為替手形の引受呈示

 引受という制度は、約束手形にはない、為替手形に特有な手形行為です。例えば、為替手形を搬出した振出人(A社)が、C社を支払人として指定した場合、C社が異議なく受取人B社に、その手形金を支払うと約束することを「為替手形の引受」といっています。
 引受は、統一手形用紙の引受欄に署名することが必要で、署名があって初めて手形の手形の受取人は、引受人に対して手形金を請求することができます。口約束では、引受を行ったことにはなりません。そして、この引受が行われますと、その為替手形は流通性が高くなります。

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 為替手形を引受けた支払人は、その手形について全面的な支払義務者となります。つまり、引受人は、約束手形の振出人と同じ立場に立つことになります。満期日から三年間たって、時効が完成するまで、手形金の支払義務を負うわけです。
 為替手形の所持人は、支払人に引受を求めようと求めまいと自由です。引受を求めないまま、いきなり満期日に支払いを求める呈示をしてもかまいません。引受がなくても、手形の支払いは行われることになっています。
 しかし、引受のない為替手形は流通性に乏しいですので、なるべく早く支払人に引受をしてもらうべきでしょう。実際問題として、引受のない手形はほとんどないようです。
 為替手形の所持人が、手形の支払人に対して引受をしてくれと要求し、その手形を呈示することを「引受呈示」または「引受のための呈示」といっています。
 現実には、振出人が手形を振出す前に、支払人の承諾(支払委託契約)を得ているのがふつうです。もし、この契約に反して、引受を拒絶して、振出人が損害を被った場合、支払人はその損害を賠償しなければなりません。
 引受呈示できる者は、単に手形を所持するだけの者でもよく、例えば使用人、使者、執行吏でもかまわず、正当な権利者である必要はありません。引受呈示の相手方ですが、支払人かその代理人です。支払人が数人いる場合は、その内の適当な者を選んで呈示します。しかし、代理権を待つ支払人がいれば、その者に呈示します。
 呈示の時期は、原則として、振出日から満期日までです。呈示の時期に制限がある場合はそれに従わなければなりません。なお、一覧後定期払いの為替手形は、振出日から一年以内に引受呈示をします。
 呈示の場所ですが、支払人の住所地内にある。支払人の営業所もしくは住所です。手形上に、支払場所の記載(例えば銀行の支店など)があっても、引受呈示は支払呈示ではありませんから、引受呈示の効力はありません。
 もし、引受呈示を拒否された場合は、手形の所持人は、為替手形の振出人や裏書人に対して、その支払いを請求することになります。
 この場合、手形に「拒絶証書不要」の文句が印刷されていない場合、及び、抹消されている場合は、公証人に、「引受拒絶証書」を作成してもらう必要があります。
(1)引受の考慮期間
 引受呈示を受けた支払人は、引受するかどうかを決断するまで一日の考慮期間が与えられています。これは、引受をするために帳簿を調べたり、振出人に照会したりする必要があるからです。
 また、引受の署名をなした後でも、その手形を所持人に返還(交付)するまでの間に、その署名を抹消して、引受を撤回することもできます。しかし、返還した後で、引受を撤回する場合には、手形関係人全員の同意が必要となります。
(2)署名の仕方
 引受は、支払人だけができます。それ以外の者が引受をしても、その引受は無効となります。
 引受は、手形の引受欄に支払人が署名をすればそれで十分です。統一手形用紙には、引受の日付を書く欄がありますが、引受の日付を書く必要は一般にありません。しかし、「一覧後定期払手形」という引受呈示文句が舎いてある手形の場合、日付が書いてないと、支払拒絶の場合、振出人や裏舎人に対して遡求権を行使できません。
 また、支払人は、引受の際、支払場所として、銀行の支店を支払担当者として記載することができます。現実には、この支払場所は白地になったまま振出されることが多く、支払人がここを補充するという方法が一般的にとられています。
 また、引受欄に押す印は、銀行に届出ている印を使用します。それ以外の印を押しても、法律上は有効ですが、実際問題として、銀行では「印鑑相違」という理由で支払を拒否されてしまいます。
(3)引受が無効になる場合
 支払人が手形に署名しないで付箋に署名した場合、及び手形外の書面で引受を約束した場合。
 支払人が、ただ「◯◯株式会社」などと、会社名や商号だけを記載して会社印を押している場合。
 支払人と引受人が同一であるとは外見上判断できないような形で書き間違っている場合。
 最近では、約束手形の代用品として為替手形がよく利用されます。この方法が、「白地引受」といわれるものです。
 白地引受の場合、引受人が、振出人の署名を除いて、為替手形の振出要件をすべて記載した上で、自ら引受人として署名した手形を作成し、これを受取人に交付します。こうすれば、引受人が受取人に約束手形を振出したのと同じことになるわけです。
 この場合、受取人は手形を取立てる場合、自らを振出人として署名した上で、収入印紙を貼って取立てにまわすことになります。つまり、引受人(実際の振出人)は収入印紙の費用を節約できるわけです。
 為替手形の所持人は、引受があるないにかかわらず、手形金を取立てるためには、備期日とこれに続く二取引日以内に、引受人または支払担当者(支払担当銀行)に対して、支払いのための呈示をして、その支払いを求めなければなりません。
 この場合、実際には、直接引受人または支払担当者(銀行)に手形を呈示するのではなく、自分の取引銀行に取立を委任し、手形交換所に呈示する方法がとられています。
 もし、うっかりして呈示期間内に呈示をしなかった場合、手形の振出人や裏書人に対して手形金を請求することができなくなってしまいます。もちろん、支払人に対しての請求権は、支払期日から三年間はなくなりません。また、きちんと呈示していた場合は、もし支払人が払ってくれなくても振出人や裏書人に対して、支払期日から一年間手形金を請求することができます。
 ちなみに、為替手形の支払方法や、支払の際の調査義務と責任は約束手形とまったく同じです。
 為替手形の所持人から取立委任された取引銀行が、満期日に、手形交換所に呈示し、支払いを求めます。さて、手形交換所において取引銀行から手形の呈示を受けた引受人の支払担当銀行は、引受人の当座預金残高と照合します。そして、その残高が手形金額以上なら、そのまま当座預金から決済します。もし残高不足だと、「預金不足」の不渡理由を付けて、翌日の手形交換の際に、取引銀行に手形を返還することになります。これを「逆交換」といっています。これで、この手形は不渡となります。
 為替手形が不渡になった場合も、約束手形と同じような処理手続が必要となります。
 呈示の日に引続く四取引日以内に、直前の裏書人に対して「不渡通知」を出すことも約束手形の場合と同じです。
 また、不渡になった場合でも、手形の所持人は、引受人や振出人、裏書人に対して、手形金及び満期以後の利息年六分の支払を請求する権利はありますから、手形の所持人は、引受人、振出人、裏書人の全員またはその内の支払能力のある者だけを相手取って、手形回収に乗り出すわけです。
 この場合、注意すべきは時効です。引受人に対しては支払期日の翌日から三年、振出人や裏書人に対しては支払期日の翌日から一年で時効にかかります。

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