手形遡求の要件

手形遡求権を行使するには、次の二つの要件(条件)が必要です。
(1)実質的要件
 支払いの拒絶があったこと。振出人の不在、または所在が不明なときも同じです。
 振出人が破産宣告を受けたこと。または和議開始決定、会社更生法に基づく会社更生手続の開始決定、特別清算開始命令があったときなど。
(2)形式要件
 支払拒絶証書を作成していること。支払いの呈示があったにもかかわらず支払いが拒絶されたという公正証書を作成しなければなりません。ただし、統一手形用紙では「拒絶証書不要」という文句が印刷されていますので、証書の作成は免除されています。ただし、この文句が抹消されているときは、証書を作らなければなりません。
 破産決定言を提出すること。振出人が破産宣告を受けたとき、破産決定書を提出するだけで遡求権を行使できます。また和議開始決定のときは、その開始決定書を提出します。

スポンサーリンク

 遡求権を行使できる権利者は、最後の手形の所持人、その次が償還をした裏書人、次に手形保証人と参加支払人です。
 遡求を受ける義務者は、手形の振出人、裏書人、及びこれらの保証人と参加引受人です。
 手形所持人に対して償還をして、手形を受戻した裏書人も遡求の権利者となります。これらを手形の「再遡求」といっています。
 次の場合も遡求の権利者となることができます。
 不渡が発生してから手形所持人が第三者に譲渡した場合、その譲受人は遡求権をそのまま行使できます。
 裏書人が遡求を受けて、遡求の権利者に支払い(償還)をなした場合、裏書人の前者に対して遡求することができます(再遡求)。
 振出人、または裏書人の保証人は、手形の支払いをなして受戻した場合、振出人または裏書人(披保証人)に対して、再遡求することができます。
 遡求することのできる金額(償還金額)については、次のように定められています。
(1)満期後の遡求金額
 支払いのなかった手形金額、及び利息の記載があるときはその利息
 年六分の率による満期以後の利息
 拒絶証書の費用、通知の費用およびその他の費用
(2)満期前の遡求金額
 振出人が倒産した場合など、満期がくる前に遡求権を行使して、手形金額の償還を受けることもあります。この場合、もし額面すべてを被遡求権者に支払わなければならないとすると、不利益をまねきます。
 そこで、追求権利者は償還日から満期日までの中間の利息を、その手形金額から差し引くことになります。
 その利率ですが、所持人の住所地における週末の日の公定割引率(銀行率)となっています。つまり、日本銀行の商業手形の割引率によって計算します。
(3)再遡求の遡求金額
 その支払った総金額
 この金額に対し年六分の率により計算した支払いの日以後の利息
 その支出した費用
 手形の振出人が六ヵ月以内に二回不渡を出し、不渡届が提出されたとき、手形交換所はその振出人に対して銀行取引停止処分に付します。
 例えば、資金不足の第一号不渡理由によって不渡手形を出してしまったとします。これにより不渡報告に掲載された振拙人が再び六ヵ月以内に二度目の不渡手形を出し、第二回の不渡届が手形交換所に提出されますと、銀行取引停止の処分を受けることになります。
 第一回目の不渡から六ヵ月を経過した不渡の場合は、銀行取引停止の処分を受けません。
 不渡があった場合、支払銀行と振出銀行の双方は、手形交換所に不渡届を提出することになります。そして、振出人からその不渡届に対して異議の申立がなされないと、手形交換所は手形交換日から起算して四営業日目に、その手形の振出人を不渡報告に掲載して加盟銀行に通知します。
 偽造、被詐取などの第二号不渡理由により、手形が不渡になったときは、振出人に異議の申立てが認められています。振出人に救済の余地を与えた制度といえます。
 この場合、振出人は支払銀行を通じて、手形交換所に対して、交換日から三営業日の営業時間(午後三時)までに、手形金と同額の現金(異議申立提供金)と理由書などを提供して異議の申立てを行います。これを受けた手形交換所は、振出人を不渡報告に掲載しません。
 ただし、変造、偽造の場合は異議申立提供金はいりません。
 また、異議申立提供金は、次の要件を満たせば返還されます。
 不渡の原因となった事故が解消し、持出銀行から手形交換所に不渡事故解消届が提出されたとき
 振出人が別の手形を不渡にして、銀行取引停止処分を受けたとき
 支払銀行から不渡報告への掲載または取引停止条分を受けることもやむを得ないものとして異議申立の取下げの請求があったとき
 異議申立の日から二年がたったとき
 振出人等が死亡した場合
 裁判により、その手形に支払義務がないことが確定したとき
 手形交換所より銀行取引停止処分に付された場合、その振出人は以後二年間、手形交換所に加盟しているすべての銀行と取引ができなくなります。また、取引銀行(支払銀行)は、その振出人との当座取引をすぐさま解約し、もし貸付金などがある場合は、それを回収します。
 つまり、銀行取引停止処分というのは、振出人にとって致命的な打撃を受ける処分なわけで、会社などはこれによって事実上倒産することになります。
 銀行取引停止処分は冷酷な死の宣告といっても過言ではないでしょう。
 しかも、その後、処分を受けた振出人が、著しく信用を回復したとか、偽造・変造の事実が確定した場合などは、銀行からの申請により、交換所は処分を解除できることになっています。
 不渡手形を出した人は、これにより銀行取引を再開することができます。

冠婚葬祭
損害賠償とは何か/ 不法行為による損害賠償/ 一般的な不法行為の成立要件/ 特殊の不法行為責任/ 不法行為の効果/ 債務不履行による損害賠償責任/ 国または公共団体の損害賠償責任/ 慰謝料とは/ 株式会社とその経営/ 株式の知識/ 株式譲渡の制限/ 株式会社の機関/ 代表取締役の権限と責任/ 支配人の権限と責任/ 新株・社債による資金調達/ 企業をめぐる犯罪/ 企業責任の問題/ 製造物責任について/ 身元保証人の責任/ 個人事業と相続の問題/ 労働者派遣法とは/ 労働者派遣、出向、請負、業務委託の区分/ 労働者派遣事業の許可と届出/ 派遣契約と雇用契約の条件明示/ 採用と内定取消し/ 服務規律/ 就業規則/ 異動・転勤/ 解雇・退職/ 制裁(懲戒)/ 労働時間について/ 賃金について/ 女子労働者の特例/ 年少労働者の保護/ 労働組合について/ 労働組合への支配介入について/ 職場で知っておきたいこと/ 約束手形の振出し/ 白地手形/ 手形の保証/ 裏書の実際/ 裏書の効力/ 手形の取立て/ 手形の不渡と遡求/ 手形遡求の要件/ 手形訴訟の手続/ 手形の紛失と盗難/ 為替手形と約束手形の違い/ 為替手形の振出し/ 為替手形の引受呈示/ 小切手の利用法/ 小切手の振出と支払呈示/ 線引小切手の利用/ 小切手の不渡と遡求/

        copyrght(c).冠婚葬祭専科.all rights reserved

スポンサーリンク