株式会社の機関

 会社も、人ですからみずからの意思を有し、みずから行動します。しかし会社は団体ですから、一定の地位にある者を組織上存在させ、その者の意思または行為が会社の意思、または行為となるようにしています。このような組織上の存在を「機関」といいます。
 株式会社には法律上三つの機関が必要とされています。株主総会、取締役会、監査役会がそれです。

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 株主総会とは、株主の総意によって会社の重要な事項につき意思決定をする機関です。株主総会の権限は、商法や特別法(有限会社法六〇条保険業法一〇八条等)、あるいは定款で定められたことに限定されます。
 各株主は、各株式ごとに一個の議決権を有します(商法二四一条一項)。これを「一株一議決権の原則」といいます。株式会社は株主の個性ではなく、出資金という物的結合体であるので、多数の株式を有する大株主は多数の議決権を有し、大株主による会社支配が予定されているのです。
 企業の所有と経営の分離は、一般大衆の経営への無関心から、法の予想よりはるかに極端化しています。大株主に支持された代表取締役は、株主総会の委任状を出席できない株式引受人から徴収し、自己の自由なる操作により、さらにその支配力を強化しているのです。しかし、会社の針路を基本的に決定するのは株主総会なのです。株主は株主総会の存在を自己のもっとも関心のある利益配当のためにも、決して忘れてはならないのです。昭和57年改正商法は、株主に株主総会における議案提案権をも認めています(商法二三二条ノニ)。
 取締役会は、会社の業務執行に関する重要なことを意思決定する会議体です。取締役はこのような会議体の構成員であり、みずから業務執行や会社を代表する権限はありません。会社の業務代行や代表は代表取締役の権限です。したがって、取締役は会社の機関とはいえません。
 取締役は三人以上必要とされています(商法二五五条)。取締役の資格は株主であることを要さず、定款でも株主であることを要するとは定められていません(商法二五四条二項)。
 また、取締役は監査役を兼ねることはできません(商法二七六条)。取締役の選任は株主総会の専属決議事項です(商法二五四条)。株主総会における取締役の選任により、代表取締役が被選任者との間に委任および準委任契約を締結し、被選任者は取締役に就任します。
 取締役会は全取締役をもって構成し、前述のように業務執行に関する意思決定をするとともに、法はこの決定に基づく執行につき代表取締役を監督することを期待しています。要するに、取締役会自体の内部監査なのです。したがって、取締役全員が代表取締役であったり、代表取締役とその意思に盲従する従業員取締役だけからなる取締役会は、本来は望ましいものではありません。
 取締役の人数が多い大企業などでは、いわゆる「常務会」という制度を設けています。これは、取締役会の手続が法律上厳しく定められていることや、多勢の取締役では機動的に活動しにくいことから利用されています。合理的な要請ではありますが、法律上認められた制度ではない以上、法律上の専属的決議事項はなしえません。現行法のもとでは、代表取締役の諮問機関としての性格で設けておくのがよいでしょう。
 今まで商法は何度となく改正されてきましたが、その中でも「監査役」ほどたびたび変わる制度はありません。結局、会社の監督(とくに代表取締役、取締役会への監督)をどうするか、会社経営に無間心な株主の利益をどうして守るか、ということの試行錯誤の繰り返しといえるでしょう。
 現在の監査役は、会計監査だけではなく取締役の職務の執行すべてを監督する機関です。また、会社の親子関係の発達から、子会社への調査も認められてレます(商法二七四条)。
 監査役は、取締役が株主総会に提出しようとする議案及び書類を調査し、法律・命令・定款などに違反し、または著しく不当な事項があると認めるときは、株主総会へ報告することが義務づけられ、取締役会への出席権も認められています。さらに、昭和57年の商法改正では、取締役会の召集権も認められました。
 取締役が会社の目的の範囲内にない行為、その他法令または定款に違反する行為をなし、これにより会社に著しい損害を生ずるおそれがある場合には、監査役は取締役に対しその行為を止めるよう請求できます(商法二七五条)。
 ただこのような権限がある反面、次のような制限も設けられています。つまり、監査役は、会社の取締役、支配人その他の従業員をかねることはできず、さらに子会社の取締役、支配人その他の従業員を兼ねることができません(商法二七六条)。なお、監査役の選任については、監査役は株式総会で監査役の選任または解任につき意見を述べることができます(商法二七五条ノ三)。

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