労働者派遣事業の許可と届出

 労働者派遣事業には、特定労働者派遣事業と一般労働者派遣事業の二種類があります。前者は、その事業の派遣労働者が全て常用労働者である事業であり、後者は、それ以外の事業で一年以下の期間雇用者例えば登録型の派遣労働者が存在する事業です。
 一般労働者派遣事業を行おうとする者は、事業所ごとに、申請書に事業計画書等の書類を添えて、事業所の所在地を管轄する公共職業安定所を経由して労働大臣に許可申請しなければなりません(法第五条)。

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 ここでいう事業所とは、事業の内容としての活動が有機的、組織的に行われる場所のことであり、作業組織上相当の独立性を有するもののことで、たとえば、支店単位をいいます。
 事業主が二以上の事業所を設けて許可の申請をする場合に、そのうちの一の事業所を統括事業所と定めて、当該統括事業所について事業主白身の属性に係る書類を添付している場合には他では必要ないとされています。
 許可にあたっては一定の欠格事由(第六条)があり、さらに、次に掲げる許可基準に該当する場合でなければ許可されません。
 1. 労働力需給の調整の促進のために必要であり、かつ適切であること
 2. 雇用管理を適正に行う能力を有すること
 3. 事業を的確に遂行する能力を有すること
 許可の有効期間は三年であり、引き続き一般労働者派遣事業を行おうとする場合には、許可の有効期間の更新の手続きが必要になります。
 次に、特定労働者派遣事業を行おうとする者は、事業所ごとに届出なければなりません。その場合には許可のときと同じ欠格や必要の書類の適用があり、要件を充足する者が書類を添えて事業所の所在地所轄の安定所を経由して労働大臣に届け出る必要があります。
 労働者派遣の中心は「労働者派遣契約」にあります。この派遣契約によってはじめて、労働者が派遣され、派遣先は派遣された労働者を指揮命令する権限を取得するものです。したがって、労働者の派遣にあたっては、派遣元と派遣先との間で労働者派遣契約を結ばなければならないのですが、派遣法第二六条によれば次のように定められます。「労働者派遣契約(当事者の一方が相手方に対し、労働者派遣をすることを約する契約をいう。以下同じ)の当事者は、労働省令で定めるところにより当該労働者派遣契約に際し、次に掲げる事項を定めるとともにその内容の差異に応じて派遣労働者の人数を定めなければならない」とし、次の項目の契約すべき内容を規定しています。
 <法定契約事項>
 1. 派遣労働者が従事する業務の内容
 2. 派遣労働者が労働者派遣に係る労働に従事する事業所の名称及び所在地その他労働者派遣に係る就業の場所
 3. 労働者派遣の役務の提供を受ける者のために、就業中の派遣労働者を指揮命令する者に関する事項
 4. 労働者派遣の期間及び派遣就業をする日
 5. 派遣就業の開始及び終了の時刻並びに休憩時間
 6. 安全及び衛生に関する事項
 7. 派還元責任者及び派遣先責任者に関する事項
 8. 就業日以外の日の派遣就労日又は就業時間外の就業時間数(定めた場合のみ)
 9. 派遣労働者の人数(派遣就労内容の組み合わせごとの人数)
 <法定外の契約事項>
 前記の法定契約事項のみでは現実の派遣先就労に関して万全ではなく、さらに次のごとき事項が必要と考えられます。 1. 派遣先での就業管理に関する事項
 2. 就業場所での秩序・規律維持に関する事項
 3. 作業標準、作業心得等の順守に関する事項
 4. 代替要員等の派遣に関する事項
 5. 業務上知り得た事項の守秘義務に関する事項
 6. 就業秩序違反者の取扱いに関する事項
 7. 作業能率の維持と低能率者の取扱いに関する事項
 8. 福利厚生施設の利用、制服の貸与等に関する事項
 9. 契約違反等の損害賠償に関する事項
 10. 契約解除に関する事項
 この契約は、派遣労働者に対する明示義務の関係もあり、原則として書面をもって定めることが必要ですが、緊急の場合や短期間の場合等については、口頭によっても差し支えなく、事後に書面明示としてもよいです。
 労働者派遣契約に定める事項のうち海外派遣に関するものについては、これに加えさらに条件が加重されています。
 以上のような次第で、派遣契約事項が定められるのですが、いずれにしても派遣契約によって、派遣先が派遣労働者を使用する使用条件を設定し、いわばこれにより使用の「枠組み」を設定することになるのです。したがって、これが設定されなければ派遣先は派遣労働者を使用する根拠がなく、指揮命令できないのです。
 派遣期間については、派遣労働者にとっては長期であることがのぞましいのですが、派遣先の常用労働者のこともあり、適用対象業務の種類に応じ、派遣労働者の雇用の安定に配慮しつつ、当該労働者の需給の状況、当該業務の処理の実情等を勘案して、労働大臣が制限を行うことができることとなっています(法第二六条第二項)。

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