境界の問題

 最近、隣りとうまくいっていません。といいますのは、以前からあった境界標がいつのまにかなくなっており、そのかわりに鉄線がはってあるのですが、どうも私の敷地に入り込んでいるような気がします。境界標をこわした場合は、重い刑罰がめるとききましたが、私どもの場合はどうなるでしょうか。

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 土地の「境界」については、民法は簡単に「境界標」の設置などについて規定(民法二二三条・二二四条)をしているだけで、別に詳しい規定を設けているわけではありません。その多くは慣習や判例に任されているわけです。
 ところで、民法二二三条は「土地ノ所有者ハ隣地ノ所有者ト共同ノ費用ヲ以テ政界ヲ標示スヘキ物ヲ設クルコトヲ得」と規定していますが、この「政界(きょうかい)」が、ここで問題となる境界に当るわけです。
 また、刑法二六二条ノニは「境界標ヲ損壊、移動若クハ除去シ又ハ其他ノ方法ヲ以テ土地ノ境界ヲ認識スルコト能ハザルニ至ラシメタル者八五年以下ノ懲役又八千円(現在は二〇万円)以下ノ罰金二処ス」と規定し、土地の境界を不明にする行為を「境界毀損」として罰しています。
 さて、土地の境界という場合には、二つの意味あいがありますので区別を要します。すなわち、土地の地番と地番との境目をいう場合と、土地所有権の及ぶ境目をいう場合とです。
 いずれにしても境界は土地に関するさまざまな権利(例えば、所有権、地上権、賃借権など)の範囲や、相隣関係を明確にする場合の基礎となる重要なものです。以下違いを分けて説明します。
 前述の地番と地番の境界は、法律上「一筆の土地と一筆の土地との境目」ということができ、国(裁判所)だけが定められるものとされています。つまり、当事者の意思では、この境界を決められないのです。「相隣者の合意は境界確定の一資料にすぎず裁判所を拘束しない」(最高裁判決・昭和42・12・26)。
 例えば、一筆の土地イ.と一筆の土地ロ.の境界はX線だとします。ところが、Bが境界はY線であると主張して裁判(境界確定の訴)になりました。この場合、裁判所は、当事者の主張にはとらわれず、公図や実測面積と登記面積とを比較し、そして、境界線の証拠となるような境界標などの発見に努力し、境界線を確定します。つまり、裁判所は真の境界線を、できるだけ客観的に、そして合理的に判断して決めることになります。この地番と地番の境界の確定を求める裁判では、裁判所は必ず境界を決めなければならず、この判断を回避することができないことになっています。
 これに対し、土地所有権の及ぶ境目(範囲)については、隣接所有者が協議して自由に決めることができます。
 当事者が協議して決めた土地所有権の及ぶ範囲(境目)と地番と役目の境界とが一致していれば何ら問題がありませんが、もし一致していない場合には、地番の境界を越えて土地所有権を主張する者が隣接所有者を相手方として土地所有権確認と相手方所有の一筆の土地の一部について所有権移転登記を求めることになります。
 境界標は石材、コンクリート、樹木などが一般に使用されます。
 境界標は隣地の所有者と共同の費用をもって設置することができます(民法二二三条)。費用の負担は平等が原則です。設置は、後日問題が生じないように、当事者が立会い、場合によっては、第三者に立会ってもらうようにするのがよいでしょう。
 また、設置に際し、土地全体の測量が必要なときは、その費用は、土地の広狭に応じて分担することになります。
 また、隣人に境界標の設置の協力を求めて、それに応じてもらえないときは、民法の規定(二二三条、二二四条)により、裁判に訴えて、協力義務の履行を請求できることになっています。
 なお、幅のあるような境界標を設置したときは、その中心線を境界とするのが合理的でしょう。
 境界標(界標)は一般的に、石材を用います。
 しかし、こうしたものばかりとは限りません。界標で話がまとまらないときは、その地方の慣習にしたがうことになります。

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