手形の保証

 約束手形を振出人が振出しても、受取人が、振出人の信用だけでは不安だとして受取らない場合があります。こうしたケースには、第三者にその手形の保証をしてもらう必要があります。ここでは、その「手形の保証」について説明してみます。

スポンサーリンク

 手形保証とは、その手形の信用を増加するために行うもので、振出人、裏書人以外の人が、振出人、裏書人が手形債務を履行しなかった場合、これらの人にかわって支払いを保証するものです。
 手形保証の方法ですが、手形表面上または補箋に、その手形債務を保証する旨と、誰のために保証するかを表示して、その保証人の署名を記載します。これを「正式保証」といっています。
 なお、手形に付箋をつけるのは、保証人が二、三人いる場合に便利です。この場合、付箋と手形のつぎめに、保証人全員の契印が(割印)が必要です。
 ところで、誰のために保証するかの表示がない場合は、振出人のために保証を行ったことになります。また、例えば「保証人山川一郎」とせず、ただ単に「山川一郎」と署名してもかまいません。つまり、振出人と並んで署名した場合は、振出人のために保証したものとみなされます。これを「略式保証」といっています。
 しかし、やはり「保証人山川一郎」と書くほうが、保証人には有利といえます。というのは、保証人という表示がないと、振出人と共同して手形を振出したものと判断されるおそれがあるからです。共同振出しの場合は、銀行は、二人の振出人の、いずれの当座預金からも手形金額を支払うことができ、万が一、不渡になった場合は、二人とも不渡処分を受けることになるからです。したがって、保証を行うときは、なるべく保証人○○と明示した方がよいかと思います。
 手形保証は、手形全部について保証するのがふつうですが、一部保証も有効とされています。
 この場合は、手形金額の一部を保証する旨を明示しなければなりません。例えば、「手形金額のうち金参拾万円に限り、右裏書人のために保証いたします」などと書きます。手形の表面に、これらの文言が書ききれなければ、付箋をつければよいでしょう。
 手形の保証人となるのに、別に資格があるわけではありません。誰でもいいのです。もっとも、手形の保証は、その手形の信用を増すために行うわけですから、経済的に信用のある人がベターといえます。
 会社の振出した手形に、社長個人が保証することも有効です。この方法は、手形の受取人にとって大変有利といえます。万一、不渡りになったときは、社長個人に手形金を請求することができます。この場合、取締役会の承認などを必要としませんので、手軽に保証を取ることができます。
 手形を保証した保証人は、被保証人(振出人など)と同一の責任を負わなければなりません。つまり、手形上の債務者(振出人または裏書人)が、手形金め支払いをしない場合、それらの人にかわって支払いを行わなければなりません。一部保証の場合は、その保証の範囲で支払うことになります。
 振出人など被保証人の手形債務が、支払い、免除などで消滅すれば、当然、保証人の義務も消滅します。
 ところで、保証人が不渡処分を受けることはありません。手形の支払呈示があったとき、銀行は振出人の当座預金から手形金を支払います。預金残高が手形金額に達しなければ、保証人の当座預金があっても、その手形は不渡となってしまいます。
 また、保証人が被保証人のために保証責任を果たした場合、保証人は手形上の権利を取得します。
 手形の保証人と同じように、手形の裏書人も、振出人が手形金を支払わない場合、これをかわって支払う。
 したがって、手形に保証人をつけずに、裏書人として署名させても、その効果は同じことです。これを利用して、手形に裏書をさせて、実質的に手形保証の目的を達しようとすることを「隠れたる手形保証」または「隠れた手形保証」といっています。
 現実には、手形の保証は、この裏書による「隠れたる手形保証」の方法が多くとられています。本来、手形保証は手形の信用度を高めるために行われるものですが、現実問題として、手形保証がなされれば、いかにも振出人など被保証人が信用がないようにみられます。なぜなら、振出人に十分な担保能力があれば、なにも手形保証をする必要がないからです。そこで、これを避けるため、外観上は裏書による譲渡の形式をとっている「隠れたる手形保証」の方法が多く用いられるわけです。
 偽造手形だとは知らず、が署名してしまった場合、どうなるのでしょうか。
 たとえ偽造であっても、それを知らなくても、保証した以上、保証人は支払責任を負わなければなりません。
 また、偽造手形の場合、振出人には支払義務はなく、結局、保証人だけが責任を負わされるハメに陥ります。このように手形の保証責任は極めて重いものですから、保証人になるときは、細心の注意が必要です。
 「手形参加」というのは、手形が不渡になったとき、振出人や引受人以外の第三者(参加支払人)が介入して、かわりにその支払をなすことをいいます。
 第三者が不渡手形の支払いをなし、手形の名誉を回復するところから、別名「栄誉支払い」などとも呼ばれています。
 なぜこのような制度があるのでしょうか。手形が不渡になった場合、最終所待人は裏書人に対し、手形金の請求をなしますが、これは順次裏書人に遡求していくことになります。そうしますと、元本に対する利息や拒絶証書作成費用などの遡求費用は、ますます増大していきます。この費用の増大を防止し、手形の信用を維持するために手形参加の制度が設けられているわけです。
 しかし実際には、手形保証の方法が多く利用され、手形参加の方法はあまり利用されていません。

冠婚葬祭
損害賠償とは何か/ 不法行為による損害賠償/ 一般的な不法行為の成立要件/ 特殊の不法行為責任/ 不法行為の効果/ 債務不履行による損害賠償責任/ 国または公共団体の損害賠償責任/ 慰謝料とは/ 株式会社とその経営/ 株式の知識/ 株式譲渡の制限/ 株式会社の機関/ 代表取締役の権限と責任/ 支配人の権限と責任/ 新株・社債による資金調達/ 企業をめぐる犯罪/ 企業責任の問題/ 製造物責任について/ 身元保証人の責任/ 個人事業と相続の問題/ 労働者派遣法とは/ 労働者派遣、出向、請負、業務委託の区分/ 労働者派遣事業の許可と届出/ 派遣契約と雇用契約の条件明示/ 採用と内定取消し/ 服務規律/ 就業規則/ 異動・転勤/ 解雇・退職/ 制裁(懲戒)/ 労働時間について/ 賃金について/ 女子労働者の特例/ 年少労働者の保護/ 労働組合について/ 労働組合への支配介入について/ 職場で知っておきたいこと/ 約束手形の振出し/ 白地手形/ 手形の保証/ 裏書の実際/ 裏書の効力/ 手形の取立て/ 手形の不渡と遡求/ 手形遡求の要件/ 手形訴訟の手続/ 手形の紛失と盗難/ 為替手形と約束手形の違い/ 為替手形の振出し/ 為替手形の引受呈示/ 小切手の利用法/ 小切手の振出と支払呈示/ 線引小切手の利用/ 小切手の不渡と遡求/

        copyrght(c).冠婚葬祭専科.all rights reserved

スポンサーリンク