小切手の不渡と遡求

 法律上は、小切手の不渡などというものがあってはなりません。しかし、現実には、手形ほどではありませんが、小切手の不渡も少なくありません。現在小切手は、日常の経済生活上、欠くことのできないものとなっています。その反面、不渡の件数も増加の一途をたどっています。
 どうして不渡が発生するのか、その場合の対処の仕方はどうすればよいか。以下かんたんに説明します。

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 小切手の不渡というのは、その小切手が支払期日に呈示されたにもかかわらず、支払が拒否されたことをいいます。小切手が不渡になる原因にはいろいろなものがあります。
 1. 預金不足、資金不足
 2. 取引なし、当座取引なし
 3. 取引解約後であった
 4. 契約不履行、被詐取
 5. 偽造、変造
 6. 署名、印鑑の相違及び盗用
 7. 盗難、紛失、詐欺
 8. 呈示期間経過後
 小切手が、前項で説明したような不渡理由で不渡になったとします。この場合には、支払委託を受けている支払銀行は、その理由を表示して、振込人(取立依頼人)が振込んだ銀行に返還することになります。その不渡小切手は、呈示の翌日、振込銀行に戻ります。これを不渡返還といいます。
 印鑑の相違とか、偽造・変造などの場合を除いて、預金不足、解約後などの理由で、不渡返還されたときは、振込人が組戻しという取立委任の解約をするか、振出人などが小切手金額を現金で買戻しをするかしなければ、不渡が確定することになります。
 そして、その翌日、手形交換所は不渡小切手の振出人を不渡報告に掲載して、加盟銀行に通知します。手形と同じように、この不渡報告に名前がのるだけで、かなりの信用ダウンといえます。
 この不渡から六ヵ月以内に二回目の不渡を出した振出人は、取引銀行との当座取引勘定契約を解約され、取引停止処分を受けてしまいます。以後三年間は、手形交換所に参加しているどの銀行とも当座取引を結ぶことができません。
 銀行に取立依頼した小切手が、不渡になって返還された場合、取立依頼人はその権利保全のために必要な処置をすみやかにとる必要があります。
 小切手が不渡になったからといって、小切手金の請求権そのものまでが失くなるわけではなく、小切手所持人は振出人及び裏書人に対して、小切手金額、利息、その他の費用の支払いを請求することができます(小切手法三九、四四条)。
 この権利を、法律では「遡求権(そきゅうけん)」と呼んでいます。
 小切手の呈示期間内(一〇日間)に支払いを求めたにもかかわらず、支払いがなかった場合、その小切手の所持人は、手形と同様、自分の前者たる裏書人、振出人及び保証人に対して、小切手金額、利息、その他の費用の支払いを請求することができます。
 この権利を法律では遡求権、あるいは償還請求権といっています。
 つまり遡求というのは、遡求権に基づいて、小切手の所持人を保護するための手続といえます。この遡求権は、呈示期間内に呈示した場合にのみ認められます。
 また、遡求義務者は、いうまでもなく振出人、裏書人、保証人です。しかし無担保裏書人、取立委任裏書人は遡求権義務者とはなりません。
 また、手形交換所の不渡証明(支払拒絶宣言)がある場合は、これが支払拒絶の証明になり、拒絶証書の代用をすることができます。この場合、付箋でもよいことになっています。もし、不渡小切手にこれがついていなかったら、すぐさま支払銀行に頼んで不渡宣言を記載してもらわなければなりません。
 不渡小切手の所持人(振込人)は、呈示の日から四取引日以内に、裏書人及び振出人に不渡があった旨の通知(不渡通知)を出さなければなりません(小切手法四一条一項)。
 所持人から通知を受けた裏書人は、その日から二取引日内に、さらに前の通知者全員の名称及び宛名を記載して、自己の裏書人に通知をなし、順次振出人に及ぶことになります。また、保証人があるときは、保証人にも同じ期日内に同じ通知を行います。
 不渡通知は、一般に配達証明付の内容証明郵便で出します。裏書人に宛所がない場合には、これをとばして、次の裏書人及び振出人に通知します。
 この不渡通知は、裏書人や振出人に債務履行の準備をさせ、対策を講じさせるためのものです。ところで、通知はどんな方法でもよいことになっています。内容証明はもちろん、電話、口頭、書面でもよいわけです。しかし、後々、裁判などになった場合に、通知人に不利にならないために内容証明にしておきます。

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