手形の取立て

 約束手形は待っているだけでは、お金にかえることはできません。約束手形の所持人は、手形の振出人に対して手形金の取立てを行わなければなりません。取立てをいつまでに行うのか、そのためにはどんな準備が必要か、いろいろとむずかしい問題も生じてきます。

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 手形金の支払いを受けるには、その満期に手形所持人が手形を呈示しなければなりません。手形は裏書によって次々と譲渡される流通証券ですから、振出人など支払義務者には、満期になって手形が誰に所持されているかわかりません。そこで、手形の権利者であることを確認するために、手形を呈示しなければならないわけです。
 呈示する当事者には、通常手形の所持人か取立委任裏書を受けた銀行がなります。
 呈示する期間ですが、満期日(支払期日)と、これにつぐ二取引日以内です。例えば一〇月一〇日が満期日の手形なら、一〇日、一一日、一二日の三日間に呈示をしなければなりません。支払場所の大部分が銀行ですが、この場合は銀行の営業時間内に行います。
 また、この呈示期間には祭日や日曜日は含まれません。もし、支払日が休日ならば、その翌日が支払日となります。また、支払日の翌日、つまり第一の取引日が休日ならば、呈示期間が一日ずれることとなります。
 一覧払い手形の支払呈示期間は、原則として、振出日から一年間とされています。
 手形が支払いのために呈示されれば、次のような呈示の効果が生じます。
 手形債務の支払請求の効果が発生。
 呈示期間内に支払呈示をして、支払いを拒絶された場合、裏書人などに対して償還請求権を行使することができます。
 呈示期間内に支払呈示をすると、満期日から呈示日までの法定利息(年六分)を請求できます。また、呈示期間を経過してから呈示した場合、呈示したときから債務不履行による遅延損害金を請求できます。ここで注意しておきたいのは、呈示期間内に呈示しなかった場合、手形上の権利を失うことはなく、単に呈示までの利息を請求できないわけですが、裏書人に対しては、手形上の償還請求権を失うことになりますので、十分に注意が必要です。
 呈示期間の過ぎた手形の取扱いですが、振出人に対してだけなら、時効期間である満期後三年以内であれば、振出人に対する請求権は失われませんが、支払場所である銀行に呈示しても、「呈示期間経過後」という付端をつけて支払いを拒否されることになります。このような場合は、直接振出人に対し手形を呈示して支払を求めるほかなく、振出人がこれに応じなければ、手形訴訟によるより仕方がありません。呈示期間内に呈示を怠ると裏書人に対する遡求権は失われ、裏書人から支払いを受けることはできません。
 手形の支払いのための呈示をする場所ですが、商法五一六条によりますと、原則として、支払地内にある振出人の営業所または住所ということになります。手形上に支払場所が記載されている場合は、その場所で呈示しなければなりません。
 しかし、実際にはこの方法はあまり行われず、交換呈示といって、取引銀行に取立てを委任し、手形交換所で呈示するのが一般的に多く行われている方法です。つまり、銀行を支払場所と指定してあるのは、手形交換所による決済が容易にでき、呈示に便利だからです。
 また、銀行に取立委任をせずに、支払場所に指定されている銀行へ直接持参して呈示してもかまいません。これを店頭呈示といいますが、実際にはあまり利用されていない方法です。
 銀行に手形の取立依頼を行うには、支払期日(満期日)の前の日までに、手形の取立委任裏書、または普通の裏書をして、取引銀行にその手形を預けます。支払銀行が遠隔地にある場合は、念のため支払期日の三、四日前までに預けるようにします。
 預けられた銀行は、その手形を手形交換所に呈示します。満期までに日数がある場合は、銀行が手形を保管してくれ、支払期日になったときに呈示して、当座預金に入金してくれます。
 白地手形を取引銀行に取立依頼する場合、呈示期間内に必ず空欄を補充しなければなりません。空欄を補充しなかった場合、もしその手形が不渡になったとき、裏書に対して遡求権を行使できなくなります。
 手形、小切手の時効といいますと、手形、小切手の権利をある一定期間使用しない場合その効力を消滅させることをいいます。
 一般的に民事債権は一〇年、商事債権は五年といわれていますが、手形、小切手においては、その権利関係の終了を迅速にするために、期間が短縮されています。
 時効のくる前に、一定の手続をとって、時効を中断させれば、それまでの期間は時効期間に算入されず、以後新たに時効期間が始まることになります。
 時効の中断は、手形、小切手の場合も一般債権と同じ方法で行います(民法一四七条)。
 1. 請求
 2. 差押、仮差押または仮処分
 3. 承認
 1.の請求の場合、単に内容証明郵便などで催告した場合、それから六ヵ月以内に、2.3.の方法か、訴訟および調停の申し立てをしておかないと時効は中断しませんから注意を要します。
 この中で一番確実で簡単なのは3.承認で、手形債務者から残高確認証を取ることです。
 白地手形の場合ですが、白地部分を補充しないでも、時効の中断はできることになっています。

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