労働組合について

 労働組合は、憲法で認められた団体として種々の権利を与えられています。このような権利を認められた労働組合とたるためには、一定の要件を満たさなければなりません。労働組合法によると、労働組合とは「労働者が主体となって自主的に労働条件の維持改善その他経済的地位の向上を図ることを主たる目的として組織する団体、またはその連合団体をいう」(二条)としています。
 したがって、次のような団体は労働組合としては認められません。
 1. 使用者の役員、人事に関する直接の権限をもつ監督的地位にある労働者等が参加することを許すもの
 2. 団体の運営のための経費の支出につき使用者の経理上の援助を受けるもの
 3. 共済事業、その他福利事業のみを目的とするもの
 4. 主として政治運動または社会運動を目的とするものなど
 これからもわかるように、労働組合は、人的、物的に使用者から独立していなければいけないのです。これを労働組合の実質的要件といっています。

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 労働組合の実質的要件に対し、形式的要件、資格要件といわれるものがあります。
 これは労働組合が民主的に運営されることを目的としておりますので、組合の組織法である「規約」に最小限度必要な記載事項を定めることを要求するものです。
 しかしながら、この心要事項を規約に記載していないからといって、その団体が労働組合としての実体がまったくなくなるかというとそうではありません。例えば、労組法が定める労働組合としての救済申立や手続参与などはできなくなりますが、このような組合でも、団体交渉権や労働協約締結能力、あるいは争議権は認められています。これは先にのべた労働組合としての実質的要件を欠く、いわゆる御用組合でも同じです。使用者との間に紛争が発生し対立関係に陥ったなら、労働組合として法の保護が必要となり、これを認めて何らさしつかえないのです。
 労働組合の資格審査は所轄の労働委員会が行います。これには通常組合規約、労働協約(非組合員の範囲を規定するとき)、組合役員名簿や、使用者の職制一覧表などを提出します。この労働委員会の審査を通ると、労働組合は法人としての登記ができます(労働法二条)。
 労組法七条は不当労働行為を禁止し、その一つの類型として不利益取扱い、すなわち不利益待遇をあげています。これによると不利益取扱いとは、
 1. 労働者が労働組合の組合員であること、労働組合に加入したりこれを結成しようとしたこと、労働組合の正当な行為をしたこと、不当労働行為の申立をし、またその審問もしくは争議調整の際、労働者が証拠を提出し、または発言したこと
 2. 前項の故をもって、または理由として
 3. その結果、使用者がその労働者を解雇し、その他これに対し不利益な取扱いをしたことと規定しています。
 不利益取扱いであるか否かは、その労働者自身の過去から、他の労働者、従来の慣行先例との比較において、労働条件、職務上の地位、場所、内容、組合の経歴、活動状況など具体的ケースにおいて不利益か否か判断することになります。労働組合に加入したり、これを結成しようとしたというためには、ある程度は加入、結成とみれる具体的な行為が必要です。また労働組合の正当行為であるか否かは、労働基本権の趣旨の中で具体的行為を検討することにたります。不利益か否かは単に来加入労働者との比較だけではなく、他の組合の組合員との差別も入ります。労組法七条の趣旨は、個々の労働者の団結権を自由に行使させ、安心して組合活動ができる環境をつくりだすものといえます。
 不利益の具体的内容は一般に次の四つに分類されますが、実際にはそれらが複合している事例が多いでしょう。
 1. 経済的不利益(解雇、配置転換、休職、昇給停止、賞与の差別支給など)
 2. 精神的不利益(口をきかない、仕事を与えない)
 3. 生活上の不利益(夫の組合活動を理由として妻を転勤させたり、解雇する)
 4. 組合活動上の不利益(活動家を地方へ転動さす、最近は栄転をともなうことが多い)
 そしてこのような不利益取扱となった場合、労働者は不当労働行為として労働委員会へ救済を申立てることができます(二七条)。
 不利益取扱は使用者が不当労働行為、あるいは反組合的意思をもってなすものですから、このような意思を必要とします。そこで使用者にこれら不当労働行為の意思があったか否かが問題となりますが、使用者が正面からそのような意思があることを明らかにすることはありません。現在の労働委員会や裁判所では、客観的に不当労働行為の意思を推測させるような外部事実が明らかかに証明されたなら、一応不当労働行為の意思をもってなしたと推測し、かつそれでもって充分であるとしています。
 外部事実として挙げられ検討されるものとして次のものがあります。
 1. 被処分者の組合活動状況
 2. 処分の時期
 3. 使用者の反組合的言動および態度
 4. 他の不当行為類型との併存
 5. 処分理由
 6. 組合幹部や組合員などへの処分率

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