株式譲渡の制限

 株式の譲渡により会社に弊害が生じる場合、あるいは政策上の理由がある場合、株式の譲渡を法律上制限する規定があります。また、わが国に多い同族会社や友人同志の少数による会社の場合、第三者が株主に入ってくることは経営の安定が損なわれます。そこで、定款をもって譲渡制限を定めることが認められています。

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 商法の規定による制限は、まず時期による制限があります。発起人以外の者が株主になるためには、法律上の手続を径さえすれば設立中の会社であっても株式引受契約ができます。契約が成立すれば株式申込人は株式引受人となり、株金の払込みによって株式引受人は会社の設立した時点で株主としての地位を取得します。このような株式引受人の地位を権利株といいますが、権利株の譲渡は、当事者間では有効ですが、会社に対してはその効力を生じません(商法一九〇条、二八〇条ノー四)。また株券発行前においても同様に当事者間では有効ですが、会社に対しては効力を生じません。いずれも設立事務、新株発行に伴う諸手続を円滑化させるために設けられた制限です。
 次に、会社は自分の会社の株式を取得することを禁じられています(商法二一〇条)。これを自己株式とか自社株式とかいいますが、これらの取得を自由に認めると株主に出資金を払戻したのと同じ結果となり、会社の財産的基盤を危くし、また会社が自己株式により株価操作などの投機を行い、一般投資家を害するおそれがあるからです。
 しかし、このような弊害が生じないときは自己株式を取得してえさしつかえないわけで、法律は自己株式が取得できる場合を列挙しています。
 なお、昭和57年改正商法により、子会社が親会社の株式を取得することも禁止されました。
 前述のように、定款の定めによって株式の譲渡は制限できます。しかし、株式の譲渡をすべて制限することは許されず、取締役会の承認を要するという形式でのみ認められています。この場合、その旨を登記し(商法一八八条二項)、株券に記載しなければなりません(同法二二五条八号)。
 株主が株式を譲渡したいとき、株主は株式と譲受人を書面で申出ます。会社はこれを取締役会で審議しますが、承認しないときは別の譲受人を指定し承認請求の日から二週間以内に株主に通知します(商法二〇四条ノ二)。そして指定された譲受人は、通知の日から一〇日以内に株主に対し株式の売渡しを書面で請求します(同法二〇四条ノ三第一項)。そして互いに代価並びに株券を供託した後協議し、場合によっては裁判所により売買価格を決め、株主は投下資本を回収するのです。

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