株式会社とその経営

 株式会社においては、株主は企業の共同所有者ともいえます。株主は企業から生ずる利益の分配を受けるわけですが、多数の株主が集って会社の経営を協議し決定することは不可能です。また一般の株主は経営の能力もなく、その意思もありません。
 そこで商法二五四条は、会社の経営は取締役会や代表取締役に行わせ取締役は株主であることを要しないとしています。このように、株式会社は制度上は企業の所有と経営が分離されています。株主は基本的事項の決定と最少限度の監督是正権を自己の手に留保し、他は経営の専門家である取締役にゆだねているのです。

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 株主の権利は大きく自益権と共益権とに分けられます。
 自益権、これは株主が自己の所有者としての利益を得るための権利であり、これには利益配当請求権(二九〇条、二九三条)、新株引受権(二八〇条ノ二-一項、二八〇条ノ四)などがあります。
 これに対し共益権とは、企業のため経営に関与しうる権利であり、株主総会における議決権がその中心たるものです。
 そのほかにも、株主総会における決議や、取締役の業務執行なども監督是正する権利として単独株主権といわれるものがあります、つまり総会決議取消訴権(二四七条)、新株発行無効訴権(二八〇条ノー五)、累積投票請求権(二五六条ノ三)、取締役等の違法行為差止権(二七二条、四三〇条二項)、書類閲覧権(二六三条、二八二条、二九三条ノ五、四三〇条二羽)などがそれです。また少数株主権といわれる総会招集権(二三七条一項二項)、取締役等の解任請求権(二五七条三項、二八〇条)、帳簿閲覧権(二九三条ノ六)、解散請求権(四〇六条ノニ)なども共益権として認められるものです。
 法律は株主に以上のような権利を与え、株主総会と、取締役、監査役の三者鼎立(ていりつ・三つが互いに向き合って対立すること)により会社の経営がなされることを期待しました。
 しかし実際は、多くの株主が経済的利益である自益権のみを行使し、残された経営のための共益権を行使しないでいるのが実情です。株主総会に出席する株主はほとんどなく、株主総会は形だけのものとなっているといっても過言ではありません。
 取締役はほとんど従業員出身者で占められ、そのボスたる社長に取締役会や会社の実権は握られています。監査役にも、社長になれなかった取締役出身者がなる例が多いようです。
 企業の所有と経営の分離は、株主の経営への無間心から生じたものですが、これは法律の予想する以上に極端におしすすめられ、現実は経営者が企業を支配しているといってもいいでしょう。
 商法は度重なる改正において、株主の地位強化、あるいは監査制度を改正したりし、経営者取締役の支配力を抑制すべく試行錯誤を繰り返しています。証券取引法による一般投資株主保護のため公的監督や、公認会計士による監査など、ある程度の効果をあげているものもあります。しかし、結局は株主の認識が改められない限り根本的な改革は望むべくもありません。自己の権利を行使しない株主を法の力で守ることは不可能だからです。

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