為替手形の振出し

 為替手形の振出しも約束手形の振出しと同じですが、ただ、支払人という当事者がいるのが約束手形にない特色です。
 為替手形は、約束手形と違って振出人が自分で支払うのではなく、振出人に金銭支払債務を負っている者を支払人として、この支払人に払ってもらうこと(引受)にななります。したがって、為替手形を振出すためには、支払人として金銭の支払いを要求できる者が必要となります。

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 支払人が、いくら振出人に金銭債務を負っているからといって、そのままでは為替手形の支払いを引受けてはくれません。支払いを引受けさせるためには、あらかじめ、振出人と支払人となるべき者の間で、引受をする旨の約束がなければなりません。これを「支払委託契約」といいます。この契約は、口頭でも文書でもかまいません。
 為替手形を振出すときに、手形用紙に必ず記載しなければならない事項(絶対的記載事項)は、次のとおりです。
 1. 「為替手形」という文句の表示
 2. 一定の金額を支払うという単純なる委託
 3. 支払人の表示
 4. 満期の表示
 5. 支払地の表示
 6. 受取人の表示
 7. 振出日と振出地の表示
 8. 振出人の署名
 為替手形が有効であるためには、以上あげた手形要件がすべて記載されていなければなりません。もっとも、現在一般的に使われている取引銀行の交付する「統一手形用紙」には、とれらを必ず記入するようになっていますので、それを使うのが便利でしかも安全です。
 この中で、3.支払人の表示だけが為替手形に特有のもので、1.2.は為替手形と約束手形の性格の違いから、当然違ってきます。それ以外は、約束手形とまったく同じです。
 約束手形の場合は、振出人が手形の支払人になります。為替手形では、手形の振出人から支払を委託された支払人が手形金額を払うことになりますから、手形には必ず支払人が記載されていなくてはなりません。この支払人の表示が約束手形ともっとも違う点です。
 支払人は個人でも会社でもかまいません。会社の場合、会社名だけでよく、代表取締役の氏名及び支店長などの氏名を書く必要はありません。個人の場合、本名、通称、または屋号、ペンネームなどでもかまいませんが、できるだけ個人を識別できる名称にすべきです。
 また、振出人と支払人が同一であってもかまいません。なお、支払人が受取人をかねることができるかどうかについては、手形法には規定がありませんが、判例では認められています。
 自己宛手形は、例えば、東京の本社と札幌の支店との間の決済や送金に利用されます。
 為替手形には特有な記載事項があります。これらの中で、重要と思われる事項について説明してみます。
(1)第三者方支払文句(支払場所)
 為替手形の支払いは、振出人ではなく、支払人が行うことになっています。この場合、振出人は、振出しに際してあらかじめ銀行をして支払いを担当させることにして、この銀行の店舗まで指定することができます。
 しかし現実問題として、まだ支払人が支払うことを手形上に約束していないのに、あらかじめ支払いの担当銀行まで書くのは困難です。そこで、ふつうはここを空白のままにして、支払人が手形を引き受けるときに書き込ませるようにしています。
(2)引受呈示の制限
 為替手形の所持人は、満期日に呈示してもよいし、その前に、支払人に呈示して引受を求めてもかまいません。どちらにするかは、手形所持人の自由です。しかし、振出人は手形にその旨を記載して、引受の呈示を要求したり、引受を禁止したりすることができます。
(3)拒絶証書作成免除文句
 為替手形の引受や支払いが拒絶されたときは、手形の所持人は振出人や裏書人に対して手形金の支払いを請求できます。この場合、手形の引受や支払いが拒絶されたことを執行官や公証人が作成した拒絶証書によって証明する必要があります。
 そこで、振出人が手形用紙にあらかじめ「拒絶証書作成免除文句」を書いておけば、拒絶証書を作成する必要がありません。実際問題としては、この文句は手形用紙に刷込まれていますので、この文字を消さないでおけばいいわけです。
(4)引受無担保文句
 為替手形の振出人は、手形の支払いや引受が拒絶されたときは、その支払いの責任を負わねばなりません。しかし、振出しの際に「引受無担保」と書き込んでおけば、引受拒絶の場合に、手形の支払の支払責任をまぬがれることができます。もっとも「支払無担保」と書いても効力はありません。
 為替手形の受取人の地位は、約束手形に比べて大変微妙です。というのは、約束手形の場合、振出人が支払いの責任者ですかも、受取人はその振出人に対して支払いを請求する権利を取得するわけですが、為替手形では振出人が直接の支払責任者ではないため、受取人は振出人に対して支払いを請求する権利がありません。
 また、手形を受け取った段階では、支払人は引受人として署名していませんから、手形の支払いの責任を負っていません。ただ、いちおう支払責任を負うことが予定されているだけです。
 したがって、為替手形を受け取っても、将来支払人が手形を引受けて支払いをするまでは、手形上の権利を取得したとはいえないわけです。
 為替手形の振出人は、当然、引受担保責任、支払担保責任を負うことになります(手形法九条)。
 引受担保責任とは、支払人が引受を拒絶したとき、自分で手形を支払う責を負うことです。支払担保責任とは、支払人が支払いを拒絶したとき、自分で手形を支払うべき責任を負うことです。この内、引受担保責任だけは、振出人が、その旨を手形面に記載することによって免れることができます。
 しかし、振出人は支払担保責任をのがれることはできません。
 また、為替手形の所待人が振出人に対して支払いの請求をなす権利を「遡求権」といっています。この遡求権があるために、もし引受や支払いを拒絶された場合に、振出人に支払いを請求でき、手形の信用も高まるわけです。

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