派遣契約と雇用契約の条件明示

 労働者派遣のためにはまず派還元と派遣労働者との間で、派遣労働者として雇用する旨の雇用契約が結ばれていなければなりません。
 そして、この雇用にあたっては、労働基準法第一五条(同施行規則五条)に定める労働条件の明示が行われなければなりません。

スポンサーリンク

 そこで、実際に派遣契約の履行として派還元の命令により派遣労働者が、派遣される根拠は派遣元と派遣労働者との間の雇用契約にあるといえます。そして、登録型の場合には派遣先がきまり派遣されるたびごとに期間の定めのある雇用契約を結ぶことになります。
 したがって、派遣中の労働者は、派還元事業主との間で締結した雇用契約に基づいて派還元に対して労働義務を負うものであり(このため派遣元への無断欠勤等の懲戒処分権限は派還元にのみあり、派遣先にはない)、その労働条件は当該雇用契約により定められるわけです。この雇用契約と労働者派遣契約とが一致していないと問題が生じます。
 派還元事業主は雇用契約を締結する場合には、自己が法定労働条件の履行義務を負わない事項(派遣先がみなし使用者となるもの)を含めて、法定労働条件を上回る労働条件を定めなければ、法定労働条件水準以下の契約では無効となってしまい、労働者をその条件では派遣できないことになります。
 また、雇用条件に違反する条件で派遣就業させることもできないわけです。このたね、派遣法第三四条は、派遣元事業者は、労働者を派遣しようとするときは、あらかしせめ、当該労働者派遣に係る派遣労働者に対し、労働省令で定めるところにより、その旨及び第二六条第一項各号に掲げる事項その他労働省令で定める事項であって、当該派遣労働者に係るものを明示しなければならないと規定されています。
 そこで、派遣される労働者は自己と派遣元との雇用契約の範囲内であるか否かをこの派遣契約事項の明示によって知ることができ、それに異議がなければそれで労働者派遣契約の履行が可能となります。もし、明示された事項と雇用契約の内容が異なった場合には、労働者はその派遣命令を拒否することができます。
 このように労働者派遣が適正に実施されるためには、このような服用契約、労働者派遣契約、派遣就業条件の明示という三種の措置が必要となるのです。
 派還元事業主は次の措置を講ずべきことが義務づけられています。
 1. 派遣労働者等の福祉の増進のための措置(法第三〇条)
 2. 適正な派遣就業の確保のための措置(法第三一条)
 3. 派遣労働者であることの明示等(法三二)
 派遣労働者として労働者を雇い入れようととするときには、あらかじめ当該労働者にその旨を明示しなければなりませんし、肩入れ後派遣労働者とする場合は明示と同意が必要です。
 4. 派遣労働者に係る雇用制限の禁止(法第三三条)
 5. 就業条件の明示(法第三四条)
 労働者派遣をしようとするときは、あらかじめ、派遣労働者に対して、労働者派遣契約で定めなければならないとされる事項等の就業条件を明示しなければなりません。
 就業条件の明示は、原則として、あらかじめ、明示すべき事項を記載した書面の交付でしなければなりません。
 6. 派遣先への通知(法第三五条)
 労働者派遣をするときは、派遣労働者の氏名、具体的な就業条件の内容を派遣先に通知しなければなりません。
 7. 派遣元責任者の選任(法第三六条)
 事業所ごとに、専属の派還元責任者として自己の雇用する労働者の中から選任する必要があり、その数は、対象業務の区分ごとに、派遣労働者の数一人以上一つ二人以としなければなりません。
 8. 派遣元管理台帳(法第三七条)
 事業所ごとに、派遣労働者の氏名、職業の状況等を記載した派遣元管理台帳を作成し、三年間保管しなければなりません。
 派遣先の講ずべき措置等は
 1. 労働者派遣契約の定めに反することのないよう適切な措置(法第三九条)。
 2. 適正な派遣就業の確保
 苦情の処理(法第四〇条第一項)および派遣就業が適正に行われるための措置(第四〇条第二項)。
 3. 派遣先責任者の選任(法第四一条)
 4. 派遣先管理台帳の作成(法第四二条)
 事業所ごとに、派遣労働者の氏名、派遣就業の状況等を記載した派遣先管理台帳を作成し、三年間保存しなければなりません。
 その他の事業の適正な運営を確保するための措置
 1. 海外派遣の届出等
 海外派遣については、派遣先に対しては国内法が適用されず、派遣労働者の適正な就業を確保することが困難であるため、派還元事業主に事前に届出をさせるとともに、労働者派遣契約の中に派遣先の講ずべき措置を定めさせることによって、派遣労働者の保護を図ることとしています(法第二三条第三項、第二六条第三項)。
 2. 労働争議に対する不介入
 労働力需給調整機関は、同盟罷業、事業所閉鎖等の労働争議に対して中立的立場を維持すべきであるとされており、同様に、労働者派遣事業の場合にも、争議行為中の事業所に新たな労働者派遣を行ってはならないこととされています(法第二四条)。
 禁止されるのは、争議行為が行われて以後新たに労働者派遣をすることであり、それまでの間に労働者派遣をしている場合には、その範囲内で継続することまで禁止するものではありません。
 3. 名義貸しの禁止
 一般派還元事業主は、一般派遣も特定派遣も自己の名義をもって、他人に一般労働者派遣事業を行わせてはならないとし、罰則つきで名義貸しが禁止されています。
 派還元事業主は、毎事業年度経過後三ヵ月以内に、派遣労働者数、派遣先の数、派遣料金の額等を記載した事業報告書及び収支決算書を管轄公共職業安定所を経由して労働大臣に提出しなければなりません(法第二三条第一項)。

冠婚葬祭
損害賠償とは何か/ 不法行為による損害賠償/ 一般的な不法行為の成立要件/ 特殊の不法行為責任/ 不法行為の効果/ 債務不履行による損害賠償責任/ 国または公共団体の損害賠償責任/ 慰謝料とは/ 株式会社とその経営/ 株式の知識/ 株式譲渡の制限/ 株式会社の機関/ 代表取締役の権限と責任/ 支配人の権限と責任/ 新株・社債による資金調達/ 企業をめぐる犯罪/ 企業責任の問題/ 製造物責任について/ 身元保証人の責任/ 個人事業と相続の問題/ 労働者派遣法とは/ 労働者派遣、出向、請負、業務委託の区分/ 労働者派遣事業の許可と届出/ 派遣契約と雇用契約の条件明示/ 採用と内定取消し/ 服務規律/ 就業規則/ 異動・転勤/ 解雇・退職/ 制裁(懲戒)/ 労働時間について/ 賃金について/ 女子労働者の特例/ 年少労働者の保護/ 労働組合について/ 労働組合への支配介入について/ 職場で知っておきたいこと/ 約束手形の振出し/ 白地手形/ 手形の保証/ 裏書の実際/ 裏書の効力/ 手形の取立て/ 手形の不渡と遡求/ 手形遡求の要件/ 手形訴訟の手続/ 手形の紛失と盗難/ 為替手形と約束手形の違い/ 為替手形の振出し/ 為替手形の引受呈示/ 小切手の利用法/ 小切手の振出と支払呈示/ 線引小切手の利用/ 小切手の不渡と遡求/

        copyrght(c).冠婚葬祭専科.all rights reserved

スポンサーリンク