支配人の権限と責任

 企業が大規模になると経営者、代表取締役がみずからすべての営業活動をすることは不可能です。そのようなことをしたなら、企業の運営かつ合理的活動に支障をきたします。そこで、他人を利用してこれを補助させるために、商法は種々の補助者の制度を設けています。その一つが支配人です。

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 支配人とは、営業主に代って、営業に関する一切の裁判上裁判外の行為をなす権限を有する商業使用人です(商法三七条)。支配人であるか否かは以上のような権限を有するか否かで決まり、その名称が支配人とか支店長というようなものを使っているか否かで決まるのではありません。
 しかし、本来支配人でないのに、支配人とか支店長といった名称(肩書)を使用する例が多いのが通例です。そこで、支配人と信じて契約などの取引した相手方を保護するため、商法は本店または支店の主任者たることを示すような名称を付した使用人については、支配人と同一の権限を有するものとみなす、としています(四二条)。これを表見支配人といっています。
 なお、支配人の選任解任は登記事項ですので、その旨の登記をしない限り善意の第三者には対抗できません(商法一二条)。
 支配人の権限を一般に支配権といい、そのの内容は商法で定められています。すなわち、営業主に代わり、営業に関する一切の裁判上及び裁判外の行為をなす権限を有し(三八条一項)、また番頭手代その他の使用人の選任解任をすることができます(同条二項)。営業主は支配人に選任したなら、このような包括的、画一的代理権を与えたものであり、これを制限しても善意の第三者に対抗しえません(同条三項)。
 したがって、支配人の代理権の範囲は客観的に営業に関するか否かで区別され、営業主が数個の商号で営業をやっているのなら商号で特定された営業であり、あるいは本店または支店を単位として決められます(商法三七条)。
 なお、支配人の代理権の濫用を防止するため、数人の支配人が共同してのみ権限を行使しうる共同支配人の制度があります(商法三九条)。
 支配人がこのように大きな権限を有するため、営業主との間に高度の信頼関係、忠実関係が必要となります。そこで商法は、支配人に対し特別な不作為義務を定めています。自己または第三者のために営業主の営業の部類に属する取引をなすことを禁止した銃架避止義務と、自ら営業をしたり、他の会社の無限責任社員とか使用人となることを禁止した忠実義務です(商法同一条)。
 これらの義務に違反すると、支配人は損害賠償責任を負わされ、また解任事由となりますが、競業禁止義務に違反したときは、特に介入権といって、営業主は支配人に対し、同人がなした取引行為などの効果を自己に移転さすよう請求できる権利があります(商法四一条二項)。

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