白地手形

 手形要件を欠いた手形は無効ですが、後日、これを補充することを前提として、わざと要件の一部を空白のまま振出すことがあります。この手形を白地手形と呼んでいます。
 白地手形は、満期日が確定しない場合とか、手形金額が確定しない場合などによく利用されます。いろいろ便利な点が多いため広く利用されていますが、反面、非常に危険な面もありますから、よほど信用のある取引先でないかぎり、白地手形を振出してはなりません。
 空白欄は、ふつう余韻、満期日、振出口、受取人などです。いずれも、手形の受取人や譲渡人が、これを適当に補充することができます。

スポンサーリンク

 例えば、A商店がB会社より、今までと同じように、これからも継続的に商品を購入するとします。A、Bは古いなじみで、お互い信用があります。商品の代金決済は毎月三〇日、約束手形で行うことになっているとします。
 この場合、あらかじめAが金額欄が白地の約束手形をBに渡しておきます。Bは代金決済日に、その月の売上代金を手形金額欄に記入して、取引銀行へ手形取立を依頼すれば、実際に現金を持ち運ぶ必要もなく、また手形をもらいに集金する必要もなく決済が完了することになります。つまり、AにもBにもたいへん便利なわけです。
 いまあげた例は、白地手形の利点を活用した利用法ですが、現実には、そうとばかりはいえません。金額欄が空白のままのことを、一般に「金額白地」といいます。白地手形でももっとも危険性のあるものとして、おそれられています。金額白地の手形は、余程の事情があったものと推察されます。
 これ以外に、満期日の遠い手形をカムフラージュするために、振出日を白地にするとか、市中の金融業者などから資金を調達する場合、受取人欄は白地で振出す、などといったことが行われています。
 白地手形の空白欄を補充する権利を、白地補充権といいます。手形所待人は、この白地補充権を行使することによって、白地手形をいつでも本来の手形に転化することができます。
 例えば、満期日が空白になっている場合は、そこに年月日をうめることによって補充権は満たされるわけです。
 また、この補充権を行使できる人ですが、手形の受取人は当然ですが、これに加えて被裏書人などの手形所待人にもなることができます。つまり、白地補充権のついた手形を譲渡することもできるわけです。
 白地の補充は、手形の振出人と受取人の合意に基づいて行います。その内容が定かでない場合は、手形法上の慣習にしたがうことになります。
 例えば一〇〇万円以内で補充権を行使できるように契約しておきながら、受取人が一五〇万円の手形金額を記載した場合は、補充権の乱用となり、当然振出人は受取人に対して抗弁(手形金支払いの拒否)することができます。
 この場合はあまり問題はないのですが、この手形が第三者に譲渡されたときが問題になります。というのは、振出人と受取人の約束を知らない善意の第三者に手形が譲渡された場合、振出人は白地補充権の乱用を主張することができなくなるからです。つまり第三者は、補充されたとおりの債権を主張でき、振出人は、補充されたとおりの全債務を負うことになります。
 もちろん、その間の事情を知っている悪意の第三者や、重過失ある第三者に対しては抗弁することができます。しかし、実際、訴訟になったとき、悪意あるいは重過失を証明することは極めて困難なことといえます。
 これを防止するためには、「裏書禁止」(譲渡禁止)と書いて手形を振出します。不当に白地を補充されて、振出人が損をしたときは、当然受取人に対して損害賠償を請求できます。

冠婚葬祭
損害賠償とは何か/ 不法行為による損害賠償/ 一般的な不法行為の成立要件/ 特殊の不法行為責任/ 不法行為の効果/ 債務不履行による損害賠償責任/ 国または公共団体の損害賠償責任/ 慰謝料とは/ 株式会社とその経営/ 株式の知識/ 株式譲渡の制限/ 株式会社の機関/ 代表取締役の権限と責任/ 支配人の権限と責任/ 新株・社債による資金調達/ 企業をめぐる犯罪/ 企業責任の問題/ 製造物責任について/ 身元保証人の責任/ 個人事業と相続の問題/ 労働者派遣法とは/ 労働者派遣、出向、請負、業務委託の区分/ 労働者派遣事業の許可と届出/ 派遣契約と雇用契約の条件明示/ 採用と内定取消し/ 服務規律/ 就業規則/ 異動・転勤/ 解雇・退職/ 制裁(懲戒)/ 労働時間について/ 賃金について/ 女子労働者の特例/ 年少労働者の保護/ 労働組合について/ 労働組合への支配介入について/ 職場で知っておきたいこと/ 約束手形の振出し/ 白地手形/ 手形の保証/ 裏書の実際/ 裏書の効力/ 手形の取立て/ 手形の不渡と遡求/ 手形遡求の要件/ 手形訴訟の手続/ 手形の紛失と盗難/ 為替手形と約束手形の違い/ 為替手形の振出し/ 為替手形の引受呈示/ 小切手の利用法/ 小切手の振出と支払呈示/ 線引小切手の利用/ 小切手の不渡と遡求/

        copyrght(c).冠婚葬祭専科.all rights reserved

スポンサーリンク