜では線香をあげ、告別式では香をたくことが多いようですが、祭壇室がせまいときや、参列者が多かったり、仏前に出ないで、自分の席にいて回ってくる香炉に香をたく回し香で行なう場合もあります。時間がないときは、僧侶の読経中に回し香で焼香することもあります。
 読経と全員の焼香が終わったら、僧侶を控室に案内して、着替えをすませてもらい、通夜ぶるまいの席に案内します。
 通夜ぶるまいをしない場合や、僧侶の都合でとどまれない場合は、御車料のほかに、御膳料として別にお金を包みます。
 通夜ぶるまいの後、御車料として交通費を包んだ場合でも、できれば車で送るようにします。
 僧侶の送迎に限らず、葬儀委員長の送迎などにハイヤーを頼む場合は、発車前に運転手に心付けを渡しておくとよいでしょう。
 僧侶が控室に立ったあと、喪主は弔問客に対して、厚情に対する礼を述べて、一別室にささやかながら供養のための用意がしてございますから、お口よごしとは存じますが、召しあがりながら、故人の思い出品などお聞かせいただけましたら、幸いでございます。などと、通夜ぶるまいの案内をします。
 地方によっては、夜中までまるで宴会なみの通夜ぶるまいになる所もありますが、弔問客は疲労している遺族のことを考え、遺族も弔問客の翌日の生活を考えて、九時ごろまでにお開きにするのが一般的です。
 原則として、喪主は弔問客が帰るときに玄関まで送ることはしません。席に着いたままで挨拶をします。目上の弔問客の場合でも、世話役が送ることになります。
 世話役は弔問客のもてなしなどで、落ち着いて食事をする時間が取れないのがふつうです。折詰などを用意して、手のすいたときに食事ができるよう、手配をしておきましょう。
 通夜ぶるまいのあとゆとりがあれば、少しの時間でも茶菓または、通夜ぶるまいの料理を余分に用意して、その労をねぎらいたいものです。
 弔問客や世話役が帰ったあとは、遺族、近親者だけで夜を徹しての通夜をするのが本来の通夜ですが、肉親を亡くしたことで、精神的にも肉体的にもかなり疲れているはずですから、交代で休むように心がけることです。翌日の葬儀、告別式に 差し障りが出るとたいへんですから、無理は禁物です。
 起きている人はろうそくや線香の火をたやさないように注意します。
 しかし最近では、この習慣も次第に簡略化され、翌日にそなえて全員で休むことが多くなりました。
 通夜の後始末は、ほとんど世話役がやってくれますが、世話役といえども外の人ですから、気の付かないこともあるでしょう。
 喪主や年齢の高い人は、責任があるうえに、体力的にも限界があるので、後始末は、遺族や近親者の中の若い人たちが受けもつとよいでしょう。

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