塀の設置について

 民法二二五条〜二二八条は、囲障(屏や柵のこと)の設置について細かく規定しています。これは、建物所有者の生活領域を保護しよう、つまり安全の維持やプライバシーの保護を図ろうというものです。何も土地所有者である必要はなく、土地の賃借人でもよいわけです。

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 塀を設置する要件としては、別々の二棟の建物がその所有者を異にし、その問に適当な空地があることとなっています。この場合、二棟の建物が現実に存在する場合だけではなく、存在する予定のある場合も認められましょう。また「適当な」空地とは、塀や柵を設置できる場所があるというぐらいの意味で、必ずしも未利用の土地というわけではありません。
 これらの要件が満たされれば、一方の建物の所有者は他の所有者に対して、共同の費用をもって、囲障を設置することを申し入れることができます。これを囲障設置権といます。
(1)塀の設置を断られたら
 前項の二つの要件が備わっていれば、隣人は民法の規定上、塀の設置に対する協力権利、他方には協力する義務があると考えられています。
 にもかかわらず、協力を拒否されたときはどうすればよいでしょうか。この場合は、まず裁判所に協力を求める訴訟を起こすべきであると考えられています(東京地裁判決・昭和39・3・17)。裁判所は、塀や柵などの設置について、材質、場所、高さ、費用などを指定します。塀を設置したい人は、これを受けて、塀を設置すればよいことになります。
 ですから、隣人が協力しないからといって、勝手に塀をつくってしまうと、その設置費用の分担を請求することができなくなります。
(2)設置を断れる場合
 囲障設置権は、建物所有者の生活領域を保護するために設けられていることは、前述で説明した通りです。しかし、これを逸脱するような誹などの設置には、協力義務はないものと考えられます。
 例えば、いやがらせのために、必要もない塀をつくろうとしたり、非常に高い塀を要求したり、または、日照や通風を妨げることになる塀などの場合は、隣人の申出を断ってもよいでしょう。
 もっとも、経済的にゆとりがないとか、単に、個人的感情で塀は嫌いだなどという場合は、協力を許否できる特別な事情にはあたらないと解すべきです。
 なお、住んでいる土地に、民法の規定と異なる慣習がある場合は、それが公序良俗に反しない限り、それにしたがうことになります(民法二二八条)。
 隣り同士で塀を設置することには合意しても、どんな塀にするかで、なかなか意見が一致しない場合も少なくありません。材料、高さ、設置場所、それに日照や通風などでどうしても利害関係が生じて、話がまとまらない場合があります。
 そこで、民法は、特に材料と高さの点について規定を設けています。
 どんな塀にするか当事者で話がまとまらない場合、民法は「板塀又ハ竹垣ニシテ高サニメートルタルコトヲ要ス」(民法二五二条二項)と規定しています。つまり、高さニメートルの板塀や竹垣をつくりなさいといっているわけです。
 もっとも、今日において、板塀または竹垣が標準的な囲障であるかは問題があります。安いトタン塀、プラスチック塀などの使用も十分に認められるでしょう。
 また、一口に板塀、竹垣といっても、高価なものから安いものまで様々です。その中でも中程度のものと考えるのが普通でしょう。
 ところで、市町村との建築協定で、塀を設置する際は生垣にしなければならないという取決めがある場合、この協定は隣の家にも有効となり、当事者の平等負担で生垣をつくることになります。

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