塀の保存と修繕の費用

 隣家との境界にあるブロック塀が、古くなったせいか、一部が私の敷地の方へ倒れてしまいました。ブロック塀を修理したいのですが、その場合の費用分担についてはどうすればよいのでしょうか。

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 共同の費用でつくった塀、例えば生垣などの保存の費用は、平等負担であることはいうまでもありません(民法二二六条)。しかし、一方の主張で生垣にした場合は、その保存にかかる費用は、それを主張した人の負担となるでしょう(民法二二七条但書)。設置費用だけでなく、保存費用についても増額分を負担することになります。つまり、もし、生垣を板塀にしておれば、保存の費用はほとんどかからないとも考えられるわけです。
 また、塀などの修繕の費用は、共同して塀をつくった場合は、平等負担(民法二二六条)であり、一方が修繕を単独で行い、その費用の半額を隣りに請求することができます。もっとも、当事者で協議して修繕するにこしたことはありません。
 しかし、当事者の一方が塀を修繕する際に、いままでの塀よりも良質な材料を使用したとすると、もし隣りの承諾を得ていなければ、むずかしい問題が生じます。つまり、前項の「高価な塀をつくるとき」で説明したような問題が発生し、場合によっては、良質な材料を使用した増額分を負担しなければならなくなってしまいます。
 また、一方の主張で良質な塀、あるいは高さを増して設置した場合、その修繕費用の分担はどうなるでしょうか。
 良質な塀などを主張した人は、修繕費用についても、その増領分を負担することは前述したとおりです。実際に計算するには、現実の修繕費用から、民法(二二五条)の定める板塀または竹塀、あるいはニメートルの高さの塀を修繕したとして試算した費用を差引いて、その残額全部が負担部分ということになります。
 土地の工作物(道路、建物、石垣、塀など)の設置または保存に瑕疵(かし)があったために他人に損害が生じた場合、その工作物の占有者(借家人など事実上支配する人)か所有者は損害賠償の責任を負わなければなりません(民法七一七条)。瑕疵とは、その物が本来備えていなければならない性質または設備に欠けていることです。
 例えば、ブロック塀が倒れて、通行人にけがをさせてしまったとします。ブロック塀は土地の工作物に入りますから、塀に瑕疵(古くなった、鉄筋が入っていない、組立て方に欠陥など)があって事故が発生したのなら、そのブロック塀の占有者か所有者は損害賠償の責任を負わねばなりません。しかも、それは無過失責任となります。
 共同で設置した工作物であれば、当事者が連帯して責任を負うことになります。また、瑕疵はないものと信じ、過失なくして工作物を譲り受けた者にも、その後設置保存に瑕疵があって事故が生じた場合には、工作物責任を負うことになります。
 また、借家人の場合、家主が塀などの工作物をつくったとすれば、その工作物の所有者は家主であるわけです。しかし、この場合でも、塀などの占有者である借家人が損害賠償の責任を免れるためには、損害の発生を防止するために必要な注意を行ったことを立証しなければならず、こうした立証はかなり難しいといわねばなりません。
 これが立証され、免責された場合には、所有者である家主が無過失責任を負うことになります。

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