労働時間について

 労働時間とは労働者が使用者の指揮のもとで労働を提供する時間であり、いわゆる実働時間を指します(労基法三二条)。したがって、労働時間は始業時刻から終業時刻までで、休憩時間を除いた時間ということになります。そして原則として実働一日八時間、一週四八時間以内とされています使用者はこれを就業規則で定めなければなりません(労基法八九条一項)。労働時間の定めは、違反すると罰則があります。また、遅刻早退や、それにともなう賃金計算、あるいは制裁へと結びついていくので、採用時に明示することも要求されています(労基法一五条)。

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 しかし、労働時間の計算においては、始業時刻、終業時刻は就業規則で定められた時刻ではなく、実際にいつからいつまで使用者の指揮に入っているかで決まります。労働者の労働の一部を構成する準備作業、参加が義務づけられている朝礼、あるいは服装点検など使用者の指揮命令下に行われているものは、就業規則で始業時割前や終業時刻後に行う旨定めていたとしても労働時間の計算に含まれます。
 労働を長時間継続して行うことは、労働者の健康上好ましいことではあまりせん。労働能率の低下、労働災害発生の危険性と結びつくことになり、使用者にとっても、労働者の休憩は重要なことといえます。
 休憩時間については、使用者は労働時間が六時間を起える場合は少なくとも四五分、八時間を超える場合は少なくとも一時間の休憩時間を労働時間の途中に与えなければなりません(労基法三四条)。
 六時間を「超える場合」とは、「以上」ではないと解釈されますので、六時間労働のときは休憩時間を設けなくともよく、また八時間労働のときには四五分の休憩時間で構わないことになります。また労働時間が八時間を超える場合、何時間超えても一時間の休憩時間で差しつかえないと解されています。
 なお、労基法は休憩時間についてここに述べたほかに、労働基準監督署の許可を受けないかぎり休憩時間は一せいに与えること(三四条二項)、休憩時間は自由に利用させること(同条三項)などを定めています。
 労基法は八時間労働を原則としますが、業務上それを超えることも避けがたいため一定の条件のもとに時間外労働を認めております。その条件とは、三六(さんろく)協定の締結、その行政官庁への届出、割増手当金の支給です。
 労基法上の時間外労働は、八時間を超える労働ですから、労働時間七時間の会社は七時間を超える労働をさせても八時間の労働時間を超えないかぎり、時間外協定や割増賃金の支払を要しないことになります。これは法内残業といっています。しかし、この法内残業であっても、一般に多くの企業が時間外手当を支払う扱いになっているようです。
 三六協定が締結されているからといって、当然に労働者に対して時間外労働を強制できるものではありません。労働契約や就業規則などの定めによることになります。一般には就業規則で「時間外労働をさせることがある」と定めている例が多く、この場合に労働者が時間外労働の義務を負うかについては、肯定否定相反する裁判例があります。そこで使用者として労働者に対し時間外労働を命ずるときは、「協力を求める」という態度で対応するべきでしょう。
 休日とは、労働者が労働義務から解放され使用者からの一切の拘束を受けない日をさします。休日の長さは、原則として午前零時から午後一二時までです。したがって休日は、休憩、休業、あるいは年次有給休暇とは別個のものです。使用者は労働者に対し、少なくとも一週間に一回の休日を与えなければなりません。(憲法二七条一一項、労働法二五条一項)。
 また、休日をどう与えるかは、当初労働契約締結に際し労働者に知らせなければなりませんし (労基決一五条)、就業規則で定めておかなければなりません(労裁決八九条一項一号)。
 そして休日労働についても労基決上は時間外労働と同じように規定され、三六協定の対象となっています。
 休日をどのように利用するかは労働者の自由です。会社のリクレーションや、行事などにも参加を強制することはできないのです。
 労基法三九条は、一年以上勤務し相当程度の労働をした労働者に対し次年度以降定例的に有給休暇を与えることを保障します。この休暇には給料の支払いが保障されています。
 労基法の規定する休暇日数は要件や最低基準ですから、就業規則や労働協約でこれ以上の日数や要件を緩和して定めることは一向に差し支えなく、またそのような事例が少なくありません。
 労基法の規定によるなら、一年間継続勤務し、全労働日の八割以上出勤した労働者に対し、継続または分割して六労働日の有給休暇を与えなければならないとし、さらに二年以上記務した労働者に対しては、一年を超える継続勤務年数一年について、の休暇に一労働日を加算した有給休暇を与えなければならないとしています。ここでいう労働日とは出勤すべきと定められている日であり、他方早退、遅刻があっても出勤した日数に計算されます。これは就業規則で三日の遅刻で一日の欠勤とみなすという規定があっても減らすことはできません。
 労働者がこの有給休暇を行使するには自分から請求します。労働者が請求した時期に休暇を与えることが正常な事業の運営を妨げる場合には、使用者はこれを変更することができます。しかし使用者が一方的に変更するのではなく、あらためて労働者の意向を確認し、その希望に添うようにすべきであります。

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