為替手形と約束手形の違い

 現行の手形法をみますと、為替手形についてまず規定し、約束手形については、為替手形の規定を準用することになっています(手形法七七条)。つまり、このことからわかるように、為替手形の方が約束手形よりも早くできたわけです。
 現在では、約束手形の利用の方がかなり増大し、その地位も逆転しています。

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 為替手形も約束手形と同じ手形ですから、多くの共通点があります。裏書の方法や効力、満期と支払呈示、不渡になった場合の取立て方など、共通点は少なくありません。
 ところで、為替手形と約束手形の相違点ですが、その根本的な違いは、約束手形が、振出人が自分で支払う約束のもとに、受取人に対して振出したものであるのに対し、為替手形は、振出人が、他人に支払いを頼むために振出すもので、振出人が自分で払うというつもりはまったくないという点です。このことから、約束手形を「支払約束証券」といい、為替手形を「支払委託証券」といって区別しています。
 他人に支払を頼む、ということは、次のようなことです。例えば、A社はB社から三〇〇万円の品物を買い、B社に支払いをしなければならないとします。この場合は、三〇〇万円の約束手形を振出せばよいわけですが、もしA社がC社に対して三〇〇万円の債権を持っていた場合は、C社にB社への支払いを頼めばよいわけです。これでA社、B社、C社の関係は一気に決済され、非常に便利です。
 この場合、A社は、B社を受取人、C社を支払人とする金額三〇〇万円の為替手形を振出し、これをB社に交付します。B社はこれをC社に呈示(引受のための呈示)し、これにより、A社の指図により直接C社からB社に支払って、ABCの関係は決済されることになるわけです。
 前述のように、A社がB社に対して債務(三〇〇万円)を負担している場合、A社がC社に対して債権(三〇〇万円)を持っているとき、A社が、C社を支払人、B社を受取人とする為替手形を振出してB社に交付し、B社がC社から直接手形の支払いを受けることにより、A・B・C社間の法律関係を一気に決済します。為替手形本来の用途といえます。
 また、例えば、A社がC社に商品を売り、その代金を回収する場合、C社が代金をなかなか支払おうとしないときや、約束手形を振出さないとき、または代金の金額がC社に明らかでないとき、A社は請求書のかわりに、請求金額を書いた為替手形を振出してC社に交付し、C社に引受の署名をさせて返送させます。これで、決められた期限に代金を確実に回収することができるわけです。
 為替手形を本来の目的でなく、収入印紙代の節約のために、約束手形の代用として利用することがあります。
 約束手形を振出すと、振出人はかなりの額になる収入印紙を貼らなければなりません。しかし、為替手形を利用しますと、収入印紙を相手に負担させることができます。
 例えば、A社がB社を受取人とする約束手形を振り出すかわりに、A社が自分を支払人とする為替手形を作成し、振出人を空白にしたままB社に渡します。B社は、この手形金を取立てるときには、振出人として署名した上、収入印紙を貼って、満期に手形を取立てに出します。これを「白地引受の手形」といい、現在ではさかんに利用されています。
 為替手形は、外国貿易の決済のために、運送証券(船荷証券、貨物引換証券など)を担保につけて利用されます。これを荷為替といいます。
 例えば、日本のA社がアメリカのB社に商品を売るとき、まず船会社C社に商品の運送を依頼して、船荷証券を受け取り、これに裏書して、B社を支払人とする為替手形を発行し、これをA社の取引銀行Dに取立委託をします。D銀行は、この船荷証券を担保にとって、為替手形を割引き、A社に、現金を交付します。そしてD銀行は、B社の所在地の支店またはその他の取引のあるE銀行にこの手形と船荷証券を送り、まず、B社に為替手形を呈示して引受を求め、B社の引受と引年かえに、B社に船荷証券を渡します。この場合、B社は代金をE銀行に払込まない限り、船荷証券を引渡してもらうことができませんから、商品を自由にすることができません。
 外国との貿易など、遠隔地に商品を送っても、その代金が確実に支払われるかどうか心配です。しかし、このような荷為替の方法を利用すれば、確実に代金の決済ができるようになり便利です。

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