解雇・退職

 解雇とは「使用者が労働者に対し労働契約の効力を将来に向って一方的に終了さす行為」といえます。資本主義社会においては、解雇の自由は労働者の採用とならんで私企業を運営する不可決な要件として提えられていました。しかしながら、使用者側の一方的、自由な解雇は、結果として労働者の失業を意味し、貧困や社会不安を増大させることになります。労働者の生存権や労働権を尊重する観点から、解雇の自由はしだいに修正が加えられ、現代では解雇には合理的な理由が必要であるとされます。

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 解雇には性質上二つの種類があります。普通解雇と懲戒解雇です。懲戒解雇は制裁としてなされるものであり、労働者にとっては不名誉な処分です。また懲戒解雇の場合一般には就業規則により退職金が支給されないことが多いのです。
 普通解雇は、懲戒解雇と対比されますが、解雇の理由としては種々あります。
 そして解雇には予告解雇(労働法二〇条一項)と即時解雇(同法二〇条一項但書三項)があります。予告解雇と即時解雇は前述の普通解雇と懲戒解雇の各々に予定されております。通常使用者は就業規則において、まず普通解雇における予告解雇と即時解雇の理由をそれぞれ区別しますが、いわゆる労働者の義務違反、背任行為は懲戒解雇とし、即時解雇だけを定める例が多いようです。
 予告解雇の場合、使用者は労働者を解雇しようとする少なくとも三〇日前に予告するか、予告に代えて三〇日分以上の平均賃金を支払わなければなりません。
 解雇の予告にあたっては、解雇日を特定しておかなければなりませんが、必ずしも書面でやる必要はありません。したがって、解脱通告(予告)の書面を拒否したり、返上したりすることは法律的には無意味なのです。
 即時解雇の場合は、労基法上は、天災事変その他やかを得ない事由のために事業の継続が不可能となった場合と、労働者の責に帰すべき事由に基づいて解雇する場合に認められ、そして労働基準監督の認定を受ける必要があります。
 このほかに解雇の事由および手続等が、労働協約や就業規則で定められているときはこれにしたがうことになります。また従来の慣行があるならこれにしたがった処理手順が必要となります。
 解雇の場合、その手続は、定められた手順を正確に踏むだけですからあまり問題はおきません。よく問題になるのは、解雇の理由です。解雇は原則的に自由とはいえ、その理由や時期にはいろいろな制限があります。
 まず労働者の人種、国籍、信条、性別、社会的身分、門地(憲法一四条一項、労基法三条)、組合加入、組合活動、不当労働行為の申立(憲法二八条、労基法七条一項、四頂)、労基法違反の申告(労基法一〇四条一項)などを理由とする解雇はそれぞれ法律違反となり、当然解雇は無効です。
 次に労基法一九条により、労働者の業務上の負傷、疾病による療養のため休業期間中と、産前産後の女子の休業期間(同法六五条)およびその後三〇日間の解雇は禁止されています。
 また、労働協約や就業規則で解雇理由を列挙したり、解雇基準を定めてあるならば、それに違反する解雇はできません。
 解雇を実行する際に、使用者は定められた解雇理由から当該労働者がそれに該当する項目を具体的にあげなければなりません。
 普通解脱の場合、その解脱理由として多様な理由が定められています。これからもわかるように、労働者に責任がある解雇に限らず、企業は生産性を要求されているのですから、生産性を阻害するときには、当該労働者に責任があるか否かを問わず解雇できる、とされています。
 さらに、単に解雇理由に該当するだけではなく、解雇するには合理的理由をも必要とします。「解雇権の濫用は許されない」という原理からの制限があるわけです。そこで使用者は労働者に対し解雇の理由を告げなければなりません。使用者が解雇の理由を告げなければ労働者も公の機関(裁判所・労働委員会)もその合理性を判断できないのであり、明示しないことは解雇の正当性を疑わしめるものといわねばなりません。
 しかしながら、解脱の理由に関する裁判所の判断は具体的事案において様々であり、またその判断基準の動きも激しいのです。したがって、使用者は解雇しようとするなら事前に、労働者が解雇されたならただちに、弁護士など専門家に相談することをおすすめします。
 退職という言葉は広くは解雇をも含め労働関係の終了するすべての場合をさして使われていますが、狭い意味では労働者の方からする一方的意思による労働関係の終了をさし、辞職ともいいます。ここでは狭い意味の退職について説明します。
 ところで、労働者の意思でなす退職について労働法は、特に法的規制は設けておりません。そこで、一般原則を定めた民法の規定(六二七条一項)にしたがうことになります。労働者は契約に期間の定めのない場合はいつでも、また何らの理由を娶せず解約(退職)の申入れをすることができ、その申入れの後二週間後には契約は終了します。この二週間の予告期間は就業規則によっても延長することができず、また解約の申入れに対し使用者の承諾を要する旨を就業規則で定めることもできません。しかし労働者としても、この二週間は完全に勤務しなければならないのです。
 ただし、期間をもって報酬を決めた場合、例えば最も多い一ヵ月いくらという約束で勤めているときは、その給料計算の基礎となる一ヵ月の前半において、次期以降の解約の申入をしなければなりませんので注意を必要とします。

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