個人事業と相続の問題

 戦後改正された現行民法は、家督相続の制度を廃止し、配偶者と、子、両親、兄弟などの共同相続の制度をとっています。被相続人の全財産は、共同相続人により相続され、さらに分割されるのです。個人事業主の工場、店舗など事業用財産も当然その対象となります。相続人間の相続分は法律で定められていますので、各人の相続分にしたがって事業用財産が分割されてしまうなら、事業の継続はほとんど不可能となるでしょう。経営者として自己が築きあげた事業が、自分の身内により継続され、さらに発展させるにはどうしたらよいのか、生前から後継者を養成するとともに、相続税の節税を考慮した法律上の対策を検討しておかなければなりません。

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 まず、個人事業主の相続問題を解決する手段として、前もって遺言で決めておく、というものが考えられます。
 事業主は自己の財産を自己の死後自由にに処分できます。この処分の方法を、書面で残しておくのが遺言です。遺言について法律は、厳格な様式を定めていますが、確実に自己の意思どおり処分させるためには、公証人役場へ行き、公正証書で作成しておくのが一番よいでしょう。
 しかし、被相続人により、全財産が処分されてしまったなら、その財産により生活していた家族の生活は困難となります。また、彼相続人だけの名義になっている財産でも、家族の協力のもとに築きあげられたものも少なくありません。
 そこで法律は、この家族達の権利を確保するために、遺言によっても処分し得ない財産の割合を定めており、これを遺留分と呼んでいます。しかし遺留分は、遺留分権利者である相続人が、自分のために相続が開始したこと、あるいは、自己の遺留分を侵害する贈与や、遺贈があったことを知ったときから、一年間これを行使しないと時効によって消滅します。さらに相続が開始したときから一〇年を経過したときも同じです(民法一〇四二条)
 また、遺留分は、相続の開始前、すなわち事業主が生きている内に、家庭裁判所の許可を受けて放棄することができます(民法一〇四三条)。事業主あるいは家族は、遺言だけではなく、このような遺留分の刳変についても、充分認識しておかなければなりません。
 一般的に事業用財産を後継者に、その他の財産は後継者以外の相続人に相続さすのが望ましいでしょう。しかし現実には、うまく分けるだけの財産があるか、しかも、それが相続税を節税する方法で分割しうるかなど、非常にむずかしい問題です。特に、配偶者に対する相続税が軽減されていますので、この両方を満足させることは困難な問題です。ある程度のところで妥協し、相続税用の財産を作っておくのも大切です。
 具体的方法についてはケースバイケースですので、専門家とよく相談してください。

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