臨終と遺族の心構え

 臨終と死に水
(1)死に水
 間もなく息を引きとりそうだというとき、医師は、その旨を身辺のものに伝えます。このとき、臨終の病人に死に水(末期の水)を与えます。最近は、死ぬまぎわよりも、臨終の宣告があってから、湯濯のときや納棺の前にすることが多くなっています。
 新しい筆の穂か、割りばしの先に新しい脱脂綿を白糸でしぼりつけたものに、茶わんの水をふくませ、肩をなでるようにうるおしてあげます。
 死に水は、本人と血のつながりの近い肉親から近親へと回し、その場の状況によっては、友人や知人へも回すことがあります。
(2)臨終の宣告
 心臓の動きが止まり、呼吸をしなくなったとき、医師は「ご臨終です」と告げます。心臓の動きは止まっても、身体の組織細胞が完全に死ぬまでは、約一昼夜かかるので、法律では、臨終から二四時間たたないと、法定伝染病による死亡や解剖の場合を除いて、火葬など遺体の処置はできないことになっています。

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 遺体を清める
(1)湯潅
 臨終のあと、脱脂綿の小片にアルコールをひたして、遺族が順次、遺体の露出している部分(たとえば顔、首、手足など)を、形式的にふきます。一度使用した脱脂綿はまとめて、納棺のあと棺内に入れます。
 昔は納棺の前に遺体をたらいに入れて、ぬるま湯で洗い清める風習があり、これを湯潅といいましたが、現在はほとんどすたれています。
(2)からだの処置
 次に、汚物が出ないように、ロ、鼻、耳、肛門に脱脂綿をつめ、まぶたをしずかになでて目を閉じ、口も閉じさせます。これらの処置は、看護婦や医師がしてくれる場合が多いようです。髪やつめをとっておくなら、このときに切ります。
 自宅の場合、これらの処置をすませたら看護婦や医師に、手を清めるために、洗面器に水か湯と、石けん、手ぬぐいを勧め、お世話になったお礼を述べます。
(3)薄化粧
 さらに頭髪を整え、ひげをそり、女性や幼児なら、紅をさしたり、薄化粧をさせ、見苦しくないようにします。ただ、この死に化粧は、地方によってきらうところもありますから、その土地の風習に従うのがよいでしょう。
 遺体に着せるもの
(1)遺体の着物
 新しい清潔なひとえの寝巻きやゆかた、または生前好んでいた着物に着せ替え、手を胸の上で合掌させます。仏式ではじゅずをかけます。
(2)経かたびら
 仏式の場合は、経かたびら(肉親の者が、白さらしもめんを、はさみを使わずに裂いて裁ち、一計ずつ、結びこぶのない糸でぬった、白無地の広そで対だけの装束)を着せる習慣がありましたが、近年では、納棺のときに、遺体の上に掛けてあげるとか、葬儀社に頼んで準備してもらった、経かたびらとその付属品を納棺する場合が多いようです。たびは白いものを、コハゼをとり、左右逆にはかせます。神式では、神衣という納棺用の衣装が葬儀社にあります。
 遺体の安置
(1)寝具
 清潔な敷布でおおった敷きぶとんに寝かせ、掛けぶとんは遺体をいためないために、なるべく軽く薄いものにします。掛けぶとんは天地遂に、裾を顔のほうにして掛けるのがならわしです。まくらは使わず、顔には白さらしかガーゼをかけます。
 また、掛けぶとんの上に、生前好んだ衣服とか紋服などをさかさにかけたりします。
(2)北まくら
 仏式や神式では、遺体の頭が北向きになるように安置します。北向きにできないへやの場合は、西に向けます。キリスト教では特に方向を問いません。

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