肉親の危篤と臨終

家族や友人など親しい人の死に接することは、おそらく一生のうちでもっとも大きな悲しみの一つでしょう。そしてそれは、けっして避けて通ることのできない現実なのです。
 肉親の死を目前にして、ただただ悲しみに暮れるばかりであったり、右往左往したりしているわけにはいきません。しなければならないことがたくさんあるからです。それもごく短時間の間に、手ぬかりなく取り行なわなければなりません。
 その人が社会生活を営んでいた以上、たくさんの人と接していたはずです。その中でも特に親しくしていた人たちに危篤であることを知らせ、最後の別れを告げ、その悲しみをわかち合ってもらいます。
 通知する範囲は、家族はもちろんのこと、近親者、特に親しい友人、勤務先や所属している団体などです。しかし、近親者や勤務先だからといって通知しなければいけないということではなく、日頃あまり親しくしていない人には、かえって迷惑をかけてしまう場合もあります。また、せっかくかけつけてくれても、人が多すぎて、親しくしていたのに、最後の言葉が交わせなかったりしてしまいます。縁戚関係の近い三親等くらいまでが通知の範囲の目安ですが、日頃の親疎の具合によって異なります。
 この親族関係は、危篤通知だけでなく、喪主の決定、葬儀の席次、焼香の順序、遺産相続などに大きくかかわってきます。
 緊急の場合ですから、目上の人でも電話でかまいません。儀礼的な挨拶は抜きにして、名前を名のり、危篤であることを告げ「ぜひ一目会ってやってください」と絡べばよいでしょう。
 早朝や深夜の場合は「朝早くからお騒がせいたしますが・・・」と、お詫びの言葉を一言述べてから、危篤であることを告げます。
 電話で連絡がつかない場合は、電報で「チチキトクスグデンワコウ」などと打っておきます。
 本人に遺言を残す意志があれば、その準備をしなければなりません。
 正式の遺言は、三人の証人の立ち合いのもとで、 そのうちの一人が代筆して口述筆記し、内容が正確であるかを確認した後、それぞれが署名捺印します。それを二〇日以内に家庭裁判所に提出して、本人の意志によるものであるという確認を受ける必要があります。
 肉親に口頭で伝えたり、録音した物などは、正式な物としては認められません。

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末期の水は、死水ともいい、仏教の儀式ですが、現在では、カトリック以外は宗旨にかかわりなく行なっています。
 臨終間ぎわの人の口を、水でうるおすのですが、現在では、医師が臨終を告げてから行なうようになりました。
 新しい筆か割箸の先に脱脂綿を巻き付け、白糸でしばった物を、茶わんに入れた水に浸して、くちびるをうるおします。
 すでに飲む力はないのですから、しめらす程度にとどめます。
 末期の水を取る順序は、血のつながりの濃い肉親から、近親者、友人となります。しかし、肉親であっても、幼い子供は、事情が飲み込めないでしょうから、はずしたほうがよいでしょう。
 末期の水を取ることによって、家族は肉親の死に直面し、その心構えや覚悟を新たにします。心を込めて最後の別れをしましょう。
 病人が重体におちいったら、その人がカトリックの信者である場合、意識のあるうちに神父を呼び、終油の秘跡を行なってもらいます。
 終油の秘跡とは、塗油の秘跡、抹油式とも呼ばれ、死にゆく人のこれまでにおかした罪の許しを神に乞い、安らかに天に召されることを願う儀式です。
 この儀式は危篤の人に限らず、危険な手術を受ける人や老衰がはなはだしい人も受けることができます。天の恵みによって、病苦とたたかう勇気を与えるのです。
 用意する物は、十字架、ろうそく、聖香油壷、水、手ふきなどで、黒布をかけた小机の上に置きます。
 神父が病人の告解を聞き、回心の祈り、聖書朗読、神父先唱のあと、一同の祈りと続きます。そのあと、神父は秘跡の言葉をとなえながら、病人の額または目、耳、手などの五官の一つに聖油をぬります。
 続いて神父は主に許しを乞う祈りをささげます。そして病人に聖体を拝領させます。病人はキリストの血と肉を表わすよどう酒とパンを拝領し、復活の保証を受けます。
 プロテスタントも、病人の意識があるうちに、牧師を呼ばなくてはなりません。そして洗礼を受けていれば聖餐式、受けていなければ臨終の祈りをささげてもらいます。
 正餐式は、牧師がキリストの肉と血にたとえられているパンとぶどう酒を与え、聖書の一節をとなえ、病人が安らかに天国へ召されるように祈る儀式です。
 この間、枕元にいる人たちも、いっしょに折り をささげます。
 神父や牧師の到着以前に病人が息を引き取ってしまったときには、遺体はそのままにしておき、その場に居合わせた人たちだけで祈りをささげ、 到着を待ちます。
 到着後は神父や牧師の指示に従います。

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