道路の問題

 私道とは、「公道に対し、私人が一般交通の用に供している道路」ということができます。公道に対し私道は、道路の管理法を持たない道路と考えられます。、したがって、私人がその所有権に基づいて一般交通の用に解放している道路ですから、その使用関係はもっぱら民法などの規定によることになります。
 もっとも、一般交通の用に供されているわけですから、その公共性は無視できません。
 一ロに私道といってもさまざまな形態があり、一般の人の通行を禁止しているもの(例えば「通り抜け禁止」の立礼)、自動車の出入りを禁止してあるもの、まったく通行自由なもの(公衆用道路)など、いろいろです。
 私道は公道と違い、その管理法がありませんから、よく通行権の有無、通行料などについて問題が生じます。これらの解決は主に民法二一〇条〜二一三条の規定によることになります。

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 私道はあくまでもその土地所有者の所有する土地なわけですから、公道と違い、だれでも自由に通行できるというものではありません。私道を通行するには、なんらかの通行権が必要となります。
 よく便利だから、近道だからといって、通行権のない人が私道を通行している事例が多くみられますが、これは私道の所有者が黙認しているだけにすぎず、もし通行を拒否されたら、通ることはできません。
 通行権には、次のようなものがあります。
 1. 囲繞地通行権(袋地通行権)
 2. 通行地役権
 3. 賃貸借など契約による通行権
 4. 慣習上の通行権
 5. 建築基準法の適用を受ける私道の、通行の自由権
 囲繞地とは聞きなれないことばですが、まわりからとりかこまれた土地のことをいいます。
 公路(公道)に直接通じていない袋地の所有者、または、池沼、河梁、海によらなければ他へ通じえないとか、崖や岸があって公路との高低がいちじるしい土地(準袋地)の所有者は、その袋地を囲んでいる囲繞地を、その所有者の承諾なしに自由に通行し、公路まで出ることができます。この権利を法律上、囲繞地通行権(袋地通行権)といっています(民法二一〇条)。
 この権利が認められるのは、袋地や準袋地の有効な利用を図る目的のものです。
 民法二一〇条一項の「公路二通セサルトキ」の解釈には二説あります。
 一つは、公路にまったく通じない場合とするという考え、他の一つは、公路に一応は通じることはできるが、その径路や幅などが袋地の利用に適さない場合も合むものとするという考えです。
 判例では、後者の方が有力です。「たとえ何らかの通路があったとしても、産出物の搬出ができなかったり」(大審院判決・昭和13・6・7)。「かろうじて歩行できるとしても、はなはだしく迂回し、とうてい日常生活の利便に堪えない」(東京高裁判決・昭和37・1・30)などの場合は通行経路の変更が認められています。
 ただ、自動車による通行や停車も通行権の内容になるかどうかについては、意見が分かれています。
 前述のように、通行権が誰にでもあるわけではありません。関係のない人に、みだりに通行されてはかないません。そこで、民法二一〇条は、通行権者について、袋地の「所有者」と規定しています。この「所有者」について、若干考えてみたいと思います。
 まず、現実の所有者であれば、隣人は文句はいえないでしょう。次に、登記をしていない所有者も通行権者の範囲に入るとされます(最高裁判決・昭和47・4・14)。
 問題は、その袋地の賃借人です。判例は、借地上の家屋につき登記をした者は、民法二一〇条一項の準用により通行権があると認めています(東京地裁判決・昭和44・3・29)。つまり、登記(対抗力)がないと通行権は認められないのです。学説では、たとえ対抗力がなくても、これを認めようという意見が強いようです。
 また、借地人が無償通行を認められていた借地権が譲渡された場合も、民法二一三条の趣旨に基づき、譲受人に対して通行権が認められます(東京地裁判決・昭和37・10・3)。

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