制裁(懲戒)

 労働関係における制裁とは、企業秩序維持のため秩序違反者に対して一定の不利益を課す使用者の行為をいい、懲戒ともいっています。制裁権は企業に内在する使用者固有の権利ですから、就業規則に制裁に関する規定を定めていなくとも使用者は労働者に制裁を課せるのです。

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 制裁の対象となる労働者の行為とは、企業秩序を乱す行為です。具体的には服務規律として定められている規定に違反した場合です。
 一般に制裁としては、次の四種類を基本としています。
 1. 譴責(けんせき・将来再び行われないように始末書等を書かせて戒しめる)
 2. 減給(賃金を減らす)
 3. 出勤停止(出勤を停止させ謹慎させる)
 4. 懲戒解雇
 しかし、使用者はどんな制裁でも自由に選択できるかというとそうではありません。あくまでも企業秩序維持の目的に適合する範囲内で認められたものといえます。特に注意したいのは、労働者の主体性を害し、労働支配(労働強制)のために利用してはならないということです。また、直接労働者の身体に向けた制裁を加えるとか、労働者の生存をおびやかす(労働法一九条)ものであってはなりません。制裁の対象となった行為や、あるいは行為者の責任と、制裁とが均衡のとれたものでなければならないのです。
 なお、ここに述べた限界を超えてなされた制裁は無効であり、また場合によっては、そのような制裁を定めた制裁制度までが無効とされることもありえます。
 制裁を決定するには、就業規則や労働協約で定められた手続にしたがわなければなりません。懲戒委員会で審議するとか、労働組合と協議するなどと決められているなら、その手順を踏んでから処分を実行するわけです。手順を踏まずになされた制裁処分は、手続を履行していないので無効となります。
 また制裁は、労働者にとって本人の名誉だけでなく、経済的損失や、その他昇進昇給あるいは再就職などに対しても、いろいろな不利益をもたらします。したがって事実を正確に把握する必要があり、そのためにも本人に弁明の機会を与えるべきです。そしてその際、動機や、事後の反省など情状酌量の余地がないかを確認し、事実認定ならびに制裁処分選択の材料にします。
 企業は犯罪人をつくるのが目的ではありません。愛情を持って、労働者の将来を考えた処分をすることが必要です。
 懲戒解雇は制裁として労働者を企業から排除するものです。懲戒解雇にも予告解雇と即時解雇があり、就業規則により当該労働者の行為、あるいは責任の程度に応じて区別している例がありますが、予告解雇の存在をまったく予定していない例も多いのです。しかし、前述のように、就業規則で懲戒解雇を規定しているか否かに関係なく、使用者は制裁として労働者の解雇をなしえるのです。
 就業規則に定められた解雇事由は限定的に解釈すべきであり、類推適用とか、拡張解釈はできません。また懲戒解雇の場合、退職金を支払わないとか、減額するなどの不利益処分を課すには、就業規則や賃金規則などであらかじめ定めておく必要があります。

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